薬物動態や毒性等を予測‐AMEDがシステム開発へ
日本医療研究開発機構(AMED)は9月29日、政府の健康・医療戦略推進本部が開いた創薬支援ネットワーク協議会で、医薬基盤・健康・栄養研究所などが保有する化合物データベース(DB)を統合し、薬物動態や毒性などを予測する「創薬支援インフォマティクスシステム」を立ち上げることを明らかにした。早ければ今月にもアカデミア発の創薬シーズ実用化を目的とした「産学協働スクリーニングコンソーシアム」(DISC)で活用し、リード化合物を効率的に探索する体制を整備する。将来的には製薬企業も利用できるようオープンソース化したい考え。
協議会でAMEDは、DISCの取り組みに22社の企業が参加し、約20万種の化合物群を保有するライブラリーとなったことを報告。12月上旬から順次、多検体迅速スクリーニング(HTS)を開始し、創薬候補となる化合物の探索を進めるとした。
その上で、今月にも医薬基盤研や理化学研究所が保有する薬物動態DB、心毒性DBなどを統合し、化合物の構造情報を入力することにより、毒性危険度や血中安定度、代謝酵素などのデータを予測できる「創薬支援インフォマティクスシステム」の開発に着手するとした。研究の初期段階から失敗するリスクを防ぎ、効率的にリード化合物を探索できる体制を整備する。将来的には、製薬企業も利用できるようオープンソース化につなげていく計画を示した。
創薬支援ネットワークでの活動実績では、企業へのライセンスアウト1件を達成するとした今年度の目標に関し、現在、国立循環器病研究センターによる筋変性疾患治療薬の研究を導出する計画であることを報告。導出先の候補に選ばれた企業2社と秘密情報の開示に関わる契約を締結した段階で、来年3月までに導入先企業1社を決定する計画であることを説明した。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本医療研究開発機構(AMED)が各研究所が保有する化合物データベースを統合した「創薬支援インフォマティクスシステム」を立ち上げると発表しました。薬物動態や毒性、血中安定度などのデータを予測でき、創薬研究の初期段階から失敗するリスクを防ぐとのことです。