創薬・臨床試験

規制改革推進に関する第3次答申 ~来たるべき新時代へ~ (抜粋)

薬+読 編集部からのコメント

政府の規制改革推進会議が首相に提出している、「規制改革推進に関する第3次答申~来たるべき新時代へ」の薬剤師に関連が深い一部を薬事日報社が抜粋しました。
大きく変更がありそうな注目のポイントは、オンライン診療と一貫性のある薬の受け取りまでできるオンライン処方で、そのほか海外GMP査察結果の相互受け入れ、GCP査察結果の活用、治験時の生物多様性影響評価の運用方法についても触れられています。

政府の規制改革推進会議は、「規制改革推進に関する第3次答申~来たるべき新時代へ」をまとめ、安倍晋三首相に提出している。「医療・介護」領域では、診療から薬の受け取りまで一貫してオンラインで完結できるよう、2019年度上期をメドに対面による服薬指導とオンラインによる服薬指導を実現させることや、今年度中に処方箋の完全電子化までの工程表作成などを求めている。オンライン服薬指導は、いろいろ議論のあるところだが、その導入は待ったなしの状況にある。そこで、「医療・介護」領域の主な答申を抜粋し、紹介する。

 

医療・介護分野

 

(1)今期の重要課題

 

わが国は類を見ない少子高齢社会に突入している。4年後の平成34年度には、いわゆる団塊の世代(昭和22~24年生まれ)が75歳になり始め、社会保障関係費の急増が見込まれる。一方で、現行制度が前提としている「支え手」となる世代は、年間80万人規模で急激に減少していく。既に支え手不足と保険料等の国民負担増の深刻さは限界に近づきつつあり、支え手の中核を担う勤労世代が抱える将来への不安感・危機感は、消費や投資の活性化を通じた成長の阻害要因となっている。

 

このように、人口構成の変化による財政上の制約が厳しくなる中で、国民皆保険等の医療・介護制度を次世代に引き継ぎ、持続可能な社会をつくるためには、IoT・AIを全面的に活用した医療資源の効率的な活用、生産性の向上および国民の健康寿命の延伸が不可欠である。そのための制度構造の改革は、次世代に対するわれわれの責任であり、平成34年に向けて一刻の猶予も許されない。

 

今期の医療・介護ワーキング・グループにおいては、「Society5.0 に向けた医療の実現」を重点審議項目として、国民・利用者の目線でIoT・AIを全面的に活用した医療資源の効率的な活用を検討してきた。その結果、具体的な規制改革項目として、「オンライン医療の普及促進」および「社会保険診療報酬支払基金に関する見直し」を取りまとめた。

 

また、医療分野の生産性の向上という観点からは、「医療系ベンチャー支援の取り組み」および「PMDAによる審査の効率化」を取りまとめた。さらに、「食薬区分(昭和46年通知)の運用改善」「機能性表示食品制度の運用改善」および「患者申出療養制度の普及に向けた対応」は、国民の健康寿命の延伸の観点から検討したものである。

 

(2)オンライン医療の普及促進

 

全国的に訪問診療を受ける移動困難な患者が大幅に増加し、医療分野においても介護分野においても、「在宅」ニーズが一段と拡大していくことが見込まれる。こうした中、診療については、IoT・AI技術の急速な進歩を受け、「オンライン診療」促進に向けた議論が進み、本年4月の診療報酬改定ではオンライン診療についての評価が新設された。また、これに先立ち厚生労働省は、同年3月に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を公表した。これらにより、今後、移動が困難な患者が、在宅のまま診療を受けられる可能性が広がるものと期待されている。

 

しかし、移動が困難な患者にとって、受診から服薬指導、薬の授受までの「一気通貫の在宅医療」が実現しなければ、オンライン診療の利便性は享受できない。

 

現在、院外処方される薬については、薬剤師が「対面」で服薬指導した上で販売することが義務づけられており、オンラインによる服薬指導は認められていない。また、患者はオンライン診療を受けた場合でも、医師が院外処方した薬を受け取るためには、薬剤師の訪問による服薬指導を受ける場合以外は、郵送された処方箋または電子処方箋引換証を持参して薬局に行き、薬剤師から対面で服薬指導を受けねばならない。

 

こういった課題を解決し「一気通貫の在宅医療」を実現することは、患者と家族の負担を軽減するだけでなく、医療従事者の負担を和らげることにもなる。また、地域の限られた医療資源を最大限に活かすためにも必要である。「一気通貫の在宅医療」の実現に向け、取りまとめた個別具体的な規制改革項目は以下のとおりである。

 

[1]オンライン診療の取り扱いの明確化

 

【措置済み】

 

オンライン診療の取り扱いについては、「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」(平成29年7月14日厚生労働省医政局長通知が発出されたが、当該通知では初診の取り扱いや適用対象など不明確な基準が多く、かつ医療関係者に十分に認知されていない。

 

したがって、オンライン診療の取り扱いについて、これに関連する既存の通知や事務連絡を含めて見直し、医療関係者にとって分かりやすいオンライン診療の適切な実施に関する指針(ガイドライン)を作成すると共に、関係者に広く周知する。

 

[2]オンライン診療を適用できる地理的条件の見直し

 

【措置済み】

 

平成29年医政局長通知においては、オンライン診療を適用できる場所として「離島、へき地」を挙げつつ、それはあくまで例示であることが示されているものの、オンライン診療は基本的には「離島、へき地」等で適用されるべきものであるという認識が医療関係者の中に根強く残っており、それがオンライン診療の普及の妨げになっているとの指摘がある。

 

したがって、オンライン診療は「離島、へき地」に限らず、患者の状況に応じて医師の判断により適用できることをガイドラインにおいて示す。

 

[3]オンライン診療を行う医師の所在の解釈の明確化

 

【措置済み】

 

医師がオンライン診療を行う際の所在の考え方については、これまで発出された通知や事務連絡において明確になっておらず、医師の自宅からのオンライン診療の提供の可否が明確ではないため、オンライン診療の積極的な活用の妨げになっているとの指摘がある。

 

したがって、医師がオンライン診療を行う際の提供場所について、必ずしも医療機関内で提供する必要がないことをガイドラインに明記する。

 

[4]オンライン診療を受診する患者の受診場所の見直し

 

【措置済み】

 

医療法(昭和23年法律第105号)において、医療は、病院、診療所等の医療提供施設または患者の居宅等で提供されなければならないとされている。しかし、医療法における「居宅等」の範囲が明確になっておらず、患者の勤務する職場や公民館等でオンライン診療を受けることの可否が明確ではないため、オンライン診療の積極的な活用の妨げになっているとの指摘がある。

 

したがって、医療法に定める「居宅等」の範囲の解釈を見直し、患者のプライバシーが維持できる環境等の条件が整う場所ならばオンライン診療の受診を可能とすることをガイドラインに明記する。

 

[5]オンライン診療による初診の取り扱いの明確化

 

【措置済み】

 

禁煙外来については、平成29年医政局長通知において、「結果として遠隔診療のみで診療が実施された場合には、直接の対面診療が行われなくとも直ちに医師法第20条等に抵触するものではない」と記載されたものの、一般化されていないため、どのようなケースならばオンライン診療による初診が適法であるのか、いまだに明確ではないとの指摘がある。

 

したがって、初診は対面診療が原則であることを示しつつ、オンライン診療による初診が適法となるケースの例をガイドラインに明記する。

 

[6]オンライン診療のルールの適宜更新

 

【平成30年度検討・結論・措置】

 

オンライン診療に用いられるIoTやAIは日々進歩しており、現時点で設けたルールを技術革新に合わせて更新しなければルールがオンライン診療の普及の妨げになるとの指摘がある。また、現在のガイドラインは基本的な考え方を示しているものであり、ガイドラインだけでは実務上の細かな質疑に対応することが難しいという指摘もある。

 

したがって、以下について検討し、措置する。

 

・技術の発展やエビデンスの集積状況に応じて、ガイドラインを少なくとも1年に1回以上更新する。

 

・医療関係者がより利用しやすくなるように実務上の細かな疑問に対応できるQ&A等を作成する。

 

[7]オンライン診療に適した症例および対面診療との組み合わせ方の明確化

 

【措置済み】

 

平成29年医政局長通知においてオンライン診療の対象となる患者が示されたものの、その後の見直しが行われていないため、オンライン診療に適した症例や、対面診療と組み合わせたオンライン診療の活かし方について判断できない医師が多く、オンライン診療の普及の妨げになっているとの指摘がある。

 

したがって、オンライン診療に適した症例および対面診療との組み合わせ方をガイドラインに明記する。

 

[8]患者が服薬指導を受ける場所の見直し

 

【平成30年度検討・結論、平成31年度上期措置】

 

患者が職場にいながら診療を受け、処方箋医薬品を受け取ることができれば、生活習慣病の重症化予防に効果的であるという指摘がある。しかし、医療法上は患者が職場でオンライン診療を受診することは周辺環境次第では許容されるものの、薬剤師による服薬指導を受けることは、薬剤師法施行規則(昭和36年厚生省令第5号)により認められていない。

 

したがって、患者がオンライン診療を受診した場所(職場等)で、薬剤師が服薬指導を実施することを可能とするよう、薬剤師法施行規則の見直しを検討し、措置する。

 

[9]オンライン診療に係るデータ収集の推進

 

【平成30年度検討・結論】

 

平成30年度から診療報酬上の評価が開始されたオンライン診療については、当該診療に係るデータを広く収集した上で解析し、エビデンスを積み上げ、成果を適切に評価することが、今後の高付加価値型診療を発展させることにつながると考えられているものの、保険収載に向けての手順が明確でないという指摘がある。

 

したがって、オンライン診療の一層の充実を図るために、関係学会や事業者等とも協力し、オンライン診療の安全性・有効性等に係るデータや事例の収集、実態の把握を早急に進める。

 

[10]次期以降の診療報酬改定におけるオンライン診療に係る診療報酬上の評価拡充に向けた検討

 

【平成31年度検討・結論】

 

オンライン診療に関する診療報酬については平成30年度の診療報酬改定により新設された。しかし、現在の診療報酬では、初診から6カ月は毎月、同一医師の対面診療を受けること等が要件になっている。オンライン診療の利点を国民がより本格的に享受するためには、移動が困難な患者の目線で、オンライン診療の診療報酬上の評価をさらに拡充し、また、「見守り」「モニタリング」などのオンライン診療の特性に合わせた包括評価や、医療従事者の働き方改革による負担軽減を進めていく必要があるとの指摘がある。

 

したがって、ガイドラインの内容を踏まえ、新設されたオンライン診療料等の普及状況を調査・検証しつつ、患者目線に立ったオンライン診療のさらなる拡充に向けて、次期以降の診療報酬改定におけるオンライン診療料等の見直しについて、検討を進める。

 

[11]オンラインでの服薬指導の一定条件下での実現

 

【平成30年度検討・結論、平成31年度上期措置】

 

現在、移動が困難な患者に対しては、薬剤師の訪問による服薬指導や薬剤管理等を実施する「訪問薬剤管理指導制度」が設けられており、その推進は重要であるが、当該制度の推進だけで、患者のニーズに応えることは難しい。実際、実働する訪問薬剤師の不足等により訪問服薬指導を受けられず、服薬指導を受けるためだけに薬局へ行かねばならない地域や患者は存在する。

 

したがって、オンライン診療や訪問診療の対象患者のように、それらの必要に迫られた地域や患者に対して、地域包括ケアシステムの中でかかりつけ薬剤師・薬局が医療・介護の一翼を担い、国民が医薬品の品質、有効性および安全性についての利益をより享受できる医薬分業およびかかりつけ薬剤師・薬局の取り組み等を推進するため、薬剤師による対面服薬指導とオンライン服薬指導を柔軟に組み合わせて行うことについて検討し、結論を得る。

 

[12]電子処方箋実務の完全電子化

 

【平成30年度上期検討・結論、平成30年度措置】

 

現在、電子データも処方箋の原本となり得るが、厚生労働省が平成28年に策定した「電子処方せんの運用ガイドライン」(平成28年3月31日)では、電子処方箋引換証および処方箋確認番号を、患者が薬局に持参するモデルが定められている。しかし、電子処方箋の交付から受け取りまでを完全に電子化し、紙のやり取りをなくさなければ、電子処方箋導入のメリットが失われ、「一気通貫の在宅医療」を実現することはできない。

 

したがって、オンラインを活用した「一気通貫の在宅医療」の実現に向けて、当該ガイドラインを改めて、電子処方箋のスキームを完全に電子化するための具体的な工程表を作成し、公表する。

 

(3)医療系ベンチャー支援の取り組み

 

欧米のメガファーマでは分業化が進む中、ベンチャー由来の新薬が多数生まれており、今後の医薬品・医療機器開発におけるイノベーションの中心はベンチャーであると言われている。しかし、わが国では、優れた基礎研究やものづくり技術があるものの、イノベーションの適切な評価がなされず、投資等による資金面の支援が弱いため、ベンチャー企業への支援の必要性が指摘されているところである。特に原価計算方式が採用される医薬品は、革新的な医薬品が含まれ得るにもかかわらず、そのイノベーション要素についての評価は、類似薬効比較方式に比べ、薬価全体に対して限定的となっている。

 

医療・介護ワーキング・グループにおいては、画期的な新薬を創出するイノベーションを促進し、製薬産業の生産性を高める観点から、特に原価計算方式により薬価算定する場合における適切なイノベーション評価の方法を検討した。個別具体的な規制改革項目は以下のとおりである。

 

[1]革新的医薬品の適正なイノベーション評価

 

【措置済み】

 

医療系ベンチャーが製造販売する医薬品の多数は新規性が高いため、類似の薬効を有する既存薬があれば適用される「類似薬効比較方式」ではなく原価計算方式で薬価が算定されている。原価計算方式における加算は営業利益率に対しての加算であるため、最大加算率100%が認められたとしても、類似薬効比較方式のように薬価が倍増することはなく、取り扱いに差異が生じている。

 

したがって、原価計算方式で算定される医薬品の薬価についても、営業利益率のみに対する加算から、類似薬効比較方式と同様に価格全体に対する加算に改める。

 

[2]一般管理販売費の適正な算定

 

【措置済み】

 

原価計算方式は企業規模に関わりなく同一の係数を用いて原価が算定されている。医療系ベンチャーの原価構成は他の大手製薬企業と異なり、特に販売管理費や研究開発費の占める割合が大きく、同一の係数を適用した場合には過少評価される場合が少なくない。

 

したがって、原価計算方式において一律に設定されている一般管理販売費の係数について、企業が申請した原価の内容を個別に考慮する必要性、その条件等を検討し、所要の措置を講ずる。

 

[3]研究開発費の適正な算定

 

【措置済み】

 

原価計算方式において、事業者が国等から受けた交付金等の額は研究開発費から控除されるが、薬価収載後の売上高に応じて納付金として返還しているものもあるため、その全てを研究開発費から控除するのは不適当である。

 

したがって、医薬品の開発後に売上高に応じた納付金を求める交付金等の額については、薬価の原価計算方式における研究開発費から控除しないものとする。

 

(4)独立行政法人医薬品医療機器総合機構による審査の効率化

 

「GDP600兆円経済」の実現に向けて、わが国のビジネス環境を改善し、もって事業者の生産性向上を後押しするために、会議は事業者が経済活動を行う際に負担する行政手続きコストの削減を検討してきた。

 

もっとも、生産性向上の重要性は、非営利的な側面を有する医療分野においても同様であり、わが国の医療サービスの持続可能性を維持する上で鍵となることは前述のとおりである。

 

医療分野における行政手続きは多岐にわたるが今期は、特に事業者から改善の要望が強かった医薬品医療機器総合機構(PMDA)による新医薬品審査の効率化等に焦点を当て、以下の規制改革項目を取りまとめた。

 

[1]電子化の推進

 

【平成30年度検討・措置】

 

PMDAの新医薬品の審査については、申請電子データシステムを構築するなど、ペーパーレス化への取り組みが行われているが、一部電子媒体と共に紙媒体の提出を求める運用となっている。

 

したがって、PMDAの新医薬品の審査プロセスについて、承認申請資料の電子媒体に併せて紙媒体での提出を求める運用を改めるなど、電子化のさらなる促進に向けて、工程表を策定し、公表する。

 

[2]審査過程の透明化

 

【平成30年度検討・措置】

 

PMDAの新医薬品の承認審査手続きにおける専門協議前に取りまとめられる「審査報告(1)」については、申請者見解に相違がないか、報告書の該当部分を開示し申請者に確認を依頼しているが、申請者見解以外の箇所については確認の必要がないため、一部マスキングが施されている。しかしながら、マスキングを廃止することで審査過程のさらなる透明化を求める声がある。

 

したがって、PMDAによる審査の進捗を申請者が参考とすることができるよう、審査報告(1)について、申請者見解以外の箇所についてもマスキングを廃止する。

 

[3]再審査申請資料の効率化

 

【平成30年度検討、平成31年度結論・措置】

 

PMDAの新医薬品の再審査の際に提出することとされている申請資料については、その内容が「安全性定期報告書」と一部重複するなど、申請資料の作成に際し製造販売業者に対する過大な負担を生じさせている。

 

したがって、再審査において提出が必要とされている各種の申請資料について、内容の重複の有無等を点検し、再審査申請資料の効率化を図る。

 

[4]海外の規制との整合性確保

 

【平成30年度検討、平成32年度措置】

 

国際共同治験に関するガイドライン(ICH-E17)が策定され、国際共同治験が今後さらに加速すると予想されるが、国際的に整合を図った取り組みがなされなければわが国における承認申請が世界に対して後れを取るおそれがある。

 

したがって、わが国においても国際共同治験に関するガイドラインの策定を踏まえ、承認申請が世界に対して遅れることのないよう、安全性を保持しつつ、日本人データの要求の考え方等を整理し、公表する。

 

[5]英文資料の受け入れ

 

【平成31年度検討、平成32年度措置】

 

PMDAの新医薬品の製造販売後データベース調査に係るプロトコール等の英文資料については、和訳が求められているところ、当該プロトコールはPMDAと製造販売業者のほか、データベース事業者やデータ提供元の医療機関等が用いることが想定される。

 

したがって、製造販売後データベース調査に係るプロトコール等の英文資料について、原文での提出も可能とするための課題・方策について整理する。

 

[6]医薬品添付文書の電子化

 

【平成30年度検討・結論、平成31年度措置】

 

医薬品添付文書は容器等に添付することとされているが、出荷・流通・卸の過程で添付文書の内容に変更が生じる場合があり、医療機関に納入される際に最新情報を提供できないおそれがある。

 

したがって、医薬品添付文書について、最新の添付文書は紙媒体での添付を省略し、インターネット上での公表をもって代えることを認めることの可能性について必要な調査・検討を行った上で、運用上の課題等を整理する。

 

[7]GMP査察結果の相互受け入れ

 

【平成30年度検討・結論、平成31年度措置】

 

医薬品GMPに関するMRA(Mutual Recognit ion Agreement)、またはMOU(Memorandum of Understanding)の対象国であれば、PMDAによるGMP調査について、当該対象国の規制当局が発行する海外製造所のGMP証明書の添付をもって、原則として実地調査までは行わず、書面調査のみとする措置が取られているが、MRAにおいては、原薬および無菌製剤は適用対象外とされており、有効範囲は限定的なものとなっている。

 

したがって、MRA対象国の製造所についても、PMDAによるGMP調査に係る製造販売業者の負担が軽減されるよう、平成29年度末現在で発効しているMRAの対象医薬品の範囲を拡大し、適用対象に原薬および無菌製剤を含めるための所要の手続きを早期に進める。また、わが国におけるGMP調査の質を確保してMRAおよびMOUを安定的に実施していくために、都道府県によるGMP調査の充実・強化に向けた環境整備を図る。

 

[8]海外機関のGCP査察結果の活用

 

【平成30年度検討】

 

現在、海外規制当局との間で、GCP査察情報の相互活用等について検討が進められており、わが国もその検討に参加している。

 

したがって、この対応を引き続き進展させ、海外規制当局(米国およびEU)がGCP適合として承認した新医薬品について、当該医薬品がわが国で承認申請された際の海外治験施設に係るGCP適合性調査については、これらの規制当局の査察結果を活用して効率化することを検討する。

 

[9]カルタヘナ法の運用改善

 

【平成30年度検討・結論、平成31年度措置】

 

遺伝子組み換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号。カルタヘナ法)により生物多様性影響評価を行った後でなければ、わが国において治験を行うことはできないとされている一方、再生医療等製品においてわが国の国際競争力を維持・向上させることも同様に重要な課題である。

 

したがって、PMDAが審査を行うカルタヘナ法の大臣承認・確認手続きに関して、平成28年7月に行われた運用見直しを踏まえ、所要審査日数を計測すると共に、その結果を踏まえてさらなる運用見直しの必要性を検討し、所要の措置を講ずる。

 

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出典:薬事日報

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