遠隔服薬指導のデモ公開‐離れた場所から患者に説明
インターネットやテレビなどの情報通信機器を用いたオンライン服薬指導事業が全国で初めて愛知県の国家戦略特区で始まった。11日には、登録認定を受けた稲沢市のアイン薬局稲沢店とオンライン診療を行う岡崎市の「りゅう市役所北内科・リハビリ科」をつなぐデモンストレーションが公開された。既にアイン薬局稲沢店では、1例目の遠隔服薬指導を5日に実施済み。対応した薬剤師の黒木麗さんは「対面とほとんど同じでやりにくさはなかった。患者さんの顔をしっかり見ることができて安心」と感想を語っている。
オンライン服薬指導は、タブレット等を通じて画面上で医師の診察を受けた患者に対し、「特定処方箋」を郵送で薬局に送付。特定処方箋を受け取った薬局は患者と電子メールや電話で服薬指導の日時を決め、予約日に患者と薬局の薬剤師がログインし、映像や音声を確認してから服薬指導を実施するというもの。調剤した薬は原則、当日中に配送手配を行い、患者が受け取ったかどうか伝票番号等で確認。銀行振込など予め取り決めた方法で会計を終える。
実際のオンライン服薬指導はこんな流れになる。
「お薬を一つずつ確認していきますね。アドエア500ディスカスを1日2回、1回1吸入使って下さい。喘息発作が起きることはありますか」
「いまは起こっていないです」
「発作がなくても継続して使ってもらう薬になるので、毎日しっかり続けるようにして下さい」
「お薬の受け取りに希望日はありますか」
「○○日の午前中は大丈夫ですか」
「かしこまりました。お大事にどうぞ」
リハーサルは、岡崎市のクリニックと1時間ほど離れた稲沢市の薬局をつないで行われた。オンライン服薬指導を行うのは、アイングループの社内研修を受けてシステム操作などのレベルが保持された薬剤師。お互いにタブレットの画面で顔を見ながら会話し、患者は薬剤師が提示した薬剤情報提供書、薬袋を手元で拡大、縮小して確認できる。
同店では、5日に初めてのオンライン服薬指導を実施した。対応した黒木さんは、「対面とほとんど同じでスムーズに会話でき、やりにくさを感じることはなかった」と感想を語る。画面上で患者の顔をしっかり確認できるため、安心感もあるようだ。
特区でのオンライン服薬指導事業はまだスタートしたばかりだが、アインホールディングスは「特区での事業から、様々な課題を見つけて、どのようなオンライン服薬指導が患者に求められていくのか探していきたい」と話している
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
国家戦略特区でオンライン服薬指導事業が始まりました。
7月5日に愛知県のアイン薬局稲沢店が第一号遠隔服薬指導を実施し、7月11日には同薬局とオンライン診療を行う岡崎市の「りゅう市役所北内科・リハビリ科」をつなぐデモンストレーションが公開されました。