医療費

2品目に営業利益率上乗せ‐28品目を20日付で薬価収載

薬+読 編集部からのコメント

2015年5月20日付け薬価収載についての記事です。ゴーシェ病経口治療薬「サデルガカプセル」と遺伝子組み換え血液凝固第XIII因子製剤「ノボサーティーン静注用2500」には、営業利益率の上乗せが行われました。「ソバルディ錠400mg」の関連記事もリンクしてありますので、合わせてご覧くださいね。

厚生労働省は20日付で、新薬16成分28品目を薬価基準に収載する。内訳は、内用薬が9成分15品目、注射薬が5成分11品目、外用薬が2成分2品目。2成分に原価計算方式を適用し、ジェンザイム・ジャパンのゴーシェ病経口治療薬「サデルガカプセル」とノボノルディスクファーマの遺伝子組み換え血液凝固第XIII因子製剤「ノボサーティーン静注用2500」に営業利益率の上乗せを行った。


 

ワントラム錠100mg(日本新薬):トラマドール塩酸塩を有効成分とする経口持続性鎮痛剤。非オピオイド鎮痛剤で治療困難な癌疼痛や慢性疼痛の適応で使用する。

同社の「トラマールOD錠」を比較薬として規格間調整で算定した。予測市場規模はピーク時の9年目で46万人、64億円。

 

ノピコールカプセル2・5μg(東レ・メディカル):ナルフラフィン塩酸塩を有効成分とする血液透析患者、慢性肝疾患患者のそう痒症改善薬。

同社の「レミッチカプセル2・5μg」を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定した。予測市場規模はピーク時の4年目で5500人、24億円。

 

オプスミット錠10mg(アクテリオンファーマシューティカルズジャパン):マシテンタンを有効成分とする肺動脈性肺高血圧症治療薬。

グラクソ・スミスクラインの「ヴォリブリス錠」を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定し、外国平均価格調整により引き上げた。予測市場規模はピーク時の10年目で3700人、130億円。

 

ザファテック錠50mg、100mg(武田薬品):トレラグリプチンコハク酸塩を有効成分とする2型糖尿病治療薬。

過去6年間の薬理作用類似薬の最低1日薬価を用い、類似薬効比較方式IIで算定した。予測市場規模は、ピーク時の10年目で71万人、350億円。

 

サデルガカプセル100mg(ジェンザイム・ジャパン):エリグルスタット酒石酸塩を有効成分とするゴーシェ病治療薬。

原価計算方式で算定。同剤は、新規の作用機序を有する治療薬であることや、既存の注射剤ではなく経口治療薬である点などが評価され、平均営業利益率のプラス20%を適用した。予測市場規模は、ピーク時の4年目で40人、23億円。

 

レンビマカプセル4mg、同10mg(エーザイ):新有効成分のレンバチニブメシル酸塩を含有する抗腫瘍薬。

バイエル薬品の「ネクサバール」を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定した。同剤は、放射性ヨード製剤抵抗性の分化型甲状腺癌に対する有効性が示されたことや、標準的な治療法が確立せずに予後が不良な甲状腺髄様癌と未分化型甲状腺癌に対する適応が認められたことなどから、20%の有用性加算IIを適用することとした。

この算定案に対しては、企業側から、同剤のプラセボ群に比した分化型甲状腺癌に対する高い有効性や、ソラフェニブに比較して手足症候群の発現割合が低いことによる利便性などへの評価が十分でないとして、評価の再考を求める不服意見が出された。

薬価算定組織で再検討した結果、「申請者の主張は追加的な評価に値するとまでは言えない」として当初案通りの算定とした。予測市場規模は、ピーク時の6年目で400人、17億円。

 

3成分に有用性加算適用

 

ポマリストカプセル1mg、同2mg、同3mg、同4mg(セルジーン):ポマリドミドを有効成分とする多発性骨髄腫治療薬。 同社のレブラミドカプセルを比較薬として類似薬効比較方式Iで算定した。同剤は、レナリドミドとボルテゾミブの治療歴のある再発または難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした海外第III相試験で、無増悪生存期間および全生存期間の有意な延長が認められたものの、同試験に日本人症例が含まれておらず、全生存期間が副次評価項目であったことや、国内臨床試験の症例数が限られていることを考慮し、5%の有用性加算IIを適用して限定的な評価とした。

また、外国平均価格調整により引き上げた。

予測市場規模は、ピーク時の10年目で1500人、71億円。

 

アシテアダニ舌下錠100単位、同300単位(塩野義製薬):ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニから抽出、調製したダニエキス原末を含有する舌下錠で、ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法を効能・効果とする。

鳥居薬品の「トリイ」を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定した。予測市場規模は、ピーク時の10年目で11万人、34億円。

 

ソバルディ錠400mg(ギリアド・サイエンシズ):ソホスブビルを有効成分とするジェノタイプ2型C型慢性肝炎治療薬。

田辺三菱製薬のテラビック、MSDのペグイントロンとレベトールカプセルの3剤の組み合わせを比較薬として、類似薬効比較方式Iで算定した。

同剤は、HCVウイルス増殖を直接抑制する新規の作用機序を有しているほか[1]インターフェロン治療で効果不十分、不耐容の患者に対しても高い有効性を示している[2]既存のインターフェロン治療で懸念される副作用リスクも低いと考えられる[3]経口投与のみによる治療を可能とし、インターフェロン治療で一部の患者に必要な投与初期の入院が必須ではない――ことが評価され、100%の画期性加算を適用。外国平均価格調整により引き上げた。

予測市場規模は、ピーク時の2年目で1万9000人、987億円。

 

エビリファイ持続性水懸筋注用300mg、同400mg、同300mgシリンジ、同400mgシリンジ(大塚製薬):アリピプラゾール水和物を有効成分とする統合失調症治療薬で、持効性製剤化した新投与経路医薬品。

ヤンセンファーマの「ゼプリオン」を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定。外国平均価格調整により引き上げた。予測市場規模は、ピーク時の10年目で4万人、140億円。

 

サイラムザ点滴静注液100mg、同点滴静注液500mg(日本イーライリリー):ラムシルマブ(遺伝子組み換え)を有効成分とする抗癌剤。効能・効果は、治癒切除不能な進行・再発の胃癌。

中外製薬の「アバスチン」を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定。外国平均価格調整により引き上げた。予測市場規模は、ピーク時の10年目で1万5000人、500億円。

 

オルドレブ点滴静注用150mg(グラクソ・スミスクライン):コリスチンメタンスルホン酸ナトリウムを有効成分とする抗生物質。コリスチンに感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシェラ属、エンテロバクター属、緑膿菌、アシネトバクター属(他の抗菌薬に耐性を示した菌株に限る)の各種感染症を効能・効果とする。

ファイザーの「タイガシル」を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定。比較薬の適応菌種に加え、多剤耐性緑膿菌に対する適応が認められているため、5%の有用性加算を適用した。外国平均価格調整により引き下げた。

予測市場規模は、ピーク時の2年目で90人、1700万円。

 

ノボサーティーン静注用2500(ノボノルディスクファーマ):カトリデカコグ(遺伝子組み換え)を有効成分とする血液凝固第XIII因子製剤。先天性血液凝固第因子Aサブユニット欠乏患者における出血傾向の抑制を効能・効果とする。

原価計算方式で算定。酵母を用いて製造された血液凝固第XIII因子で初めての遺伝子組み換え製剤で、製造工程においてヒトまたは動物由来の原材料が使用されておらず、感染症リスクのない薬剤である点が評価され、平均営業利益率にプラス10%が上乗せされた。予測市場規模は、ピーク時の10年目で12人、5億3000万円。

 

ガドビスト静注1・0mol/Lシリンジ5mL、同シリンジ7・5mL、同シリンジ10mL(バイエル薬品):ガドブトロールを有効成分とする造影剤で、磁気共鳴コンピュータ断層撮影における脳・脊髄造影、躯幹部・四肢造影を効能・効果とする。

ゲルベ・ジャパンの「マグネスコープ」を比較薬として類似薬効比較方式IIで算定した。企業側からは、小児への投与に適した製剤を有していることや、ガドリニウム含有造影剤のマクロ環構造型と直鎖構造型での腎性全身性線維症リスクの違いを踏まえ、小児加算の適用と類似薬効比較方式Iによる算定を求める不服意見が出された。

薬価算定組織で再検討した結果、「日本人小児を対象とした臨床試験が実施されていない」「構造の違いによる薬理作用の違いが示されているとは言えない」などを理由に当初案通りの算定とした。予測市場規模は、ピーク時の6年目で59万回、40億円。

 

エクリラ400μgジェヌエア30吸入用(杏林製薬):アクリジニウム臭化物を有効成分とする慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬。

ノバルティスファーマの「シーブリ」を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定した。予測市場規模は、ピーク時の6年目で5万人、26億円。

 

デュアック配合ゲル(グラクソ・スミスクライン):クリンダマイシンリン酸エステル水和物と過酸化ベンゾイルを有効成分とする尋常性ざ瘡(にきび)治療配合剤。

クリンダマイシンゲル1%「クラシエ」ほか4品目とマルホのベピオゲルを比較薬として新医療用配合剤の特例を適用し、「最も安い他社品の薬価の合計」で算定。外国平均価格調整により引き下げた。予測市場規模はピーク時の9年目で120万人、51億円。

 

表:新医薬品一覧表(2015年5月20日収載予定)

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出典:薬事日報

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