平成の医薬品産業~売上データで振り返る30年・2015年編
画期的C型肝炎薬が台頭‐バイオ医薬品時代も到来
寄生虫感染症への画期的治療法の発見で大村智北里大学特別栄誉教授がノーベル医学生理学賞を受賞した2015年。世界の医薬品産業はバイオ医薬品が全盛期の時代にあった一方、大村氏が発見した抗寄生虫薬「エバーメクチン」の誘導体は、顧みられない熱帯病のオンコセルカ症(河川盲目症)の特効薬として使用され、日本が得意とする微生物創薬が高く評価されたことは薬業界に大きな励みとなった。
その15年の国内売上高トップ10は、生活習慣病治療剤が群雄割拠していた10年と比べて様変わりし、バイオ医薬品が登場してきた。そんな中、国内売上トップに立ったのは、ギリアド・サイエンシズの画期的な低分子医薬品であるC型肝炎治療配合剤「ハーボニー」。C型肝炎に対してリバビリンを併用せず、1日1回1錠を3カ月服用するだけでほぼ治癒する画期的な新薬が登場した。
さらに、インターフェロンを必要とせずリバビリンとの併用で使用するギリアド・サイエンシズのC型肝炎治療剤「ソバルディ」も4位にランクイン。C型肝炎の治療を大きく変える画期的な治療剤が上位を席巻した。
その対価として薬価は極めて高額となった。「ソバルディ」は13年ぶりの画期性加算が適用され、1錠6万円。「ハーボニー」は1錠8万円となり、国の医療費に影響を与えるほどの大幅な薬剤費増につながった。高額薬剤の問題が急浮上したのもソバルディとハーボニーが大きなきっかけになったと言えよう。
15年はバイオ医薬品が出てきたのも特徴で、2位に中外製薬の抗VEGFヒト化モノクローナル抗体「アバスチン」、7位に田辺三菱製薬の抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「レミケード」と大型製品が入った。
そのほか、3位には世界的なブロックバスターとなったサノフィの抗血小板剤「プラビックス」が登場。5位にアストラゼネカと第一三共のプロトンポンプ阻害剤「ネキシウム」、6位に第一三共のアンジオテンシンII受容体拮抗剤「オルメテック」、8位にファイザーとエーザイの疼痛治療剤「リリカ」がランクインした。
9位には久光製薬の経皮鎮痛消炎剤「モーラス」が10年から順位を落とし、10位にはMSDの選択的DPP-4阻害剤「ジャヌビア」が登場した。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
たった4年前のことですが、世のお調子者たちが「安心してください、はいてますよ」とか、恐怖の七年殺し(byトイレット博士)を思い出させる「五郎丸ポーズ」の物真似に励んでいたことを考えると、もっともっと昔にも思えてしまう2015(平成27)年、医薬品産業には画期的なC型肝炎薬が台頭しました。それはギリアド・サイエンシズの低分子医薬品『ハーボニー』です。