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国内初のRNAi薬登場~新薬8件の承認・一変了承

薬+読 編集部からのコメント

5月28日、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会により、国内初のRHAi治療薬「オンパットロ点滴静注」(アルナイラムジャパン)を含む8件の製造販売承認・一部変更承認が了承されました。オンパットロ点滴静注は、新有効成分のパチシランナトリウムを含有し、全身性臓器障害を起こす「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー」を効能・効果とします。その他の医薬品の詳しい審議内容は下記の通りですので、確認しておきましょう。

薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は28日、アルナイラムジャパンの国内初のRNAi治療薬「オンパットロ点滴静注」(一般名:パチシランナトリウム)など8件の製造販売承認と一部変更承認を審議し、了承した。また、アステラス・アムジェン・バイオファーマのヒト抗PCSK9モノクローナル抗体製剤「レパーサ皮下注」(エボロクマブ〈遺伝子組み換え〉)の一部変更承認について報告を受けた。

 

■審議品目

▽オンパットロ点滴静注2mg/mL(アルナイラムジャパン):新有効成分のパチシランナトリウムを含有し、末梢神経障害など全身性臓器障害を引き起こす「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー」を効能・効果とするRNAi治療薬。疾患原因となる蛋白質の産生を阻害するRNAi治療薬は国内初となる。

用法・用量は、3週に1回、0.3mg/kgを点滴静注するが、104kg以上の患者には、3週に1回、31.2mgを点滴静注する。いずれの場合も、70分間以上(投与開始後15分間は約1mL/分、その後は約3mL/分)かけて投与する。

希少疾病用医薬品で、再審査期間は10年。海外では、米国と欧州で承認されている。

デファイテリオ静注200mg(日本新薬):新有効成分のデフィブロチドナトリウムを含有し、肝類洞閉塞症候群(肝中心静脈閉塞症)が効能・効果。

用法・用量は、1回6.25mg/kgを1日4回、2時間かけて静脈内投与する。

未承認薬・適応外薬検討会議の開発要請品目。希少疾病用医薬品に指定されており、再審査期間は10年。海外では、35の国・地域で承認されている。

ユルトミリス点滴静注300mg(アレクシオンファーマ):新有効成分のラブリズマブ(遺伝子組み換え)を含有し、発作性夜間ヘモグロビン尿症を効能・効果とする。

用法・用量は、患者の体重を考慮し、1回2400~3000mgを開始用量とし、初回投与2週間後に1回3000~3600mg、以降8週ごとに1回3000~3600mgを点滴静注する。

希少疾病用医薬品に指定されており、再審査期間は10年。海外では米国で承認されている。

ゾルトファイ配合注フレックスタッチ(ノボノルディスクファーマ):有効成分のインスリンデグルデク(遺伝子組み換え)とリラグルチド(遺伝子組み換え)を含有する新医療用配合剤。インスリン療法が適応となる2型糖尿病を効能・効果とする。持効型インスリン製剤とGLP-1受容体作動剤を配合した製品は国内初。

用法・用量は、初期は1日1回10ドーズ(インスリンデグルデク/リラグルチドとして10単位/0.36mg)を皮下注射する。投与量は患者の状態に応じて増減するが、1日50ドーズ(50単位/1.8mg)を超えないこととした。注射時刻は原則として毎日一定とし、用量単位である1ドーズには、インスリンデグルデク1単位およびリラグルチド0.036mgが含まれる。

再審査期間は4年で、海外では欧米など58カ国で承認されている。

インチュニブ錠1mg、同3mg(塩野義製薬):有効成分のグアンファシン塩酸塩を含有する注意欠陥・多動性障害(ADHD)治療剤。従来は小児のみ投与可能だったが、成人も使用できるようにした。

用法・用量は、18歳以上の患者に対し1日2mgより投与開始し、1週間以上の間隔を空けて1mgずつ、1日4~6mgの維持用量まで増量する。症状により増減するが、1日用量は6mgを超えないこととし、いずれも1日1回経口投与する。

再審査期間は残余の2025年3月29日まで。海外では、成人期のADHDの効能・効果で承認している国・地域はない。

ロミプレート皮下注250μg調製用(協和発酵キリン):有効成分のロミプロスチム(遺伝子組み換え)を含有する血小板造血刺激因子製剤。新たに「既存治療で効果不十分な再生不良性貧血」を効能・効果に追加する。

用法・用量は、初回投与量10μg/kgを皮下投与し、投与開始後、患者の状態に応じて投与量を増減し、週1回皮下投与する。また、最高投与量は週1回20μg/kgとした。

再審査期間は5年10カ月。海外では再生不良性貧血の効能・効果で承認している国・地域はない。

ミニリンメルトOD錠25μg、同50μg(フェリング・ファーマ):有効成分のデスモプレシン酢酸塩水和物を含有する抗利尿ホルモン用剤。既に60μg、120μg、240μgが承認されているが、これら用量に関しては、低ナトリウム血症が発現する恐れから、65歳以上から治療を開始することが推奨されていなかった。

今回、より低用量である25μg、50μgの新剤形を設けた上で、「男性における夜間多尿による夜間頻尿」を効能・効果とした。

用法・用量は、1日1回就寝前に50μgを経口投与する。再審査期間は4年。海外では39の国・地域で承認されている。

ロナセンテープ20mg、同30mg、同40mg(大日本住友製薬):有効成分のブロナンセリンを含有する抗精神病剤で、効能・効果は統合失調症。既に錠剤が承認されているが、新たに貼付剤を追加した。

用法・用量は、40mgを1日1回貼付するが、患者の状態に応じて最大80mgを1日1回貼付することもできる。患者の状態に応じて増減するが、1日量は80mgを超えないこととした。胸部、腹部、背部のいずれかに貼付し、24時間ごとに貼り替える。

再審査期間は6年で、海外では、貼付剤を承認している国・地域はない。

 

■報告品目

レパーサ皮下注140mgシリンジ、同140mgペン、同420mgオートミニドーザー(アステラス・アムジェン・バイオファーマ):有効成分のエボロクマブ(遺伝子組み換え)を含有するヒト抗PCSK9モノクローナル抗体製剤で、家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症を効能・効果としているが、新たにHMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)による治療が適さない患者にも使用できるようにした。

用法・用量は、家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体、高コレステロール血症に対しては、140mgを2週間に1回または420mgを4週間に1回皮下投与する。

家族性高コレステロール血症ホモ接合体に対しては、420mgを4週間に1回皮下投与する。効果不十分な場合は、420mgを2週間に1回皮下投与でき、LDLアフェレーシスの補助として使用する場合は、開始用量として420mgを2週間に1回皮下投与できるとした。

再審査期間は、残余の24年1月21日まで。海外では、スタチンによる治療が適さない場合も含む心血管イベントの発現リスクが高い高コレステロール血症に関する効能・効果で、欧米など68カ国で承認されている。

 

■1件をオーファン指定

この日の部会では、バイエル薬品の「アフリベルセプト(遺伝子組み換え)」を希少疾病用医薬品に指定することも了承した。

アフリベルセプト(遺伝子組み換え):予定される効能・効果は、血管新生緑内障(NVG)

NVGは続発緑内障に含まれ、眼圧が上昇して高眼圧の状態が持続することで視神経障害が進行し、失明に至る場合もある。

国内患者数は1万9128~2万3841人と推定されている。眼圧下降剤による治療が実施されているが、新生血管を退縮させないことから、眼圧コントロールには限界がある。

一方、VEGF阻害剤であるアフリベルセプトは新生血管の形成を抑制し、速やかな新生血管の退縮と眼圧下降が期待できるほか、国内の緑内障診療ガイドラインでもVEGF阻害剤の眼内投与の有効性が報告されていることなどを踏まえ、医療上の必要性は高いとした。

また、NVG患者を対象とした国内第III相試験が実施され、眼圧を低下させる傾向が認められたことから、開発の可能性も高いと判断した。

 

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出典:薬事日報

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