医療

MRは地域医療で役割を~一部企業で行動評価が浸透

薬+読 編集部からのコメント

病院や製薬会社の経営は、時に「医は仁なり」の精神に矛盾する場面もあることでしょう。製薬会社に勤務しつつ、正しい医療情報を提供しなければならないMR(Medical Representative=医薬情報担当者)を取り巻く環境も厳しさを増しています。さる7月20日に開催された日本医薬品情報学会(JASDI)フォーラムでは、MRが今後担うべき役割についてパネル討論を実施。パネリストからは、「MRが製薬企業の社員では難しい」と厳しい声が出た一方、地域医療におけるMRの貢献度も高評価されていました。すでに外資系製薬企業の一部ではMRの評価制度が必ずしも売上ではなく、行動を評価するようになっているという事例も紹介されていました。

医薬品情報提供活動の規制強化や情報提供手段の多様化を背景に、MRを取り巻く環境が厳しさを増している中、20日に都内で日本医薬品情報学会(JASDI)が開催したフォーラムでは、MRが今後担うべき役割についてパネル討論を行った。パネリストからは、「MRが医薬品情報提供で役割を発揮するためには、製薬企業の社員では難しい」との厳しい声が出た一方、「情報が充足していない地域医療ではMRは貢献できる」と企業がMRの評価制度を見直し、行動変容につなげるべきとの前向きな意見もあった。

 

横浜労災病院乳腺外科部長の千島隆司氏は、「MRがビジネスマンとしてではなく、医療に携わる人間として医療情報を正しく提供し、副作用情報を回収することで社会に貢献するのであれば、製薬企業から切り離すしかない」との私見を語った。

 

その上で、「われわれ医療従事者と同様に国家資格を持ち、その道のプロフェッショナルとして医薬品情報を提供・収集する職種を立ち上げ、マーケティングに携わらないようにしないと、現状の規制のもとではMR活動はできなくなる」と述べた。

 

杏林大学医学部付属病院薬剤部の若林進氏は、医薬品情報(DI)室に在籍する薬剤師の立場から、MRが行う副作用情報の伝達・収集活動が今後縮小に向かうと予測。医薬品医療機器総合機構(PMDA)の大規模医療情報データベースシステム「MID-NET」を活用した副作用情報の収集が普及することにより、「MRが各医療現場を訪問して、医療従事者に副作用を確認する情報収集は大幅に減るのではないか」との見方を示した。

 

MRの今後の役割について、地域の薬局薬剤師などと連携していくに当たり、「MRに手伝っていただくことは多い。地方ほど地域医療の連携が必要ではないか」と地域医療への貢献に期待した。

 

コニカミノルタプレシジョンメディシンジャパン・オペレーションエクセレンス部の小牧弘典氏は、外資系製薬企業の一部でMRの評価制度が売上ではなく、行動を評価するようになっていると紹介。「MRのビジネス上の計数目標を廃止し、ほとんどの大手企業がMR活動の各プロセスを評価する制度を取り入れている」と述べた上で、地域医療のネットワーク構築でMRが中心的な役割を担えるよう期待した。

 

MR認定センターの近澤洋平氏も、製薬各社によるMR活動のプロセスを評価する制度が導入され、今後医師向けの説明会・研究会の開催回数を数値目標にする可能性に言及。「一度の説明会・研究会であっても、どのような意義があったのかを上長と共有し、正しい活動であったとMRが実感できる制度であってほしい」と訴えた。

 

 

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出典:薬事日報

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