【第一三共】TGCT薬を米国上市~抗癌剤市場に本格参入
第一三共は、CSF1R阻害剤「ペキシダルチニブ」(米国製品名:トゥラリオ)について、腱滑膜巨細胞腫(TGCT)の適応で米FDAから承認を取得し、販売を開始したと発表した。2025年ビジョンとして、癌に強みを持つグローバル創薬企業を目指してきた同社は、今回初めて抗癌剤の上市にこぎ着け、癌市場に本格参入する。
ペキシダルチニブは、Fms/Kit/FLT3ITDの各受容体チロシンキナーゼを選択的に阻害するキナーゼ阻害剤。TGCTを適応とした初めての薬剤となる。TGCT患者120人を対象とした欧米第III相試験「ENLIVEN試験」の結果に基づき、FDAから承認申請が受理されていた。
TGCTは、痛みや動作の制限を伴う良性腫瘍で、関節内側の組織が炎症や異常増殖を起こすことが特徴。これまで手術による腫瘍切除以外に有効な全身療法がなかったが、同剤の上市により、腫瘍切除不能なTGCT患者に新たな治療選択肢になることが見込まれている。
同剤の安全性については、重篤な肝障害リスクを軽減するため、安全性の管理方法等をまとめたプログラム「REMS」に従い処方される。ENLIVEN試験では、肝機能障害に関する検査値上昇が認められ、肝機能の有害事象による投与中断が8例、非致死性の重篤な肝障害症例が4例報告されている。
第一三共は、25年までに癌領域で7製品の上市を目指しており、ペキシダルチニブに続き、抗HER2抗体薬物複合体(ADC)「DS8201」(一般名:トラスツズマブ・デルクステカン)などが控えている。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
癌市場への本格参入と、2025年までに癌領域で7製品の上市を目指している第一三共株式会社(本社・東京都中央区)では、CSF1R阻害剤「ペキシダルチニブ」について、腱滑膜巨細胞腫(TGCT)の適応で米FDAから承認を取得し、販売を開始しました。同社における抗癌剤での上市は初となります。ペキシダルチニブに続き、今後は抗HER2抗体薬物複合体「トラスツズマブ・デルクステカン」などが控えています。