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ゾフルーザ耐性で調査結果~出現頻度を示すデータ

薬+読 編集部からのコメント

塩野義はゾフルーザに耐性を示すPA/I38アミノ酸変異株の出現状況について、特定使用成績調査の結果を発表しました。全例解析結果を公表したのは初となります。PA/I38アミノ酸変異株と臨床症状の関連についての見解も発表され、成人や青少年において同剤投与後のPA/I38アミノ酸変異株の検出と罹病期間中央値の関連性に一定の傾向は認められませんでした。小児においても一部患者さんにおける解熱後の再発熱が認められたものの、一定の治療効果を示唆する結果が得られたとしています。

塩野義製薬は2日、抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ」に耐性を示すPA/I38アミノ酸変異株の出現状況について、新潟大学で実施された特定使用成績調査の結果を発表した。同剤投与3~6日後の再診時にPA/I38Tアミノ酸変異など、PA蛋白質に変異の入った株の出現頻度はA/H1N1pdm型感染患者で12.5%(32人中4人)、A/H3N2型感染患者で14.1%(64人中9人)だった。

 

PA/I38Tアミノ酸変異株だけに限定すると、出現頻度はA/H1N1pdm型感染患者で6.3%(32人中2人)、A/H3N2型感染患者で10.9%(64人中7人)だった。

 

調査は、国内の6医療機関を受診し、同剤の投与を受けた20歳以下のA型インフルエンザ感染患者96人を対象に実施。96人のうち、A/H3N2型感染患者の1人で同剤投与前の時点でPA/I38Tアミノ酸変異株が検出されていた。

 

調査対象の全例解析結果を発表したのは今回が初めて。以前発表された中間解析結果の傾向と、今回の全例解析結果で示された傾向に大きな違いはないという。同剤投与によって耐性株が出現することが問題視されているが、調査結果は出現頻度を示すエビデンスの一つになる。

 

再診時にインフルエンザウイルスの残存が確認できた同剤投与患者を母数とした場合、PA/I38Tアミノ酸変異などPA蛋白質に変異の入った株の出現頻度は、A/H1N1pdm型感染患者で57.1%(7人中4人)、A/H3N2型感染患者で33.3%(27人中9人)。PA/I38Tアミノ酸変異株だけに限ると、出現頻度についてはA/H1N1pdm型感染患者で28.6%(7人中2人)、A/H3N2型感染患者で25.9%(27人中7人)となっていた。

 

治療効果については、再診時にPA/I38Tアミノ酸変異株が検出された患者9人、変異のないウイルス株が検出された患者21人、インフルエンザウイルスが検出限界以下の患者62人の解熱までの平均時間はいずれも1日程度で、差はなかった。

 

塩野義は、各種臨床試験結果から推定されるPA/I38アミノ酸変異株と臨床症状の関連について見解も発表した。

 

成人や青少年では、同剤投与後のPA/I38アミノ酸変異株の検出と罹病期間中央値の関連性に一定の傾向は認められず、同変異株の有無によらずに評価した集団で治療効果を示すことが考えられたとしている。

 

小児では、比較対照のない日本人集団の試験成績において、PA/I38アミノ酸変異株が検出されたA/H3N2型感染の低年齢小児患者で罹病期間中央値が長い傾向を指摘。一部患者における解熱後の再発熱が認められたものの、グローバル小児試験ではオセルタミビルと比べて明確な差は見られず、一定の治療効果を示唆する結果が得られたとしている。

 

 

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出典:薬事日報

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