医療

健サポ薬局に「豊中モデル」~産官学の協働事業スタート

薬+読 編集部からのコメント

全国初となる行政・薬剤師会・大学の3者が連携した産学官共同研究が大阪府の豊中市で始まります。豊中市が同市の薬剤師会、大阪大と協働し、薬局を拠点として健康情報を発信する「健康サポート薬局・豊中モデル」がそれです。薬剤師の専門性を生かし、良質な健康情報を市民に向けて発信。そこから得られたデータを阪大へと提供し、その結果をフィードバックするというシステムです。2022年3月末までを予定し、かかる事業費はわずかに493万円。豊中モデルが効果検証を通じて、全国に広がっていく可能性は大です。

豊中市(大阪府)は17日、同市薬剤師会、大阪大学と協働し、薬局を拠点に健康情報を発信する「健康サポート薬局・豊中モデル」事業をスタートさせた。市内7薬局を健康情報拠点薬局と位置づけ、電子掲示板(デジタルサイネージ)を設置して健康、医療、福祉などに関する市政情報などを発信。薬剤師がその場で解説・相談対応し、市民の健康増進維持を支援する。阪大は、利用者の満足度や健診受診率への影響などデジタルサイネージの情報発信による効果検証も行う。行政、薬剤師会、大学の3者が連携した産学官共同研究の取り組みは全国で初めて。

 

同事業では、薬局が健康情報発信の拠点として、市民へのヘルスリテラシーの向上に寄与する存在となるよう産官学で取り組む。豊中市が健康、医療・福祉などの市政情報を、豊中市薬に提供。豊中市薬は、デジタルサイネージで発信する情報を収集し、健康情報拠点薬局へ配信する。健康情報拠点薬局は、市民からの相談に対して適切な助言を行うなど、薬剤師の専門性を生かし、良質な健康情報を発信することで、市民が自らの健康に取り組むきっかけを作る。

 

また、豊中市や豊中市薬、健康情報拠点薬局から効果検証に資するデータを阪大へ提供し、解析を行った後、その結果をフィードバックする。阪大は利用者の満足度や健診受診率、予防接種実施率などへの影響を調査するなど、事業の効果検証を行うと共に、市民がどのような健康情報に興味を持っているかを分析し、デジタルサイネージでの発信内容を定期的に見直す。同事業は、豊中市が主体となって2022年3月末まで行うもので、事業費は493万円。

 

運用開始時は、市内の日常生活圏7エリア当たり1軒の薬局を健康情報拠点薬局として選定。将来的には、中学校区に2軒をメドに34軒まで拡大していく考えだ。薬局に設置するデジタルサイネージは、タッチパネル式を採用し、複数メニューから利用者が自らのニーズに応じた情報を取得できる。

 

パネルの情報はQRコードでスマートフォンなどに取り込むことができる。トップ画面には、豊中市や豊中市薬が発信する12のコンテンツのほか、地域の医療情報なども掲載する。各薬局では、タブレットを使ったアンケート調査も行い、配信するデジタルサイネージの情報の有用性を評価。効果検証は事業開始1年目に中間評価を行う。

 

同日、豊中市庁舎内で長内繁樹豊中市長(写真中央)、豊中市薬(写真右は芦田康宏豊中市薬会長)、阪大関係者(写真左は土井健史阪大薬学研究科長)らによる協定書調印式が行われた。長内市長は、「身近な薬剤師に相談できる薬局を拠点に事業を展開することにより、地域包括ケアシステムの豊中モデルを作るための手がかりにしたい」と意気込みを語った。

 

市民が気軽に健康相談できる場を薬局から提供することで、地域包括ケアシステムの豊中モデルの構築につなげていく予定で、豊中モデルの効果検証を通じ、全国にも発信していきたい考えだ。

 

 

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出典:薬事日報

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