18年度医療費は42.6兆円~「対人」で薬学管理料9%増
厚生労働省は26日、2018年度の医療保険と公的負担医療分を合わせた概算医療費が42兆6000億円になったと発表した。前年度から約3000億円増、0.8%の伸び率となり、過去最高を更新した。ここ数年の2%程度の伸び率に比べると、低めの伸び率となったが、厚労省は「18年度診療報酬改定で薬価と材料価格が引き下げられたことが一つの要因」としている。薬価改定の影響を受けた18年度の調剤医療費(電算処理分)は、7兆4279億円で3.1%減となった。
医療費の内訳を見ると、入院が0.3%増の17.3兆円、入院外+調剤が0.1%減の22兆円となった。医療費の伸び率は0.8%で、ここ数年の伸び率が2%程度だったことを踏まえると、やや低い水準となった。
18年度診療報酬改定は、本体部分を0.55%引き上げる一方で、薬価と材料価格を1.74%引き下げたため、全体の改定率は実質1.19%のマイナスとなった。改定によるマイナス分の1.19%を0.8%に割り戻すと、ほぼ2%となるため、厚労省は「最近の傾向と同程度の伸び率になる」と分析した。
一方で、18年度の調剤医療費は7兆4279億円と前年度比3.1%減だった。内訳を見ると、薬剤料が5兆4834億円(構成比73.8%)で前年比4.5%減、技術料は1兆9311億円(26.2%)で1.0%増となった。
技術料のうち、薬学管理料は8.6%増の4016億円と増加しており、厚労省が進める「薬局における対人業務の評価の充実」の影響がうかがえた。また、調剤基本料が2.6%減の5336億円、調剤料は0.1%減の8548億円、加算料は1.4%増の1411億円となった。
薬剤料は、内服薬が5.1%減の4兆4346億円。後発品は1.5%増の1兆0245億円とわずかに伸びた。処方箋1枚当たりの技術料は0.4%増の2301円、処方箋1枚当たりの薬剤料は5%減の6533円だった。
処方箋1枚当たりの調剤医療費を年齢階級別に見ると、年齢と共に高くなり、75歳以上では1万0670円で、最も低い0歳以上5歳未満の3197円の約3.34倍となった。
内服薬の薬剤料の総額を薬効分類別に見ると、循環器官用薬が8238億円と最も多く、次いで中枢神経系用薬が7895億円となった。伸び率が最も高かったのは腫瘍用薬の3567億円で10.7%増だった。
後発品の割合は、昨年度末の数量ベースを新指標で見ると77.7%となった。昨年3月時点の数量ベース73.0%から4.7ポイント増加した。後発品割合別に保険薬局数を見ると、今年3月時点で数量シェア65%未満の薬局は16.7%と昨年3月時点の23.7%から減少した。
一方、75%以上の薬局は70.8%と7割を突破し、85%以上の薬局も31.5%に上るなど、「20年9月までに後発品数量シェア80%」の目標達成に向け、後発品の使用が進んでいることがうかがえた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚労省が発表しました2018年度概算医療費(医療保険+公的負担医療分)が42兆6000億円となりました。前年度から0.8%の伸び率となり、過去最高を更新。ここ数年の伸び率(約2%)と比較して、低めの伸び率となったことに関して、厚労省側は、18年度診療報酬改定により、薬価と材料価格が引き下げられたことを要因の一つに挙げています。また薬学管理科おける8.6%増に関しては、厚労省が推進する「薬局における対人業務の評価の充実」の影響が大きいようです。