医療費

薬価引き下げ影響、伸び率縮小~厚労省、18年度概算医療費42.6兆円に

薬+読 編集部からのコメント

厚労省が公表した2018年度の概算医療費(医療保険+公的負担医療分)が、前年度から3000億円増加、0.8%の伸び率で42兆6000億円と過去最高を更新しました。この数年の伸び率が2%程度で推移していたことを考えると、やや低めの水準ともなりますが、厚労省側はその要因に「18年度診療報酬改定で薬価と材料価格が引き下げられたこと」を挙げています。また薬剤料の減少が調剤医療費全体の減少にもつながっており、ここにも薬価引き下げの影響がうかがえます。

厚生労働省が公表した2018年度の医療保険と公的負担医療分を合わせた概算医療費は、42兆6000億円で過去最高を更新した。前年度から約3000億円増え、0.8%の伸び率となった。ここ数年、伸び率は2%程度で推移していたため、やや低めの水準となったが、厚労省はその要因の一つについて「18年度診療報酬改定で薬価と材料価格が引き下げられたこと」を挙げている。18年度の調剤医療費(電算処理分)は、薬価改定の影響を受け、7兆4279億円で3.1%減となった。調剤医療費のうち、技術料が1兆9311億円で前年度より1.0%増え、このうち、対人業務を主に評価する薬学管理料は、前年度比8.6%増となった。

 

薬学管理料が8.6%増加‐対人業務評価の充実反映

医療費の内訳を見ると、入院が0.3%増の17.3兆円、入院外+調剤が0.1%減の22兆円となった。医療費の伸び率は0.8%で、伸び幅が緩やかになったように見えるが、薬価引き下げの影響を考慮すれば「例年の伸びと同程度になる」(厚労省)としている。

18年度診療報酬改定は、本体部分を0.55%引き上げる一方で、薬価と材料価格を1.74%引き下げたため、全体の改定率は実質1.19%のマイナスとなった。改定によるマイナス分の1.19%を0.8%に戻すと、ほぼ2%となるため、厚労省は「高齢化や医療の高度化で医療費が増えるこれまでの基調に大きな変化はない」と分析している。

 

一方で、18年度の調剤医療費は7兆4279億円と前年度比3.1%減だった。内訳を見ると、薬剤料が5兆4834億円(構成比73.8%)で前年比4.5%減、技術料は1兆9311億円(26.2%)で1.0%増、特定保険医療材料料が134億円(0.2%)で3.8%増。薬剤料の減少が調剤医療費全体の減少につながっており、薬価引き下げの影響がうかがえた。

 

技術料のうち、かかりつけ薬剤師指導料などの対人業務を評価する薬学管理料は8.6%増の4016億円と増加。厚労省が進める「薬局における対人業務の評価の充実」の影響がうかがえた。また、調剤基本料が2.6%減の5336億円、調剤料は0.1%減の8548億円、加算料は1.4%増の1411億円となった。

 

薬剤料は、内服薬が5.1%減の4兆4346億円。後発品は1.5%増の1兆0245億円とわずかに伸びた。処方箋1枚当たりで見ると、技術料2301円(前年度比0.4%増、全体の26%)、薬剤料6533円(5.0%減、73.8%)、特定保険医療材料料16円(3.2%増、0.2%)だった。

 

処方箋1枚当たりの調剤医療費を年齢階級別に見ると、年齢と共に高くなり、75歳以上では1万0670円で、最も低い0歳以上5歳未満の3197円の約3.34倍となった。

 

内服薬の薬剤料の総額を薬効分類別に見ると、循環器官用薬が8238億円と最も多く、次いで中枢神経系用薬が7895億円。伸び率が最も高かったのは腫瘍用薬の10.7%増で、3567億円だった。

 

後発品使用割合77.7%に‐80%達成へ着々と浸透

後発品の使用割合は、18年度末の数量ベースを新指標で見ると77.7%と、前年度末に比べ4.7%増加した。後発品調剤率は73.6%(2.8%増)だった。

 

後発品割合別に薬局数を見ると、後発品割合が75%以上の薬局数は18年4月時点で60.1%だったのに対し、19年3月には70.8%まで増加。そのうち後発品割合が85%以上の薬局数は18年4月の18.5%から、19年3月には31.5%に増加するなど、「20年9月までに後発品数量シェア80%」の目標達成に向け、後発品の使用が進んでいる状況がうかがえた。

 

都道府県別では、後発品割合が数量ベースで最も高かったのは沖縄県の86.6%で、鹿児島県84.0%、岩手県83.5%と続いた。最も低かったのは徳島県の70.8%で、次いで高知県73.5%、東京都73.6%と続いた。

 

さらに地域別では、後発品割合が最も高かった市町村は、岩手県九戸郡軽米町の93.2%。次いで岩手県久慈市の92%、宮崎県児湯郡新富町の92%、沖縄県島尻郡与那原町の91.3%、長崎県南松浦郡上五島町の91.2%、沖縄県中頭郡北中城村の91.1%、北海道赤平市の91%、岩手県二戸郡一戸町の90.9%、茨城県結城郡八千代町の90.2%、静岡県榛原郡川根本町の89.9%と続いた。

 

上位20市町村のうち、半分近い9市町村が90%を上回っており、後発品割合が増えている傾向が見てとれた。

 

 

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出典:薬事日報

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