医療費

厚労省が次期薬価制度改革の論点整理案を提示~薬価専門部会

薬+読 編集部からのコメント

診療報酬改定をめぐる議論が進められているなか、11月22日、厚労省により「次期薬価制度改革に向けた論点整理(案)」が提示されました。新薬創出等加算の品目や企業要件の見直しのほか、後発品置き換え率80%以上の長期収載品へのG1ルール前倒しの適用などの案が盛り込まれています。詳しくは下記を確認しましょう。

厚生労働省は11月22日の中央社会保険医療協議会薬価専門部会に、「次期薬価制度改革に向けた論点整理(案)」を提示した。「新薬創出・適応外薬解消等促進加算(以下、新薬創出等加算)」の品目・企業要件の見直しのほか、後発品置き換え率80%以上の長期収載品へのG1ルール前倒し適用などの案を盛り込んだ。

 

新薬創出等加算では企業指標について、▶過去5年の革新的新薬(新薬創出等加算対象品目または新規作用機序医薬品)の収載実績、▶過去5年の薬剤耐性菌の治療薬の収載実績―の追加を提案した。既存の指標では、過去5年の新薬収載実績における収載成分数のカウント方法を変更。新薬創出等加算対象品目と新作用機序医薬品は1成分、それ以外の新薬は2/3成分相当として計算する重みづけをすることで、開発品目が多い大企業に有利だと訴える業界団体の主張への配慮をみせた。品目要件では、先駆け審査指定制度の対象品目と薬剤耐性菌の治療薬を追加する案を示した。

 

新薬創出等加算対象品目を比較薬として「類似薬効比較方式(I)」で新薬の薬価を算定する場合の対応では、比較薬の累積加算額の控除時期につい、▶「類似薬効比較方式(II)」の場合と同様、当該品目の上市時点における比較薬の累積加算額を算定時に控除、▶収載後、一定期間が経過するまでの間に、新薬創出等加算の対象となる効能追加などがなければ、当該品目の上市時点における比較薬の累積加算額を控除―の2案を併記。意見集約に向けて、議論を深める方向性を示した。

■後発品置き換え率80%超の長期収載品、G1ルールを前倒し適用

長期収載品の薬価の段階的引き下げルールでは、現在は後発品上市の10年後に適用されるG1ルールの一部前倒し実施を提案した。具体的には、後発品への置換え率が80%以上になった品目は、後発品上市から10年未満の場合であっても、その2年後の薬価改定時に再度、置換え率が80%以上になっていることを確認したうえで、G1対象とする。Z2とCの置換え率の基準は10%ずつ引き上げ、▶50%未満、▶50%以上70%未満、▶70%以上80%未満―とする。

 

後発品のうち、新規収載品の薬価は先発品の薬価の0.5掛とする現行ルールを維持。既収載品の薬価を価格帯(現在は先発品の薬価の50%以上、30%以上50%未満、30%未満の3価格帯)に集約することで、薬価が大幅に引き上がるケースの対応でも具体案を提示した。

 

改定前よりも薬価が引き上がるのには、(1)例えば30%と50%の境界値が下がり、30%以上50%未満の品目が50%以上に該当するようになるなど、上の価格帯に移行する、(2)上の区分から降りてきた品目のために移行先の下の区分の加重平均値が引き上がる―2つのケースが考えられる。このうち、(1)について厚労省は、上の価格帯に移行することで薬価の上昇が見込まれる場合は、移行させずに元の価格帯のままとすることを提案。(2)は、上の区分から降りてきた品目よりも改定前薬価が低い品目のみで加重平均して薬価設定する価格帯を別に設ける考えを示した。

 

次回は論点整理案に対する関係団体ヒアリングを実施し、その結果も踏まえて骨子案を作成する。

 

 

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出典:Web医事新報

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