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【本紙集計】薬価改定、再算定品で明暗~中外と帝人ファーマは9%台

薬+読 編集部からのコメント

薬事日報社が4月1日の薬価改定を受けて、国内製薬33社の薬価改定状況をまとめました。業界平均の改定率は4.38%となり、再算定ルールが適用された品目を持つ企業ではそれを上回る厳しい改定となっています。外資系では、アッヴィがプラス0.2%台と回答企業で唯一のプラス改定となり、後発品メーカーでは日医工が3.1%、東和薬品が3.4%と、影響度では新薬メーカーとほぼ変わらない数字を出しています

4月1日に行われる薬価改定を受け、本紙は国内製薬各社の薬価改定状況をまとめた。業界平均の改定率は4.38%となり、再算定ルールが適用された品目を持つ企業ではそれを上回る厳しい改定となった。昨年度に過去最高の売上・利益となった中外製薬は、上位5品目中3品目が再算定や新薬創出等加算額の返還が影響し、9.2%と二桁近い改定率となった。中堅では主力の痛風治療薬「フェブリク」が再算定の対象となった帝人ファーマが9%後半となった一方、外資系のアッヴィは自己免疫疾患治療薬「ヒュミラ」の適応追加が新薬創出等加算の品目要件を満たし、唯一のプラス改定となった。

中外製薬は、昨年10月の消費税増税に伴う薬価改定では0.2%と業界内で影響が小さかったが、今回の改定では主力品の特許切れのタイミングに当たったことや、昨年好調だった主力品が再算定の対象となったことから、平均改定率は16年度改定の5.5%、18年度改定の6.7%を上回る9.2%となった。新薬創出等加算は10成分15品目が適用を受けたが、国内で1000億円近く売り上げた抗癌剤のトップ製品「アバスチン」や抗癌剤「ゼローダ」など3成分5品目が加算額を返還した。

 

汎用品目ではアバスチンが15.7%、市場拡大再算定を受けた自己免疫疾患治療薬「アクテムラ」が18.5%、「パージェタ」が15.0%と大幅な引き下げとなった。

 

第一三共は、6%程度の改定率と業界平均よりも大きかった。排尿障害治療薬「ユリーフ」など2成分6品目が加算額を返還。再算定を含む加算の対象外品目は8成分30品目と多かった。汎用品目では、抗潰瘍薬「ネキシウムカプセル」がプラス0.9%と引き上げられたが、抗凝固薬「リクシアナ錠」は年間売上高が1000億円を超え、予想販売額の1.5倍以上に拡大したことから特例拡大再算定が適用され、25%の大幅な改定率となった。

 

大塚製薬は加算の返還品目はなかったものの、市場拡大再算定を受けた「サムスカ錠7.5mg」が16.5%の改定率となり、4%台となった。武田薬品は加算額の返還品目が「ベネット錠75mg」のみで1%弱、アステラス製薬も1%台後半だった。エーザイは「ヒュミラ皮下注40mgペン0.4mL」が1.6%のプラス改定となり、2%強にとどめた。

 

準大手では、協和キリンが4%強と業界平均に近い改定率となった。腎性貧血治療薬「ネスプ注射液60μgプラシリンジ」は新たな長期収載品の引き下げルールが適用され、13.1%の引き下げを受けた。

 

また、小野薬品は、特許切れによる加算返還品目として制吐剤「イメンドカプセルセット」が24.3%、末梢循環障害改善剤「オパルモン錠」が19.8%となったが、「オプジーボ点滴静注240mg」が0%と薬価を維持し、2%台後半となった。

 

田辺三菱製薬は、「ステラーラ皮下注45mgシリンジ」が14.2%、全体では3%台半ばとなった。18年度改定に比べると6%程度の引き下げとなった。塩野義製薬は約3%、大日本住友製薬は約2%、大正製薬は約2%、参天製薬は3%台前半だった。

 

中堅企業では帝人ファーマが9%後半の改定率と厳しい結果となった。市場拡大再算定を受けた「フェブリク錠10mg」が14.6%となったことが響いた。生化学工業は主力の「アルツ」が長期収載品の特例引き下げで13.1%の引き下げとなり、約11%の改定率となった。

 

後発品を扱う先発品メーカーでは、後発品の売上比率が9割に達している日本ケミファは約7%と前回改定の10.6%に続き、2回連続で業界平均を大きく上回った。科研製薬は主力の「アルツディスポ関節注25mg」が13.1%と二桁の引き下げを受け、4%台後半となった。持田製薬は、疼痛治療剤「トラムセット配合錠」が加算額返還による21.3%の引き下げで、4%台の改定率となった。

 

そのほか、Meiji Seika ファルマは3%台、久光製薬は約3%、あすか製薬は約3%、杏林製薬は2%台、キッセイ薬品が2%台、ゼリア新薬が2%弱となった。

 

中堅では新薬創出等加算の適用品目が比較的多かった日本新薬が1%台半ば、大鵬薬品が1%台と影響が小さかった。扶桑薬品は約1%、ツムラは0.3%台となった。

■アッヴィはプラス改定に

外資系企業では、アッヴィがプラス0.2%台と回答企業では唯一のプラス改定となり、薬価改定の逆風を跳ね返した。4成分7品目が加算適用を受け、加算額の返還や加算対象外の品目がなかったことが背景にあると見られる。

 

上位5製品でマイナス改定となった品目はRSウイルス感染症治療薬「シナジス筋注液100mg」のみ。希少疾患用医薬品としての効能追加承認を取得し、新薬創出等加算の品目要件を満たした「ヒュミラ40mgシリンジ0.4mL」がプラス2%台、「ヒュミラ40mgペン0.4mL」がプラス1%台、C型肝炎治療薬「マヴィレット配合錠」と乾癬治療薬「スキリージ皮下注用75mgシリンジ0.83‌mL」は0%と影響がなかった。

 

新薬創出等加算の対象品目が業界最多のノバルティスファーマは2%台後半となった。今回改定で新設された特例効能変化再算定が適用された「ゾレア皮下注用」が約37%の引き下げとなったが、業界平均を下回る改定率となった。

 

ファイザーは3%台で、上位5製品で影響が大きかった品目は自己免疫疾患治療薬「エンブレル皮下注50mgペン1.0mL」が18.6%、市場拡大再算定を受けた「ビンダケルカプセル20mg」が25%だった。

 

後発品メーカーでは、日医工が3.1%、東和薬品が3.4%と、影響度では新薬メーカーとほぼ変わらない。沢井製薬は昨年10月改定からの平均改定率は非開示。18年度改定からは13%の引き下げとなった。

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出典:薬事日報

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