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【薬事日報社調査】新型肺炎で研究開発停滞~臨床試験の遅延や中止相次ぐ

薬+読 編集部からのコメント

医療に携わる、すべての業界が新型コロナウイルスとの「今、目の前の戦い」に追われ、疲弊していることは間違いありませんが、その影響が製薬企業の両輪の一つである「研究開発」にも大きな影響を与えています。薬事日報社が製薬企業を対象に実施したアンケート調査によると、32社におよぶ回答企業の3分の1で臨床試験の遅延や中止が発生し、医薬品の研究開発が停滞している状況が判明しました。医療機関側で治験の受け入れが困難となっており、今後実施するプロジェクトを見直す動きも出ているようです。

■プロジェクト見直す企業も

新型コロナウイルス感染症の流行拡大が製薬企業の研究開発にも大きな影響を与えていることが、本紙が製薬企業を対象に実施したアンケート調査で明らかになった。回答企業の3分の1で臨床試験の遅延や中止が発生し、医薬品の研究開発が停滞している状況が判明。一部の企業は新規患者の組み入れを中断し、新たな治験を当面実施しないことを決めていた。医療機関側で治験の受け入れが難しくなり、今後実施するプロジェクトを見直す動きも出ているようだ。


調査では製薬企業32社から回答を得た。医薬品の研究開発に「影響あり」としたのは10社。医療機関での感染拡大から臨床開発モニターの訪問規制や治験の受け入れを拒否する動きもあり、新規患者登録がスケジュール通りに進まず、一部のプロジェクトで遅延が発生しているようだ。

 

エーザイは「国、地域、領域などによっては新規患者登録などに影響を受けている」と状況を報告した。大日本住友製薬は、一部の臨床試験の進捗に影響が出ており、詳細は現在精査中。大塚製薬でも一部遅れが生じているプロジェクトがあり、今後の対応策を検討している。

 

中外製薬では中断した試験はないものの、「最初のコホートがほぼ終了して次のコホートに移る段階の試験があり、通院による感染リスクを避けるために、当社判断で登録を延期したものがある」という。アステラス製薬も感染者が増加している国での新たな臨床試験立ち上げや現在実施中の臨床試験で新規患者登録を一時中断を決めた。

 

後発品メーカーでは、生物学的同等性(BE)試験に影響が出ている。東和薬品では、医療機関が試験受け入れを停止したことに伴い、医療機関の変更によって一部のBE試験が遅延している。沢井製薬では遅延や中止は起きていないものの、状況に応じてプロジェクトの見直しを適宜行っていく方向である。

 

外資系企業でもグローバル本社の方針に基づき、日本での治験を制限している。ギリアド・サイエンシズは、既に組み入れられている治験は継続するものの、ホームページで公開している治験では新規患者の組み入れを当面中止した。今後は、新型コロナウイルス感染症を対象とした抗ウイルス薬「レムデシビル」の治験に注力する。

 

ノボノルディスクファーマは進行中の臨床試験は継続しているが、臨床試験のフォローアップが一層困難になっていることから、新たな臨床試験の開始は控えている。

 

ファイザーは、日本・中国・韓国を除く国際共同治験で被験者組み入れを3週間見送り、日本では状況を見極めながら被験者組み入れを継続する。グラクソ・スミスクラインは治験責任医師の判断で新規患者登録を行い、治療領域や対象疾患を考慮した上で例外的に個別試験の登録中止も視野に入れる。

 

現時点では研究開発の影響が出ていない企業でも懸念する声が出ている。扶桑薬品は、今後治験を実施する場合には医療機関の負担などを考慮し、延期も視野に検討する方針。大鵬薬品は「今後も状況が数カ月にわたって継続した場合には臨床試験の遅延発生が予想される」、大正製薬は「現状、プロジェクトの見直しは行っていないが、医療機関への訪問禁止が長期化すれば、臨床開発の遅れが見込まれる」と今後への影響を危惧した。

 

一方、第一三共は、「地域の状況によって新規患者登録の一時中断を経験しているが、臨床試験自体の中断はなく、一部の地域では一時中断後に新規患者登録を再開している」と影響は限定的だとした。今後は、各国規制当局からの通知や治験実施地域の状況を踏まえ、「治験責任医師やCROと十分に連携し、臨床試験を実施していく」との方針を示す。

 

2020年度業績への影響については、中外製薬や大日本住友製薬、アステラス製薬などが「調査中」とした一方、グラクソ・スミスクラインや扶桑薬品は「影響が出る可能性は否定できない」と回答した。

 

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出典:Web医事新報

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