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創薬・臨床試験

小児薬開発に薬価優遇策を~多くの製薬企業が報奨要望【薬事日報社調査】

薬+読 編集部からのコメント

患者数が大人に比べ少なく、薬価面で特別に優遇されないため、企業としては利益につながらないと言われる小児用医薬品について、薬事日報社が製薬企業20社を対象にアンケート調査を実施しました。その結果、多くの製薬企業が薬価優遇策などのインセンティブを求めていることが判明しました。優先審査が行われる法整備が進む一方、採算性の低さなどを理由に独占販売期間延長や小児適応追加の規制緩和など、追加的な支援を要望しています。開発企業へのインセンティブ付与の代わりに、海外と同様に成人用医薬品の開発時に小児用医薬品の開発を義務づけるなど、実効性の高い政策を求める声も出る一方、小児製剤用のガイドラインがなく、開発に着手しにくいことも問題視されています。

国内での小児用医薬品の開発推進に向け、多くの製薬企業が薬価優遇策などのインセンティブを求めていることが本紙調査で分かった。改正医薬品医療機器等法で「特定用途医薬品」というカテゴリーが新設され、小児用医薬品の優先審査が行われる法整備が進む一方、採算性の低さなどを理由に独占販売期間延長や小児適応追加の規制緩和など、追加的な支援を要望していた。開発企業へのインセンティブを付与する代わりに、海外と同様に成人用医薬品の開発時に小児用医薬品の開発を義務づけるなど、実効性の高い政策を求める声も出た。


小児用医薬品をめぐっては、安全性や有効性に関する十分なデータがなく、添付文書に小児の用法・用量が明記されていないにも関わらず、臨床現場での必要性に迫られ、成人用の錠剤を粉砕して使用している実態がある。一部の小児用医薬品に対する再審査期間の延長や小児加算は適用されているが、患者数が大人に比べ少なく、薬価面で特別に優遇されないため、企業としては利益につながっていない現状がある。

 

本紙が製薬企業20社を対象に小児用医薬品に関するアンケート調査を実施したところ、半数強の企業は小児用医薬品の開発方針が決まっておらず、開発に向けては企業に対するインセンティブが必要との意見が挙がった。

 

ファイザーは、成人用剤形で開発する全ての薬剤で小児用医薬品の開発を検討する試みを始めているが、「小児での開発を開始することにより、特許期間の延長など後発品参入までの期間が延長されたり、新薬創出加算の企業要件とするなど、小児開発を推し進めるインセンティブを設定できれば改善が見込める」との認識を示した。

 

さらに、臨床試験や製造販売後調査で小児患者を多く集積できる医療機関に対しては、「臨床試験認定医療機関に指定するなどのインセンティブを付与するべき」と提案した。

 

海外のように当局から企業に対し、強制力を持った小児用医薬品開発の要請がないことも動きを鈍らせている要因になっている。小野薬品は、「小児用製剤開発促進のため、欧米と同様に小児開発に一定の義務を課すと共に、企業負担軽減のための小児用医薬品開発のインセンティブをさらに拡大した方が良い」と要望した。

 

後発品メーカーからは、「小児用医薬品はジェネリック医薬品への置き換えが進んでいないが、小児が服薬しやすい製剤工夫こそジェネリック医薬品の果たすべき役割であると考える。薬価の優遇や小児適応追加の規制緩和など診療報酬制度で小児用ジェネリック医薬品にインセンティブを付与してほしい」との声が上がるなど、後発品使用促進策の一環としての制度導入が訴えられた。

 

難易度が高い小児治験の規制緩和を求める企業も多かった。成人用製剤に比べて有効性・安全性を確保する用量設定が難しく、必要とされるデータ数が多いことに加え、規制側が要求する試験デザインが不明確で事前に事業性を予測できないとの課題もある。

 

小児の薬物動態(PK)データについては、リアルワールドデータの活用を検討すべきとの意見も出た。具体的には、海外と同様に成人データや海外小児データがある場合はデータを外挿し、臨床試験をせずに小児投与量を予測するモデリング&シミュレーションを活用していく方向性が挙げられた。承認時までは、日本人小児データを必須としないこととし、市販後はリアルワールドデータを活用しながら適正使用・安全対策といったフォロー体制を強化することで対応する。

 

小児患者の組み入れをスムーズに行う仕組みづくりも課題の一つになっている。海外には、子どもや家族が抱え得る精神的負担を軽減し、主体的に医療体験に臨めるよう支援する「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」と呼ばれる専門家が存在しており、専門家の関与で患者や家族の理解を促し、治験参加率を高めている。

 

一方、小児製剤のガイドラインがなく、開発に着手しにくいことも問題視された。複数企業からは小児用製剤の開発を進めるに当たって使用可能な添加剤の情報が不足し、製剤化に制限が生じている問題が指摘されており、国が小児の安全性情報を集約し、企業に公開していく仕組みが検討課題に挙げられた。

 

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出典:薬事日報

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