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中外の希少疾患薬が登場~新薬8件の承認・一変了承

薬+読 編集部からのコメント

5月29日の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会にて、中外製薬の視神経脊髄炎スペクトラム障害治療剤「エンスプリング皮下注」など8件の製造販売承認と一部変更承認について審議され、了承されるに至りました。また、扶桑薬品の人工腎臓用透析液「キンダリー透析剤AF5号」の製造販売承認と久光製薬の持続性疼痛治療剤「フェントステープ」の一部変更承認について報告を受けました。両薬ともに再審査期間はなく、海外で承認している国・地域はありませんが、厚労省では今月中をメドに承認したい考えです。

薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は5月29日、中外製薬の視神経脊髄炎スペクトラム障害治療剤「エンスプリング皮下注」(一般名:サトラリズマブ遺伝子組み換え)など8件の製造販売承認と一部変更承認について審議し、了承した。また、扶桑薬品の人工腎臓用透析液「キンダリー透析剤AF5号」の製造販売承認と久光製薬の持続性疼痛治療剤「フェントステープ」(フェンタニルクエン酸塩)の一部変更承認について報告を受けた。厚生労働省は今月中をメドに承認したい考え。

■審議品目

エンスプリング皮下注120mgシリンジ(中外製薬):新有効成分のサトラリズマブ(遺伝子組み換え)を含有し、視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防を効能・効果とする。2019年に希少疾病用医薬品に指定されている。

 

用法・用量は、1回120mgを初回、2週後、4週後に皮下注射し、以降は4週間隔で皮下注射する。

 

再審査期間は10年。海外で承認している国・地域はない。

 

オンジェンティス錠25mg(小野薬品):新有効成分のオピカポンを含有し、レボドパ・カルビドパまたはレボドパ・ベンセラジド塩酸塩との併用によるパーキンソン病における症状の日内変動(ウェアリングオフ現象)の改善を効能・効果とする。

 

用法・用量は、レボドパ・カルビドパまたはレボドパ・ベンセラジド塩酸塩と併用し、オンジェンティス錠25mgを1日1回、併用剤の投与前後および食事の前後1時間以上空けて経口投与する。

 

再審査期間は8年。海外では、32の国・地域で承認されている。

 

ゼオマイン筋注用50単位、同100単位、同200単位(帝人ファーマ):新有効成分のインコボツリヌストキシンAを含有し、上肢痙縮を効能・効果とする。

 

用法・用量は、上腕筋など複数の緊張筋に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回当たりの最大投与量は400単位だが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能だが、投与間隔は12週以上とし、症状に応じて投与間隔は10週まで短縮できる。

 

再審査期間は8年。海外では、欧米など73の国・地域で承認されている。

 

バフセオ錠150mg、同300mg(田辺三菱製薬):新有効成分のバダデュスタットを含有し、腎性貧血を効能・効果とする。

 

用法・用量は、1回300mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を増減するが、最高用量は1日1回600mgとした。

 

再審査期間は8年。海外で承認している国・地域はない。

 

ダーブロック錠1mg、同2mg、同4mg、同6mg(グラクソ・スミスクライン):新有効成分のダプロデュスタットを含有し、腎性貧血を効能・効果とする。バフセオ錠の類薬。

 

用法・用量は、保存期慢性腎臓病患者で赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合は、1回2mgまたは4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は患者状態に応じて投与量を増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとした。

 

赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合は、1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとした。

 

透析患者に対しては、1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとした。

 

再審査期間は8年。海外で承認している国・地域はない。

 

リベルサス錠3mg、同7mg、同14mg(ノボノルディスクファーマ):有効成分のセマグルチド(遺伝子組み換え)を含有する2型糖尿病治療剤で、同社の「オゼンピック皮下注」の錠剤の位置づけとなる。

 

用法・用量は、1日1回7mgを維持用量として経口投与する。ただ、1日1回3mgから開始し、4週間以上投与した後、1日1回7mgに増量する。患者の状態に応じて増減するが、1日1回7mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合は、1日1回14mgまで増量できる。

 

再審査期間は6年。海外では、米国と欧州で承認されている。

 

オノアクト点滴静注用50mg、同150mg(小野薬品):有効成分のランジオロール塩酸塩を含有する短時間作用型β1選択的遮断剤。新たに敗血症に伴う頻脈性不整脈として、心房細動、心房粗動、洞性頻脈を効能・効果に追加した。

 

新たに追加した疾患に対する用法・用量は、1μg/kg/分の速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し、維持量は適宜増減する。ただ、最大用量は20μg/kg/分を超えないこととした。

 

再審査期間は4年。海外で承認している国・地域はない。

 

サムスカ錠7.5mg、同15mg、同30mg、同OD錠7.5mg、同OD錠15mg、同OD錠30mg、同顆粒1%(大塚製薬):有効成分のトルバプタンを含有するV2受容体拮抗剤で、新たに抗利尿ホルモン不適合分泌症候群における低ナトリウム血症の改善を効能・効果に追加した。17年に希少疾病用医薬品に指定され、未承認薬等検討会議の開発要請品目にも指定されている。

 

新たに追加した疾患に対する用法・用量は、7.5mgを1日1回経口投与し、必要に応じて、望ましい血清ナトリウム濃度に達するまで段階的に増量できる。患者の状態に応じて増減するが、最高用量は1日60mgまでとした。

 

再審査期間は10年。海外では、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群での低ナトリウム血症の改善の効能・効果で欧米など45カ国・地域で承認されている。

■報告品目

キンダリー透析剤AF5号、同AF5P号、同5E(扶桑薬品):塩化ナトリウムや塩化カリウムなどで組成され、慢性腎不全における透析型人工腎臓の灌流液として使用する。キンダリー透析剤AF4号の組成を基本とし、同剤よりもカリウム、マグネシウム濃度を高くするなど、電解質濃度を変更した。

 

用法・用量は、AF5号では、A液:B液:透析用水=1:1.26:32.74の希釈・調製比率の重炭酸型透析液供給装置を用いて血液透析を行う場合の灌流液として使用する。

 

AF5P号では、A液:(B末水溶液+透析用水)=1:34の希釈・調製比率の重炭酸型透析液供給装置を用いて血液透析を行う場合の灌流液として使用する。5Eでは、粉末溶解装置で溶解し、血液透析を行う場合の灌流液として使用する。いずれも、用量は透析時間によって異なるが、灌流液として150~300Lを用いる。

 

再審査期間はなく、海外で承認している国・地域はない。

 

フェントステープ0.5mg、同テープ1mg、同テープ2mg、同テープ4mg、同テープ6mg、同テープ8mg(久光製薬):有効成分のフェンタニルクエン酸塩を含有する持続性疼痛治療剤。最初から癌性疼痛に使用可能となった。

 

効能・効果は、非オピオイド鎮痛剤および弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な、中等度から高度の疼痛を伴う各種癌および慢性疼痛の鎮痛。

 

ただ、慢性疼痛に対しては他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限定した。

 

用法・用量は、胸部、腹部、上腕部、大腿部等に貼付し、1日ごとに貼り替えて使用する。初回貼付用量は、貼付前のオピオイド鎮痛剤の治療の有無により変わり、その後の貼付用量は患者の症状や状態に応じて増減する。

 

癌性疼痛に対しては、貼付前にオピオイド鎮痛剤を使用していない場合は0.5mgから開始する。他のオピオイド鎮痛剤から同剤に切り替えて使用する場合は、0.5mg、1mg、2mg、4mg、6mgのいずれかの用量を選択する。

 

慢性疼痛に対しては、他のオピオイド鎮痛剤から同剤に切り替えて使用し、0.5mg、1mg、2mg、4mg、6mgのいずれかの用量を選択する。

 

再審査期間はなく、海外で承認している国・地域はない。

 

■セルメチニブをオーファン指定

一方、この日の部会では、アストラゼネカの神経線維腫症治療剤「セルメチニブ硫酸塩」を希少疾病用医薬品に指定することも了承した。

 

セルメチニブ硫酸塩(アストラゼネカ):予定される効能・効果は神経線維腫症1型(NF1)

 

同疾患は、NF1腫瘍抑制遺伝子変異が原因で生じる常染色体優性遺伝疾患で、運動機能障害や疼痛などを発現する叢状神経線維腫などを引き起こす。18年時点の国内患者数は、約4万人と推定されている。

 

国内外でNF1に対して承認された薬物治療法はなく、疾患の重篤性や生活の質への影響の大きさなどから、早期に治療選択肢を現場に提供することが求められていることなどを踏まえ、医療上の必要性は高いと判断した。

 

また、臨床試験の結果から有効性が高いと認められたため、開発の可能性も高いとした。

 

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出典:薬事日報

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