薬剤師会

定型文で後発品不可指示~真意不明、薬局は対応苦慮

薬+読 編集部からのコメント

大阪府の茨木市薬剤師会が会員薬局を対象に行った実態調査で、医薬品の種類や患者に関係なく、全てのケースで同様の定型的な理由をつけ、多くの後発品変更不可処方箋を院外に発行する医療機関があることが判明しました。一律の変更不可処方箋割合は、薬局によって大きな偏りがあり、最も高い薬局では97.2%にも達し、応需処方箋のほぼ全てが一律的な理由による変更不可処方箋でした。変更不可の指示がある場合には、薬局では卸から該当銘柄の後発品を取り寄せるなどの対応を迫られます。茨木市薬の望月会長は「医学的な意味があって変更不可を指示しているのであれば良いが、変更不可の理由は定型的に記載されており、指示の意味を十分に理解できない」と苦悩を語っています。

■茨木市薬調査

茨木市薬剤師会が会員薬局を対象に行った実態調査で、医薬品の種類や患者に関係なく全てのケースで同じ定型的な理由をつけ、多くの後発品変更不可処方箋を院外に発行する医療機関があることが分かった。画一的な後発品変更不可の指示は、薬局や患者に過度の負担を強いることになる。茨木市薬は、今回の調査で実態を把握できたとして今後、適切な後発品の使用促進について、医療機関の理解を得る働きかけを進めていきたい考えだ。


茨木市薬は今春、会員107薬局を対象に実態調査を実施した。4月の1カ月間に応需した院外処方箋のうち、「後発品変更不可」のチェックがあり、患者ごとの特性に応じた変更不可理由ではなく、一律の理由を記載している処方箋の応需枚数を各薬局に尋ねた。39薬局から有効回答を得た(回答率36.4%)

 

その結果、全処方箋の受付枚数は計3万0643枚となり、一律的な理由による変更不可処方箋の枚数は計2919枚だった。これらから、一律の理由による変更不可処方箋が地域全体の処方箋に占める割合を算出したところ、9.5%と高かった。

 

一律の変更不可処方箋割合は、薬局によって大きな偏りがあった。最も高い薬局では97.2%に達し、応需処方箋のほぼ全てが一律的な理由による変更不可処方箋だった。次いで割合が高かった薬局では28.3%と約3割に上った。いずれも月に1000枚以上応需する薬局で、3番目に高い薬局では割合が9.9%となっていた。薬局の場所をもとに現況を分析すると、こうした一律の変更不可処方箋を一つの医療機関が多く発行していることが分かった。

 

該当する医療機関は、後発品への変更不可を指示する理由として、処方箋に「治療リスク管理上、原則入院と外来で薬が同じであることを必要とするため」などと記載。自施設で採用する後発品と同じ銘柄のものを院外でも調剤するよう求めている。医薬品の種類や患者に関係なく、多くの処方箋に同一の変更不可理由を記載していた。

 

薬局では、変更不可の指示がなければ、患者の同意のもと別の銘柄に変更できるが、変更不可の指示がある場合には、薬局は卸から該当銘柄の後発品を取り寄せるなどの対応を迫られる。患者の待ち時間を延長させる要因にもなり、デッドストックの増加にもつながることから、薬局の経営も圧迫される結果となる。

 

茨木市薬の望月道彦会長(平安堂薬局)は、「医学的な意味があって変更不可を指示しているのであれば良いが、変更不可の理由は定型的に記載されており、指示の意味を十分に理解できない」と苦悩を語る。該当する医療機関とは意思疎通を図るパイプがないため、真意はよく分からないままだという。

 

今後、実態調査の結果をもとに、適切な後発品の使用促進について理解してもらい、不必要な変更不可指示が減るよう働きかけを進めたい考え。

 

茨木市薬副会長の松浦正佳氏(サエラ店舗支援部副部長)は、「患者との話し合いのもと、適切な後発品を選択するという薬局薬剤師の役割を医療機関に理解してもらいたい」と話している。

 

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出典:薬事日報

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