遠隔服薬指導は約7万件~特例措置の運用実績公表
厚生労働省は6日、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえたオンライン診療・服薬指導に関する特例措置について、現在の運用実績を「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」に報告した。5~6月のオンライン服薬指導の件数は6万8849件で、全体の0.51%となり、最大処方日数は22~30日が3万0580件で最多となった。診療では、初診から麻薬、向精神薬を処方したケースが見られたものの、現在の感染状況を考慮し、特例措置を継続することを決めた。
初診でコデイン処方も
電話やオンラインを利用した診療と服薬指導をめぐっては、慢性疾患患者が医療機関等で新型コロナウイルスに感染する事態を避けることを目的に活用するため、厚労省が4月から特例措置を行っている。
特例措置では、初診患者にオンライン等で診断、処方すること、対面診療を行った患者にもオンライン等で服薬指導することなどを認めている。
ただ、感染状況が収束するまでの期間限定としており、同検討会で3カ月ごとに運用状況を確認した上で、措置を終えた後も残すべき内容を検討することとしている。
この日の検討会で厚労省は、4~6月の運用実績を報告した。オンライン等による服薬指導の状況を見ると、5~6月に行った件数は6万8849件で全体の0.51%を占めた。都道府県別では、栃木県の1%が最も割合が高く、処方箋の最大処方日数は22~30日が3万0580件で最多となり、52~60日の8071件、82~90日の7323件が続いた。
一方、7月31日時点で、全国でオンライン等による診療を行う医療機関数は1万6202施設で、このうち初診から実施しているのは6801施設(6.1%)だった。
特例措置の要件では、初診から麻薬および向精神薬を処方すること、基礎疾患情報が把握できない患者の処方日数は7日間を上限とし、抗癌剤などのハイリスク薬の処方も禁じている。
しかし、初診患者に麻薬のコデインリン酸塩が14件、3種向精神薬のマイスリーが12件処方されていたほか、ハイリスク薬が85件、8日間以上の処方日数が541件報告された。
厚労省は、現在も感染拡大が続いており、新型コロナウイルス感染症以外の疾患については受診控えが見られるとして、特例措置を当面の間継続することを提案し、概ね了承された。
ただ、委員からは、電話による初診患者の診療について「顔が見えず、電話での初診は医学的に成り立たない」「少し危険だと思う。今の段階で見直しが必要」などの指摘が上がった。
さらに、オンライン診療等に必須の研修が猶予されている現状に対し、「e-ラーニングで好きな時間に学習できるため、研修はしっかり行った方がよい」などの意見も出た。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
5~6月のオンライン服薬指導の件数は全体の0.51%となる6万8849件。最大処方日数は22~30日が3万0580件で最多となる中、厚労省は8月6日、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえたオンライン診療・服薬指導に関する特例措置について、現在の運用実績を「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」に報告しました。診療では、初診から麻薬、向精神薬を処方したケースが見られたものの、現在の感染状況を考慮し、特例措置を継続することを決定しました。一方、検討会の委員からは、電話による初診患者さんの診療について「顔が見えず、電話での初診は医学的に成り立たない」「少し危険だと思う。今の段階で見直しが必要」などの指摘も上がっています。