医療

専門薬剤師制度の標準化へ~医療薬学会 奥田会頭、学会の連携模索に意欲

薬+読 編集部からのコメント

薬剤師の活動範囲の広がりに合わせて、近年では各専門領域に特化した薬学系学会が相次ぎ設立されると同時に、各学会が運営する様々な専門薬剤師制度が立ち上がっています。現場の薬剤師からは「数が多すぎるのではないか」と懸念する声が聞かれる中、日本医療薬学会の奥田真弘会頭(大阪大学病院薬剤部長)は、薬事日報社の取材に対し、「専門薬剤師制度の公的認知度を高めるためには、制度設計の標準化が必要」と私見を語りました。奥田会頭は専門医のように社会から認知された公的な制度として位置付けられるためには、各自がバラバラに取り組むのではなく、連携する必要があると指摘しつつ「どのような連携が可能なのか模索したい」と意欲を示しています。

日本医療薬学会の奥田真弘会頭(大阪大学病院薬剤部長、写真)は、本紙の取材に対し、「専門薬剤師制度の公的認知度を高めるためには、制度設計の標準化が必要」と私見を語った。各専門分野の薬学系学会が様々な専門薬剤師制度を設けているが、専門医のように社会から認知された公的な制度として位置付けられるためには、各自がバラバラに取り組むのではなく、連携する必要があると指摘。「どのような連携が可能なのか模索したい」と意欲を示している。


近年、薬剤師の活動範囲の広がりに合わせ、各専門領域に特化した薬学系学会が相次ぎ設立。同時に、各学会が運営する様々な専門薬剤師制度が立ち上がっている。現場の薬剤師からは、「数が多すぎるのではないか」と懸念する声が聞 かれるのが現状で、専門薬剤師制度全体の標準化を求める声も少なくない。

 

奥田氏は、「社会から見た時に必要な制度として専門薬剤師制度が位置付けられ、社会から支援を受けられるようにならなければいけない」との考えを示し、「医師の場合には、専門医を育成する公的な制度が設けられ、それをきっかけに各医学系学会の連携が必要になっている。専門薬剤師制度も今後こういった方向性を目指すべき」と語る。

 

医療薬学会は1万3000人に迫る会員を擁し、医療に関わる薬剤師の基盤となる学会として認知されるようになった。専門薬剤師制度としては現在、日本病院薬剤師会から移管を受けた「がん専門薬剤師」制度のほか、ジェネラリストとしての能力を認定する▽医療薬学▽薬物療法▽地域薬学ケア――の三つの制度を運営している。昨年、各制度の認定要件見直しに踏み切った結果、分かりやすく一貫性のある制度設計になった。

 

奥田氏は「最大規模の団体としての自覚に立ち、専門薬剤師制度のさらなる普及を図ることや、学会の制度設計が今後の専門薬剤師制度の標準として社会から認知が得られることを重視したい。今は、将来的な専門薬剤師制度の標準化に向けて、学会として土台作りに取り組む時期と考えている」と話す。

 

医療薬学会がジェネラリストの認定に注力する一方、スペシャリストとしての能力を認定する専門薬剤師制度は、各領域に特化した医学系学会や薬学系学会が数多く構築している。今後、これらの学会とどう連携するかが課題になる。

 

奥田氏は「医学系学会や他の薬学系学会との連携に基づいた研修事業や学術事業を推進すると共に、専門薬剤師制度についてもサブスペシャリティーのあり方も含めて、他の学会とどのような連携が可能なのか模索したい」と言及。

 

個人的な考えとしながらも、「専門薬剤師制度のあるべき姿について話し合い、連携を進めながら、最終的には日本の専門薬剤師制度も、米国の専門薬剤師制度や専門医制度のように認定機関による認定を目指すべき」と話している。

 

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出典:薬事日報

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