「漢方プロジェクト」開始~コロナの段階別治療案示す
北里研究所は、新型コロナウイルス感染症治療薬を早期に見出すためのプロジェクト「COVID-19対策北里プロジェクト」の一環として、北里大学東洋医学総合研究所を中心とした「漢方プロジェクト」を開始した。一般の臨床医を対象に、同研究所が有する豊富な診療経験や研究実績をもとに決定した新型コロナウイルスに対するステージごとの漢方治療案を提示。来年以降、治療案に基づく診療データを収集し、漢方診療の有用性を検証していく。
具体的には、漢方医学的側面から、新型コロナウイルス感染症のステージを、▽感染予防▽発症予防▽軽症者に対する重症化の阻止▽中等症以上者に対する肺炎の克服(救命含む)▽回復期における体力回復・後遺症症状の緩和――の5段階に分け、それぞれのステージにおける漢方治療を提案する。
プロジェクトでは、感染予防や無症候性キャリアの発症予防として「補中益気湯エキス」、感冒様症状や軽症肺炎に対する肺炎・重症化阻止として「葛根湯エキス+小柴胡湯加桔梗石膏エキス」、中等症から重症肺炎には、肺炎の克服として「清肺湯エキス」、回復期・後遺症には体力の回復や後遺症症状の緩和として、呼吸器症状に「竹茹温胆湯エキス」、倦怠感に「補中益気湯エキス」、血栓症に対して「桂枝茯苓丸エキス」と漢方方剤を提案している。漢方方剤は、同研究所内の漢方専門家が議論して決定した。
プロジェクトの代表を務める小田口浩所長は、「新型コロナウイルス感染症の診療に当たる一般臨床医に漢方を広く活用してもらい、その診療データを収集することで、漢方診療の有用性を検証していく」と狙いを説明する。
一般臨床医が漢方を活用する場合に証を考慮した処方を決定することが支障となっていることから、小田口氏は「できるだけ単純化した処方の提案を作成することが必要と判断した。特に予防段階、感染初期の軽症段階、回復期の段階での漢方治療は有用と考えるが、中等症以上の肺炎段階では現代医学的治療を優先すべき」としている。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
北里研究所では、早期に新型コロナウイルス感染症治療薬を見出すためのプロジェクト「COVID-19対策北里プロジェクト」の一環として、北里大学東洋医学総合研究所を中心とした「漢方プロジェクト」を開始しました。一般の臨床医を対象に、同研究所が有する豊富な診療経験や研究実績をもとに決定した新型コロナウイルスに対するステージごとの漢方治療案を提示。来年以降、治療案に基づく診療データを収集し、漢方診療の有用性を検証していきます。具体的には、漢方医学的側面から、新型コロナウイルス感染症のステージを5段階に分け、それぞれのステージにおける漢方治療を提案していくものです。