薬剤師会

「かかりつけ」持つ患者増加~薬剤師の対人業務に期待も

薬+読 編集部からのコメント

新型コロナウイルスの影響で患者さんの受療行動や意識変化を把握する目的で、健保連が8月に実施した調査によりますと、かかりつけ薬局・薬剤師を持つ患者さんが増加し、約2割に上ることが判明しました。調査結果の詳細は10月下旬に公表予定ですが、10月10~11日に札幌市内で開かれた日薬学術大会の分科会で、健保連理事の幸野氏から薬局・薬剤師に関連した調査結果が紹介されました。地理的な理由から依然として薬局を選択している患者さんが大半を占めているものの、副作用の説明など薬局・薬剤師の対人業務に期待する声が全体の3分の1を占めました。地域の患者ニーズへの対応力が薬局経営で重要な要素になりそうです。

健保連調査

健康保険組合連合会が8月に実施した調査で、かかりつけ薬局・薬剤師を持つ患者が増え、約2割に上ることが分かった。依然として地理的な理由で薬局を選択している患者が大半を占めていたものの、副作用の説明など薬局・薬剤師の対人業務に期待する声が全体の3分の1を占めた。地域の患者ニーズへの対応力が薬局経営で重要な要素になりそうだ。

 

同調査は、新型コロナウイルスの影響で患者の受療行動や意識変化を把握する目的で実施したもの。調査結果は今月下旬に公表予定だが、札幌市内で開かれた日薬学術大会の分科会で、健保連理事の幸野庄司氏から薬局・薬剤師に関連した調査結果が紹介された。

 

病院や診療所を受診した際にどこで薬を受け取っているかを聞いたところ、「受診した医療機関の近くの薬局」が61%、「受診した医療機関」が19%となった一方、「いつも決まった薬局(ただし、薬剤師は決まっていない)」が11%、「いつも決まった薬剤師、薬局」が7%となった。2割近くがかかりつけ薬局を持つようになるなど、増加傾向がうかがえる結果となった。

 

薬局をいつも利用している主な理由について、患者が依然として「立地」を重視して薬局を選んでいたが、「薬剤師が副作用や注意事項などをきちんと説明してくれる」「ジェネリック医薬品など薬代が安くなることを説明してくれる」など、薬剤師の対人業務を挙げる回答も多かった。少数ではあるものの、「オンライン服薬指導を実施しているから」との回答も見られた。

 

「薬局・薬剤師に期待すること」でも、自宅や職場から近い、受診した医療機関から近いなどが半数を超え、「立地」での利便性を求める意見が目立ったが、「薬剤師からの副作用説明」「ジェネリック医薬品の説明」も全体の3分の1が望んでいた。

 

幸野氏は、かかりつけ薬局・薬剤師を持つ人たちが増加傾向にあることを踏まえ、「新型コロナウイルス感染症の影響で受診頻度を減らすなど患者の受療行動が変わる一方、薬局や薬剤師の対人業務に期待する人たちが増えてきた」と説明。

 

ただ、薬学管理料の算定状況を見てみると、技術料全体の94%が薬剤服用歴管理指導料で占めるのに対し、かかりつけ薬剤師指導料は1.5%、残薬解消に取り組む外来服薬支援料は0.01%に過ぎず、「厚生労働省は対人業務のインセンティブを付けているが、薬局がついていけていない」と厳しく指摘した。

 

その上で、「調剤基本料と薬歴管理指導料だけでは経営が成り立たなくなる」と強調。調剤以外の付加価値や地域での貢献、オンライン診療・服薬指導などデジタル化に対応できない薬局は「10年後には生き残れなくなる」と警鐘を鳴らした。

 

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出典:薬事日報

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