医療

禁煙アプリを保険適用~技術料で評価、治療用は初

薬+読 編集部からのコメント

キュアアップが国内初承認を取得した禁煙治療アプリ「キュアアップSCニコチン依存症治療アプリ・COチェッカー」の保険適用が、11月11日の中央社会保険医療協議会総会にて了承されました。キュアアップSCは、患者用のスマートフォン向けアプリ、医師向けアプリ、呼気中の一酸化炭素の濃度を自宅で計測できるポータブルCOチェッカーの三つから構成されています。禁煙外来で治療を受けるニコチン依存症患者の院外禁煙を支援するため、医師から処方されるソフトウェア医療機器です。特定保険医療材料としては設定せず、技術料で評価された形となります。

中医協総会で了承

中央社会保険医療協議会総会は11日、キュアアップが国内初承認を取得した禁煙治療アプリ「キュアアップSCニコチン依存症治療アプリ・COチェッカー」の保険適用を了承した。特定保険医療材料としては設定せず、技術料で評価。治療用アプリが新たな治療法であることを踏まえ、類似の技術区分を暫定的に準用し、技術料として計2540点を算定する。キュアアップは、保険収載が開始される来月1日から医療機関向けに同製品を販売する。


キュアアップSCは、禁煙外来で治療を受けるニコチン依存症患者の院外での禁煙を支援するため医師から処方されるソフトウェア医療機器。患者用のスマートフォン向けアプリ、医師向けアプリ、呼気中の一酸化炭素の濃度を自宅で計測できるポータブルCOチェッカーの三つから構成されている。

 

臨床試験で有効性と安全性が示され、薬事承認を取得したことを踏まえ、中医協で保険収載が了承された。

 

保険適用区分は、新医療機器の新技術に相当する「C2」。治療用アプリは新たな治療法であり、保険適用では新たな分類が必要になるが、既存で最も類似する技術区分を暫定的に準用した。

 

在宅療養指導管理料である「在宅振戦等刺激装置治療指導管理料」の導入期加算を準用し、1回に限り140点(1400円)を算定する。同アプリの適正使用を促す患者への導入教育で算定される保険点数となる。

 

さらに、製品に対して算定される保険点数では、在宅療養指導管理材料加算の「疼痛等管理用送信器加算」600点を4回分準用し、2400点(2万4000円)を算定する。過去1年間のニコチン依存症管理料の平均継続回数が2回以上である医療機関で同製品を使用した場合にのみ算定できるとした。

 

キュアアップ・佐竹社長「大きな最初の一歩に」

キュアアップは、保険収載される来月1日から販売を開始し、禁煙外来を行う約1万7000施設の約3割を目標に製品を提供していきたい考え。

 

佐竹晃太社長(画像)は同日の記者会見で、「事業を着手してちょうど7年の月日を経て保険適用が了承されたのは感慨深い」とし、「治療用アプリの収載価格は数百円と言われてきた中で、万単位の収載価格となったことは治療用アプリ産業の大きな最初の一歩となった」と意義を語った。

 

ただ、今回の保険適用は「既存の技術料を準用するという形に過ぎず、多くの課題がある」と指摘。治療用アプリの製品ごとに保険適用手続きが進められる複雑なプロセスや、新規治療用アプリの保険適用申請では数百円の保険算定になってしまうリスクの高さを課題に挙げ、「今後の診療報酬改定では、新規診療報酬枠『治療用アプリ』を整備できるようにしたい」と述べた。

 

製薬各社もデジタル療法の開発を進める中、日本製薬工業協会医薬産業政策研究所の佐々木隆之主任研究員は、「治療効果のあるソフトウェアが日本で初めて保険収載されたことは、デジタル療法に取り組んでいる各社を勇気づけるものとなる」と評価。

 

「今後はソフトウェアの特徴を踏まえた治験や薬事規制のあり方、医療機器該当性基準の明確化といった課題にも取り組んでいくことが、この新しい分野での事業予見性を高め、ひいては社会に迅速に価値を届けることにつながる」と話している。

 

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出典:薬事日報

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