創薬・臨床試験

創薬研究の場に「賃貸ラボ」~不動産大手参入、誘致へ攻勢

薬+読 編集部からのコメント

創薬ベンチャーが台頭する中、格安で実験室を借りて医薬品の研究開発を行う企業が増加。不動産大手の三井不動産や大和ハウスが拡大が見込まれる「賃貸ラボ市場」に参入し、アカデミアやバイオベンチャーに誘致をかけています。JR東海道線の村岡新駅構想で地元(神奈川県藤沢市)も盛り上がる武田薬品の湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)には、あすか製薬や田辺三菱製薬の研究所機能が移転。製薬企業にとっても自社研究所の維持は聖域ではなくなってきています。賃貸ラボの普及が進めば、製薬企業の研究所所有に対する考え方にも影響を及ぼすかもしれません。

自社研究所の縮小加速か

創薬ベンチャーが台頭する中、格安で実験室を借りて医薬品の研究開発を行う企業が増えている。不動産大手の三井不動産や大和ハウスが拡大が見込まれる「賃貸ラボ市場」に参入し、アカデミアやバイオベンチャーに誘致をかける。また、武田薬品の湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)には、あすか製薬や田辺三菱製薬の研究所機能が移転。製薬企業にとっても自社研究所の維持は聖域ではなくなってきている。高額な土地代、施設代が負担となり、自社研究者数の縮小とオープンイノベーションの拡大によって、研究所のスリム化がより進む可能性がある。


賃貸ラボは、資金調達が困難なアカデミアやバイオベンチャーがオフィスや実験室を安価に確保できる意味で意義が大きい。アカデミア発ベンチャーが集積する米国ボストン市では賃貸ラボを拠点とした医薬品開発が主流となっており、時価総額が1兆円規模に達した賃貸ウェットラボ専業企業もある。

 

三井不動産は拡大が見込まれる賃貸ラボ市場を狙う。製薬企業が多く集積する東京日本橋で、ライフサイエンス分野での産官学連携を目指す団体「LINK-J」を支援しており、日本橋のライフサイエンス拠点に製薬企業やバイオベンチャー、大学、団体のテナント誘致に成功してきた。

中でもバイオベンチャーへのサポートを強化するため、都心近接地にオフィスと実験室を一体化した賃貸ラボ施設を展開。第一三共の葛西研究開発センターにある一棟を再開発し、今春に本格稼働した。

 

来年4月には第2弾として、江東区新木場に約7800m2の貸付面積で賃貸ウェットラボを提供し、割安で利用できるようにした。国立がん研究センターが近接する千葉県柏市柏の葉にも、アカデミアと共同研究を行える賃貸ラボ施設を来年竣工する予定だ。

 

これらの施設ではバイオセーフティレベル2に対応した研究を行うことができ、共通実験機器室が整備されているため、研究コストの削減が可能だという。多くのライフサイエンス系ベンチャーが集積している茨城県つくば市の研究団地と比較しても、製薬大手や病院と連携がしやすいほか、都心部で働けるため研究員のライフスタイルにも様々な選択肢が広がる可能性がある。

 

大和ハウスは川崎市と連携し、羽田空港に近い殿町国際戦略拠点「キングスカイフロント」に東京ドーム約1個分となる4.6ヘクタールの土地を取得し、その一部として研究棟を設置した。

 

再生・細胞医療の研究をはじめ、最先端の医療技術、医療機器の研究開発等を行うことができるのが特徴。既に川崎市や慶應義塾大学、東京工業大学、大日本住友製薬、神奈川県立保健福祉大学が入居し、産官学が連携する拠点となっている。

 

賃貸ラボの普及が進めば、製薬企業の研究所所有に対する考え方にも影響を及ぼすかもしれない。武田薬品が主導する「湘南アイパーク」は武田の湘南研究所だったが、2018年4月にオープンイノベーション拠点として開所した。11年に武田は総工費約1470億円を投じて湘南研究所を完成させたが、姿を変えた。半分は武田が使用しているが、製薬企業のみならず幅広い業種や規模の産官学が結集し、エコシステムを形成している。

 

田辺三菱は昨年5月から湘南アイパークに入居し、今年4月にはあすかが旧川崎研究所の機能を全面移転させるなど研究所機能を縮小する動きは強まっている。

 

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出典:薬事日報

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