ファイザー、国内での新型コロナワクチン承認を申請~早ければ2月中に特例承認の見通し
米ファイザー社は12月18日、独ビオンテック社と共同開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」について、日本国内での製造販売承認を同日付で申請したと発表した。ファイザーは特例承認の枠組みを用いた迅速な審査を求めており、安全性・有効性が確認され次第、早ければ2021年2月中に特例承認される見通しだ。
日本への承認申請は、2回の接種で95%の有効率を示したとされる国際共同第3相試験の臨床データに基づいて行われた。「BNT162b2」は英国で12月2日、米国で12月11日に、同じ臨床データに基づき緊急使用が許可され、両国ではすでに接種が開始されている。
「BNT162b2」の治験は、国内でも日本人を対象に安全性、忍容性、免疫原性を評価する第1/2相試験が進行中。ファイザーは「2回目の接種を完了しており、2021年2月までに主要なデータを得て結果がまとまる見込み」としている。
■加藤官房長官「医療従事者から接種始め、順次拡大する」
日本政府は、ワクチン開発に成功した場合、2021年6月末までに1.2億回分(6000万人分)の供給を受けることでファイザーと基本合意している。
加藤勝信官房長官は18日の記者会見で、ファイザーの申請への対応について「まずは海外治験のデータなどに基づき迅速に審査を進めていきたい。来年2月までに追加的に提出される国内治験の主要なデータについても最優先で審査を進め、安全性・有効性が確認されれば、特例承認をすることになる」と述べ、早ければ来年2月中に特例承認する考えを示唆した。
加藤官房長官は、承認後速やかに接種を開始できる体制構築を急ぐ考えも示し、「ワクチンの接種順位について、重症化リスクの大きさなどを踏まえ関係審議会で議論し、年明け早々にも取りまとめる」としながら、基本的には「医療従事者から接種を始め、順次拡大」する方針を示した。
また、国民が身近な医療機関などで接種を受けられるためには接種場所の確保など自治体における準備が重要だとし、「本日、厚労省が全市町村向けに説明会を開催し、準備作業の詳細について説明した」と述べた。
■マイナス75℃の「ディープフリーザー」4000台手配
「BNT162b2」は、保存条件がマイナス70~75℃前後とされており、国内で接種するにはコールドチェーン(低温物流)の確立が必須となる。
会見で加藤官房長官はワクチンの輸送・分配・保管体制にも触れ、「マイナス75℃のディープフリーザー4000台、マイナス20℃のディープフリーザー1万台の手配を完了するなど、政府を挙げて取り組みを進めている」と説明した。
原田明久ファイザー(日本法人)社長のコメント 「このたびの製造販売承認申請は科学的に厳格で高い倫理に基づく研究開発から得られたデータに基づいている。承認が得られた際は、速やかに日本の皆様にもワクチンをお届けし、社会生活正常化の一助として貢献してきたい」
ウール・サヒン ビオンテックCEOのコメント 「日本における申請は大きなマイルストーン。私たちのワクチンが、日本の皆様が通常の生活を取り戻すこと、そして2021年に五輪・パラリンピックが日本で開催され世界がまた一つになることに貢献できれば光栄だ」
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出典:Web医事新報
薬+読 編集部からのコメント
英国にて世界で初めて使用が認められた、米ファイザー社と独ビオンテック社による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」。米ファイザー社は、12月18日に日本国内での製造販売承認の申請を行ったことを発表しました。早ければ2021年2月中に特例承認がされる方針です。国内での接種にあたっては、同ワクチンの保存条件がマイナス70~75℃という超低温であることからコールドチェーン(低温物流)の確立が必須であり、加藤官房長官は承認後速やかに接種を開始できる体制構築も進めているとしています。