処方せん

薬局薬剤師1万人増必要~30年度以降、処方箋増で

薬+読 編集部からのコメント

国立保健医療科学院保健医療経済評価研究センターの此村恵子氏が、「薬局薬剤師が1日に応需可能な処方箋枚数」が現行のまま推移すると仮定した場合、院外処方箋枚数の増加に伴い、2030年度以降は18.8万人の薬局薬剤師数が必要になるとの推計結果をまとめました。65歳以上人口の増加予測値や65歳未満人口の減少予測値をもとに、今後の年間院外処方箋枚数を予測したものです。一方で業務効率化を推進し、応需可能な枚数を増やせば、現行18万人でも十分に対応できるとの見通しも導き出されています。

科学院・此村氏が推計

 

薬局薬剤師が1日に応需可能な処方箋枚数が現行のまま推移すると仮定した場合、院外処方箋枚数の増加に伴って2030年度以降は18.8万人の薬局薬剤師数が必要になるとの推計結果を、国立保健医療科学院保健医療経済評価研究センターの此村恵子氏がまとめた。現行から約1万人増の薬剤師が必要になるという研究結果だが、一方で業務効率化によって応需可能な枚数を増やせば、現行の18万人でも十分に対応できるとの見通しも導き出した。

業務効率化すれば不要に

 

此村氏は、将来必要になる薬局薬剤師数を解析するため、65歳以上人口の増加予測値や65歳未満人口の減少予測値をもとに、今後の年間院外処方箋枚数を予測。高齢者人口の増加に伴い、30年度や35年度の枚数は、19年度に比べて約5%増の8億6000万枚前後になると推計した。将来、薬局薬剤師が在宅医療に出向く回数も試算した。

 

並行して、薬局薬剤師が処方箋1枚の処理に費やす平均時間を算出した。根拠には、15年に実施された厚生労働科学研究「薬局・薬剤師の業務実態の把握とそのあり方に関する調査研究」のタイムスタディ調査の数値を活用。10薬局の平均的な業務時間として示された▽受付から処方監査2分50秒▽調剤2分39秒▽監査3分19秒▽薬剤交付・服薬指導3分6秒▽薬歴記載6分43秒――の合計値約18分40秒を、1枚の処理に費やす平均時間として設定した。

 

その上で、今後予想される対人業務の拡充や業務の効率化に伴い、1枚の処理に費やす時間は変動する可能性があるとして、様々なシナリオを設けて推計値を算出した。

 

推計値をもとに、薬局薬剤師が1日に応需可能な院外処方箋の平均枚数を出し、在宅医療に費やす時間やパート薬剤師の存在、院外処方箋枚数の増加を考慮して、将来必要とされる薬局薬剤師数を解析した。

 

その結果、各業務に費やす時間が現行のまま推移すると仮定した場合、1人の薬局薬剤師が1日に応需可能な処方箋枚数は22.7枚で、30年度以降は18.8万人の薬局薬剤師数が必要になると推計。現行より約1万人増やす必要があることが分かった。

 

一方、薬剤交付や服薬指導に費やす時間を現行の2倍に増やしたシナリオでは応需可能枚数は1日19.3枚に減少し、必要な薬剤師数は30年度以降22.1万人に増加。対人業務を拡充させた場合、現行より約4万人増やす必要があることが明らかになった。

 

逆に、ITや機器の活用などで薬歴の記載に費やす時間を現行の半分に減らしたシナリオでは、応需可能枚数は1日27.4枚に増え、必要な薬剤師数は30年度以降15.7万人で済むと予測した。業務効率化に取り組めば、現行の薬局薬剤師数でも増え続ける院外処方箋に対応できるという結果になった。

 

ただ、薬剤師数には地域差があるため、1日に27枚の応需が可能になったとしても、東北や九州地域では依然として薬剤師数は不足するという。

 

此村氏は、「IT化等で薬局薬剤師の業務効率化が進む一方、対人業務の拡充や在宅医療にもっと取り組むべきとの声もある。1日に応需可能な処方箋枚数を増加させる要因と、減少させる要因の両方が存在するため、これらの影響を踏まえて必要な薬剤師数を推計すべきと考え、研究を実施した」と語る。

 

薬局薬剤師数のあり方をめぐっては、現場から「業務負担を軽減するためには薬局薬剤師数の増加が必要」との声がある一方、「国が払える医療費には限りがある中、やみくもな人員増は、やがて薬剤師の給料減となって跳ね返ってくるため控えるべき」との考え方もあるなど、見解が分かれている。

 

此村氏は「まずはプロフェッショナルとして薬局薬剤師が仕事を行うためには、どのくらいの時間が必要なのかを明らかにすべき。自ずと1日に応需可能な処方箋枚数も算出できる」と述べ、今回の研究結果を材料に議論を活性化してほしいと投げかけている。

 

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出典:薬事日報

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