医療

【調査】コロナ候補薬がネット流通~7品目で広告、品質懸念も

薬+読 編集部からのコメント

金沢大学の木村和子特任教授、吉田直子助教らが、インターネットにおける新型コロナウイルス感染症治療薬の国内流通実態を調査したところ、治療薬候補に挙がっている複数の医薬品が「新型コロナウイルス感染症治療薬」として販売されていたことが判明。そのうち7品目では、新型コロナウイルス感染症治療薬としての広告が行われていました。現時点で、国内で承認されているのは、抗ウイルス剤「レムデシビル」と抗炎症剤「デキサメタゾン」の2剤のみ。木村氏は注意喚起の警鐘を鳴らしています。

金沢大・木村氏ら調査

 

インターネットにおける新型コロナウイルス感染症治療薬の国内流通実態を調べたところ、治療薬候補に挙がっている複数の医薬品が新型コロナウイルス感染症治療薬として販売されていたことが、金沢大学の木村和子特任教授、吉田直子助教らの研究で明らかになった。そのうち7品目では、新型コロナウイルス感染症治療薬としての広告が行われていた。木村氏は「低品質医薬品、偽造医薬品の混在も憂慮され、消費者が安易に個人輸入を行わないよう注意喚起する必要がある」と警鐘を鳴らしている。

 

調査は、新型コロナウイルス感染症の治療薬候補に挙がっている医薬品について、2020年4月1日~今年3月1日の期間に、成分名、商品名、個人輸入をキーワードに、検索エンジン「グーグルジャパン」を活用して情報収集したもの。調査時点で、国内で承認されているのは、抗ウイルス剤「レムデシビル」と抗炎症剤「デキサメタゾン」の2剤である。

 

その結果、両剤を取り扱っていた個人輸入代行サイト数と製品数は、レムデシビルがゼロだった一方、デキサメタゾンについて23サイト24製品あることが明らかになった。

 

治療薬候補として話題に上った医薬品では、抗インフルエンザウイルス剤「ファビピラビル」が2サイト2製品、抗HIV配合剤「ロピナビル・リトナビル配合」が11サイト17製品、抗ウイルス化学療法剤「ネルフィナビル」が2サイト2製品、白血球減少症治療剤「セファランチン」が4サイト4製品。

 

抗マラリア剤「ヒドロキシクロロキン」が20サイト21製品、抗マラリア剤「クロロキン」が3サイト3製品、抗寄生虫剤「イベルメクチン」が19サイト20製品、喘息治療剤「シクレソニド」が15サイト19製品、抗リウマチ剤「トシリズマブ」が1サイト1製品、蛋白分解酵素阻害剤「ナファモスタットメシル酸塩」が1サイト1製品との結果だった。

 

このうち、ファビピラビル、ロピナビル・リトナビル配合、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、イベルメクチン、シクレソニド、ナファモスタットメシル酸塩の7品目では、新型コロナウイルス感染症治療薬としての広告が行われていることが分かった。ただ、品切れ表示もあり、実際に購入できない製品もあった。

 

木村氏は「ファイザーのワクチンは、メキシコでは偽造品も確認されている。新型コロナウイルス感染症治療薬として国内未承認のファビピラビルについては、ジェネリック医薬品がサイトで広告されており、低品質・偽造医薬品の混在も憂慮される」と指摘。

 

その上で、「品質と真正性が明らかにされていないため、消費者が安易に個人輸入を行わないよう、さらに情報提供や注意喚起をする必要がある」と警鐘を鳴らしている。

 

同研究は、昨年度から厚生労働科学研究として実施中。今後は、新型コロナウイルス感染症関連医薬品の試買をインターネット上で行い、保健衛生上の問題を調査する予定だ。

 

現在、インターネット上では、世界的規模で偽造医薬品の流通実態があり、国内でも個人輸入の医薬品について、偽造医薬品や品質不良医薬品の存在が報告されている。新型コロナウイルス感染症のパンデミック下において、国連の薬物犯罪事務所も同治療薬の偽造品流通が拡大していると発表しており、インターネットを通じた不正な医薬品流通が懸念されている。

 

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出典:薬事日報

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