医療

入試厳格化求める声相次ぐ~薬剤師数「供給が需要上回る」 厚生労働省

薬+読 編集部からのコメント

厚労省では「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」(4月26日)に2020~45年の25年間における薬剤師の需給推計に関する調査結果を提示しました。その25年間における全国と地域別の薬剤師数を推計した結果、20年の32万人から45年には33万2,000人が必要になるとされており、変動要因を考慮すると40万8,000人まで増加が予測され、将来的にも供給が需要を上回ると試算。一方で薬剤師の質を担保する大学薬学部のあり方については、構成員からは現状への懸念で入学時の選別を厳格化するよう求める声が続出しています。

厚労省が調査結果

厚生労働省は26日の「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」に、2020年から45年までの25年間における薬剤師の需給推計に関する調査結果を示した。将来的にも供給が需要を上回ると試算したが、薬剤師の質を担保する大学薬学部のあり方については、構成員から現状への懸念で入学時の選別を厳格化するよう求める声が続出。文部科学省からは定員割れや留年率が高い大学に対する指導を強化する方向性も示された。

今回の需給調査では、20~45年の全国と地域別の薬剤師数を推計。需要では、薬局や医療機関等に勤務する薬剤師数、供給については薬剤師免許を持つ人を推計した。その結果、需要については、20年の32万人から45年には33万2000人が必要になるとしており、変動要因を考慮すると40万8000人まで増加するとした。

 

具体的には、薬局薬剤師は30年の21万1000人をピークに、45年には20万6000人へと緩やかに減少すると試算。病院薬剤師は、病床数の減少を考慮した試算で、20年の5万3000人から45年には4万7000人まで少なくなるとした。

 

医薬品製造販売業者など医薬品関係企業の従業員については、現在からの変化は小さく、45年まで約4万1000人で推移すると試算した。

 

一方、供給の推計を見ると、機械的に推計した場合は、20年の32万5000人から45年に45万8000人に増加。人口減少による薬学部入学者数の減少を考慮して推計すると、同年に43万2000人とした。このため「将来的には業務の充実により需要が増えると仮定しても、供給数が需要を上回る」と結論づけた。

 

ただ、供給の質を担保する観点から、一部の薬学部の現状を懸念する声が構成員から相次いだ。

 

安部好弘構成員(日本薬剤師会副会長)は、6年間の卒業率や国家試験合格率等を評価指標に取り入れ、達成度に応じて入学定員の制限を含めた適正化を実施するよう提案。薬学部の新設に関する許可要件の見直しも検討すべきとした。

 

山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「入学定員のあり方の見直しが必要。本当に妥当な定員か検討しないと質が低下する」と指摘。宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)も「6年間で卒業できないのは、素養が足りないのに入学させる問題がある。国家試験だけでなく、入口の問題であることも明白」と述べた。

 

これら意見を受け、文科省は「定員割れしている大学や留年率の高い大学には、今年度にヒアリングして、改善が必要な場合は適切な指導をする」との考えを示した。

 

一方、需要の課題については、安部氏が「仮に大きな過剰や不足が生じても、薬学部の入学定員をコントロールする仕組みがないことが最大の課題」と指摘。医学部や歯学部と同様に、需要の状況に応じて定員数を抑制する仕組みの導入を国の方針に位置づけるよう求めた。

 

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出典:薬事日報

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