地域連携薬局は全国740軒~東京都が唯一の三桁台に
専門は半数が認定ゼロ
医薬品医療機器等法の一部改正で8月に認定薬局制度が施行され、2カ月が経過した。本紙が9月29日時点で回答が得られなかった新潟県を除く46都道府県の認定状況を調べたところ、地域連携薬局740軒、専門医療機関連携薬局45軒が認定されていた。地域連携薬局は東京都がトップの173軒、次いで大阪府、埼玉県、神奈川県と続き、滑り出しとしては概ね順調との評価だ。一方、専門医療機関連携薬局は軒数が二桁に届いた都道府県は未だになく、半数の道府県で認定薬局がゼロとなっている。
本紙は9月29日時点で各都道府県がホームページ上で公表している情報を中心に地域連携薬局と専門医療機関連携薬局の集計を行い、46都道府県の認定状況をまとめた。
地域連携薬局が最も多かったのは東京都で都内薬局6895軒中173軒が認定を取得し、全国で唯一、三桁台となった。都は、「申請が出てきているので、200程度まで伸びると思う。まあまあのペースではないか」と良い滑り出しとの認識を示し、今後も軒数が増加していくと見通した。
大阪府は9月1日時点で75軒が認定を取得している。薬務課は「前月に比べて順調に増加している」とした。
埼玉県は9月28日時点で66軒。地域の他の医療機関への情報提供回数月30回以上などの認定要件で「実績のある薬局が認定を取得している」(県保健医療部薬務課)と分析する。8月末で58軒の認定薬局を公表した神奈川県は、「数字の評価はまだ行っていないが、認定薬局の軒数を見ると健康サポート薬局よりも増えている実感はある」(健康医療局生活衛生部薬務課)と感触は良いようだ。
5番目に多かったのが茨城県の36軒。総人口が全国で11番目だが、集計日が異なるものの愛知県や兵庫県、千葉県などを上回った。調剤薬局チェーンが認定薬局全体の9割弱を占めているが、「研修会を開催してきた取り組みも奏功しているのではないか」(県保健福祉薬務課)とした。
6番手以降には、千葉県が35軒、広島県が25軒、兵庫県と愛知県が21軒と続いた。
ただ、認定状況には地域差が見られており、認定薬局数一桁台は25道県に上る。福井県と宮崎県はゼロと認定薬局がまだ誕生していない。
一方、抗癌剤などで癌治療を行う患者に専門的指導を行う専門医療機関連携薬局は、全国で45軒と出足が鈍い。トップの東京都が5軒、神奈川県が4軒、千葉県、福岡県、愛知県、群馬県が3軒と認定を取得していたのは23都府県にとどまった。
認定要件が地域連携薬局と比べてもハードルが高く、ネックとなっているのが「癌に関する専門性の認定を受けた常勤の薬剤師を配置していること」で、認定を受けている薬剤師を確保できないことが課題となっている。公表されている認定薬局を見ると、癌治療を行う大学病院などの門前薬局や調剤薬局チェーンが大半を占めており、小規模の薬局が認定を取得するのが難しい現状が浮き彫りとなっている。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
8月に認定薬局制度が施行され、2カ月が経過しました。薬事日報社が46都道府県の認定状況を調査したところ(※新潟県は回答を得られず)、地域連携薬局740軒、専門医療機関連携薬局45軒が認定されていました。地域連携薬局は東京都がトップの173軒、次いで大阪府、埼玉県、神奈川県と続いており、概ね順調な滑り出しとの評価となっています。一方、専門医療機関連携薬局は軒数が二桁に届いた都道府県は未だになく、半数の道府県において「認定薬局がゼロ」となっています。