医療

薬学部定員抑制策に注文~文科省の対応へ不満相次ぐ

薬+読 編集部からのコメント

薬学教育の質保証に関する調査(文科省検討会取りまとめ)において、大学薬学部の入学定員抑制に対する具体的施策がなかったことに対して、厚労省の「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」では構成員から「いつまでに実行に移すのか」との不満が相次ぎました。同検討会の取りまとめでは、将来的に薬剤師の供給過剰になるとの需給推計の結果を踏まえて、入学定員の抑制も含めて薬学部の適正な定員規模を早急に検討することのほか、薬剤師の地域偏在解消に向けた検討も行うよう求められていました。

文部科学省の検討会が昨年末に中間的に取りまとめた薬学教育の質保証に関する調査で、大学薬学部の入学定員抑制に対する具体的な施策がなかったことに対し、20日に開かれた厚生労働省の「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」では構成員から「いつまでに実行に移すのか」との不満が相次いだ。入学定員のあり方に関しては、厚労省と文科省で統一的な方針を示すことや、薬剤師の地域偏在を踏まえ、大学数の制限まで踏み込んで検討するよう求める声が上がった。文科省は今夏をメドに具体的な対策を検討する方針。

 

同検討会の取りまとめでは、将来的に薬剤師の供給過剰になるとの需給推計の結果を踏まえ、入学定員の抑制も含めて薬学部の適正な定員規模を早急に検討することのほか、薬剤師の地域偏在解消に向けた検討も行うよう求めている。

 

この日の検討会では、文科省と厚労省が、取りまとめ内容への対応状況について報告。文科省は、「薬学系人材養成のあり方に関する検討会」の小委員会が薬学教育の質保証に関する調査の中間取りまとめを公表したことなどを説明し、今夏をメドに取りまとめを予定しているとした。

 

ただ、安部好弘構成員(日本薬剤師会副会長)は、小委員会による中間取りまとめにおいて、「各大学の自主的な定員削減のみでは対応困難で、国として適切な入学定員規模等を維持しやすくする方策を検討すべきでないか」と記載されたことに、「厚労省検討会の取りまとめから後退した印象で驚いている」と苦言を呈した。

 

その上で、「入学定員抑制に向けた具体的な方策が記載されておらず、厚労省と文科省で政策として明確な方針を出すことは、次のステップに進むためにも重要」とし、統一的な見解を求めた。

 

これに対し、文科省高等教育局医学教育課は「検討中だが、ヒアリングで得られた課題も含めて、どのような対応が改善につながるか考えたい」とした。

 

宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)は、薬学部の新設ラッシュを止められなかった文科省の対応を厳しく批判。「薬剤師が充足していない地域もあるが、過剰な地域もある」と指摘した上で、「入学者数だけではなく、大学の数をどう考えるかも課題だ。教員の数も分散してしまう。大学数を制限しなければいけないのに、さらに増やす雰囲気があることが心配」と指摘した。

 

さらに、「医学部では医療提供が減るのであれば医師数を減らすよう論理的に考えている。薬学部も同様に考えるべき」とし、「(大学の新設抑制について)ずっと検討すると言い続けているので、早急に対応という言葉を書いてほしい」と迫った。

 

山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「薬剤師になれないような人を大量に出している大学を放置しているのが問題だ。(文科省の検討会で)また一から議論が始まり、アカデミアのメンバーが中心になっているので、問題点がすり替わっていくという懸念を持っている」と述べ、「改善するために動いていくという方向性を持たないと意味がない」と強調した。

 

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出典:薬事日報

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