【薬学部調査結果】ストレート合格率大幅低下~初の退学率公表、5割超も
薬学部の標準修業年限内における2021年度薬剤師国家試験合格率(ストレート合格率)が前年度と比べて上昇した大学が57校中3校にとどまる実態が、文部科学省の調査で明らかになった。私立大学では第一薬科大の18.29%など、3割を下回る大学が6校に上った。初めて公表された退学率では医療創生大学の56.25%を筆頭に、3割を超える大学が7校見られ、ストレート合格率が低い大学と退学率の相関が高かった(表参照)。
15年度入学生の国試ストレート合格率を見ると、私立大学では、星薬科大84.62%、慶應義塾大80.00%と8割を超えたのは2校で、北里大78.87%、明治薬科大78.83%などが続いた。
一方で低かったのは、第一薬科大が18.29%と2割を下回り、3割を下回ったのは千葉科学大22.35%、姫路獨協大23.76%、青森大25.00%、医療創生大28.13%、九州保健福祉大29.38%の5校だった。
前年度から合格率が上昇したのは青森大と東京薬科大、鈴鹿医療科学大の3大学のみで、54大学が低下していた。10ポイント以上の低下が見られたのは31校で中でも第一薬科大は30ポイント超と急減していた。
国公立大学では、金沢大97.22%を筆頭に、東北大と静岡県立大が95.00%と7校が9割を超えた。
文科省は、比較的低い合格率にとどまった大学について、「大学の質保証システムが適切に機能せずに、アドミッションポリシー(入学者受入方針)を実現できていない。効果的な施策を考える必要がある」(高等教育局医学教育課)としている。
一方、文科省は、15年度薬学部入学生の21年度時点における退学率、11年度入学生のうち10年を超えて在籍している学生の割合も公表した。退学率の公表は初めて。
退学に関しては、私立大学では調査対象となった57校全てで確認され、医療創生大の56.25%が最も高く、前年度と前々年度も5割前後となっていた。40.78%の千葉科学大、33.54%の第一薬科大も過去数年間に3割台を複数回記録していた。
これに対し、横浜薬科大が17年度の45.70%から21年度は19.68%に低下するなど、退学率が減少する大学も複数見られた。国公立大学では、京都大16.67%、名古屋市立大10.14%など、9校で退学が見られた。10年以上在籍している学生が確認された私立大学は28校で、奥羽大3.13%、徳島文理大2.22%、横浜薬科大2.21%の順に高かった。
文科省は、これら退学率等の調査結果をもとに、「薬学系人材養成のあり方に関する検討会」の小委員会で入学定員のあり方も含めた改善策を検討したい考えを示している。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
文科省の調査によりますと、薬学部の標準修業年限内における2021年度薬剤師国家試験合格率が前年度と比較し、上昇した大学が57校中3校にとどまる実態が判明しました。私大では第一薬科大の18.29%など、3割を下回る大学が6校に。初公表となる「退学率」では医療創生大学の56.25%を筆頭に、3割を超える大学が7校見られ、ストレート合格率が低い大学と退学率の相関が高い結果となっています。文科省では調査結果をもとに「薬学系人材養成のあり方に関する検討会」の小委員会で入学定員のあり方も含めた改善策を検討したいとの考えを提示しています。