ワクチン接種「必須とせず」~実務実習の受入方針継続
文部科学省は、21日から始まる薬学生の2022年度実務実習について、新型コロナウイルスワクチンの接種を実習受け入れの必須要件としない現行方針を継続する考えだ。昨年度の実習では、未接種者の受け入れを拒否する病院や薬局が報告されたものの、昨年5月に発出した事務連絡を行政側の統一方針として適用し、引き続き事例を収集する。
文科省と厚生労働省は、昨年5月に発出した連名の事務連絡で、新型コロナウイルス感染拡大下でも学生の修学に不利益が生じないよう医療関係職種を養成する大学や実習の受け入れ施設に弾力的な対応を求めている。
具体的には、大学側が取り組んでいる感染対策や実習前後での学生に対する感染管理教育の内容を受け入れ施設側に説明した上で、ワクチン接種やPCR検査が受け入れの必須要件にならないよう双方で積極的に対話することとしている。
一方、仮に受け入れ施設側から接種を求められ、早期の接種が必要と判断される場合は、可能な限り受け入れ施設の病院で接種できるよう大学側が調整することとした。その際も、接種はあくまでも任意であり、学生に強制することのないよう実習先に説明して理解を得るよう求めている。
ただ、1月の薬学実務実習に関する連絡会議で、薬学教育協議会が報告した21年度第III期実務実習の実態では、ワクチン接種等を求めた施設や、施設側の感染対策上、未接種者の受け入れを断る施設などが確認されている。受け入れを断られた学生については、施設変更などで各大学が個別に対応している現状が見られた。
連絡会議では、薬剤師委員から未接種の学生を受け入れない判断を尊重する声が上がった一方、行政側で統一した見解を示すよう要求。これに対して、文科省は同事務連絡に言及し、既に厚労省と認識を共有していると説明していた。
21日から始まる22年度第I期実務実習に関しても事務連絡で示した方針を適用し、引き続き事例を収集していく考えだ。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2月21日からスタートする薬学生の2022年度実務実習について、文科省では新型コロナワクチン接種を実習受け入れの必須要件としない現行方針を継続する考えです。20年度実習では、未接種者の受け入れを拒否する病院や薬局が報告されたものの、21年5月に発出した事務連絡を行政側の統一方針として適用し、引き続き事例を収集します。具体的には、大学側が取り組む感染対策や実習前後での学生に対する感染管理教育の内容を、受け入れ施設側に説明した上で、ワクチン接種やPCR検査が受け入れの必須要件にならないよう双方で積極的に対話することとしています。