医療

供給状況サイト、業界団体と連携へ~日薬連、GE薬協が協力

薬+読 編集部からのコメント

薬局薬剤師ら4名が2021年9月に立ち上げた「医療用医薬品供給状況データベース」(通称:DSJP)について、日本製薬団体連合会、日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)が運営に協力することが示されました。DSJPは製薬企業が発信する出荷調整等の情報をまとめたウェブサイトで、多くの医療従事者や医薬品卸関係者が一次情報を確認する社会インフラになった一方、有志の薬局薬剤師が情報収集、更新する作業負担が課題となっていました。年内に連携のあり方を決める見通しです。

薬局薬剤師は法人設立

製薬企業が発信する出荷調整等の情報をまとめたウェブサイト「医療用医薬品供給状況データベース」(通称:DSJP)の運営や改良に、日本製薬団体連合会と日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)が協力することが概ね固まった。10月以降、業界関係者が話し合いを進め、年内に連携のあり方を決める見通し。DSJPを運営する薬局薬剤師4人は、連携の受け皿として一般社団法人を立ち上げる計画だ。不安定な医薬品供給によって最終的にしわ寄せがいく患者の負担を少しでも軽減しようと、現場の薬剤師と製薬企業が連携して取り組みを進める。

 

連携の議論には、DSJPを運営する4人の薬剤師のほか、製薬企業、薬局、流通、行政等の関係者が参加する見込み。運営体制や運営経費の確保、他の供給状況情報サイトとの連携方法などを話し合い、年内に連携のあり方を決める。

 

DSJPを運営する4人の薬剤師は、連携に向けて10月上旬に一般社団法人「asTas」(あすたす)を立ち上げる計画。運営側の代表を務めてきた近野優氏と山本高大氏(うさぎ薬局)の2人が代表理事に就き、竹内由香里氏(進行堂薬局本店)と小笠原大樹氏(二戸市薬剤師会)が理事に就任する。

 

「明日(asu)の仕事(task)をお助け(taske)する情報をちょい足す(tasu)団体」として、現場の薬剤師と製薬企業、卸関係者らが協力して日本の医療を支える活動を展開したい考えだ。

 

GE薬協は10月4日、GE薬に対する信頼回復に向けた取り組みの中間発表を行う予定。その項目の一環として、DSJPとの連携を位置づける見通しだ。

 

DSJPは、SNSのツイッターを介して知り合った薬局薬剤師らが昨年9月に立ち上げた。相次ぐ医療用医薬品の出荷調整や出荷停止を受け、薬局での医薬品確保や代替品調達に追われる中、供給情報を網羅するサイトが必要と考えた有志の協力で実現した。

 

製薬各社がウェブサイトで発信する出荷調整や出荷停止、販売中止、措置解除の情報を幅広く網羅。代替品を検索する機能もある。現場の薬剤師目線で構築したサイトは各社の膨大な情報を網羅し、迅速に更新する点や機能が評価され、多くの医療従事者や医薬品卸関係者が一次情報を確認する社会インフラになった。

 

一方、有志の薬局薬剤師が出荷調整情報等を収集、更新する作業負担は大きく、継続的な運営のあり方が課題になっていた。運営側の薬剤師は、既に社会インフラとなったDSJPを業界全体で活用することが患者のためになると判断し、業界団体に打診。業界団体側も呼応し、正確で迅速な供給状況情報の提供に関係者が幅広く協力体制を構築することで意見が一致した。

 

業界団体側も供給状況情報サイトの構築を進めているが、DSJPほどの機能を備えるには時間を要する見込みだ。GE薬協は、会員37社の出荷調整や出荷停止、解除見込みの情報を提供するサイトを今月中に改修する計画。長期収載品にも対象を広げ、会員以外の企業にも情報開示を呼びかける。

 

ただ、現在は情報の量や速報性でDSJPが圧倒的な優位にある。厚生労働省も来年度、行政主導で供給状況情報サイトの構築を進める見通しだが、実現には時間がかかる。

 

こうした背景から当面、DSJPを業界全体で活用することが得策と判断した。国の供給状況情報サイト構築後も、現場の薬剤師目線で使い勝手を向上させることで、競合せずにサイトの併存は可能と見ている。

 

【関連記事】敷地内薬局が増えている?メリット・デメリットと関連する「特別調剤...
  • 薬剤師のための休日転職相談会
  • 薬剤師の転職・求人・募集はマイナビ薬剤師/5年連続満足度NO.1

出典:薬事日報

ページトップへ