医療

MR認定制度を抜本改革~基礎と実務の修了で認定

薬+読 編集部からのコメント

2月7日、MR認定センターがMR認定試験制度の抜本改革を行い、2026年4月から実施することを発表。試験名は「MR基礎教育修了試験(仮称)」と改められ、基礎教育の習得度確認のための試験と位置づけられ、MR認定証は試験合格証と企業が行う実務教育に対する同センターの修了認定を受けることで交付される仕組みへと変化します。試験受験資格は完全撤廃され、学生受験者の拡大を見込んでいます。

26年4月から実施

MR認定センターは7日、MR認定試験制度の抜本改革を行い、2026年4月から実施すると発表した。試験名を「MR基礎教育修了試験(仮称)」と改め、基礎教育の習得度確認のための試験と位置づける。その上で、MR認定証は試験合格証と企業が行う実務教育に対する同センターの修了認定を受けることで交付する仕組みに変える。

試験受験資格は完全撤廃し、学生受験者の拡大を見込む。同センターは、基礎教育内容を習得した試験合格者の学生の中から製薬企業は採用が可能になるとして、「優秀な学生の獲得と社内教育の負担軽減が期待できる」として、今後、製薬企業と大学に新制度を説明していく。

 

現行制度は、MR認定証の取得までに、企業や教育機関で一定の基礎教育を修了することでMR認定試験の受験資格を得る(学生も可能)。同試験の合格、企業での実務教育の修了認定とMR経験6カ月を経て、初めて発行される。入社から認定証取得までおおよそ1年かかる。

 

新制度では、受験するための基礎教育の受講が必要なくなり、受験資格は完全に撤廃される。年1回の試験は複数回に増やし、「医薬品情報」「疾病と治療」などの科目で、オンラインによるCBT方式で行う。同試験に合格すれば合格証を発行する。

 

この段階ではMR認定証は発行されず、さらに企業側の実務教育(倫理教育、安全管理教育、技能教育、その他企業が必要とする科目)を受け、センターによる「実務教育研修ドリル」の修了認定を受ける必要がある。

 

そこで初めてMR認定証が発行される。MR経験6カ月の認定証交付要件は撤廃される。合格証を持たない人が入社した場合でも、現行より認定取得を数カ月以上早められる可能性があるという。

 

新制度の肝は、基礎教育と実務教育のいずれにも同センターが修了認定レベルを担保する点だ。これにより、一定以上資質を備えたMRを輩出する制度にする。

 

そのため、同センターは今年、「MR基礎教育修了試験」制度設計の検討を行い、24年7月にも公布する。MR認定の資質の担保に位置する実務教育認定基準の策定も進め、24年3月までに整える方針だ。

 

同センター専務理事の近澤洋平氏は同日、記者団に対し、「MR基礎教育修了試験(仮称)」の出題水準について、「薬学教育4年次までの内容を習得していれば合格できるレベル」とし、「文系出身者はMRテキストだけを読むだけでは難しいかもしれない」との認識を示した。

 

大学関係者に対しては、「モダリティの多様化、画期的な治療薬が誕生し、患者さんに適正な薬物治療を提供するために、専門的な資質を持ったMRが医療関係者に説明をすることで、治療技術の向上に役立っている」と述べ、MR職への理解と志望者の新制度活用へ後押しを検討するよう呼びかけた。新制度では、現在の約1000人の受験者数を3000人程度まで増やしたい意向だ。

 

同センターは今後、新制度が製薬企業の採用戦略にも影響を与える可能性を考慮して、製薬関係団体、日本薬学会、大学学長・学部長、各大学のキャリアセンターにも説明していく。就職サイトとのタイアップも検討する。

 

MR認定制度の抜本改革は、MRの資質向上のために同センターが17年から進めてきた継続教育、事業構造、教育研修制度の一連の改革の仕上げの取り組みになる。今回の抜本改革は「認定試験制度改革検討委員会」が2月にまとめた報告書をベースに制度設計することになる。

 

認定試験制度改革の説明などをテーマに都内で開かれた講習会には、製薬企業など208社の担当者が出席した。近澤氏は、講習内容を「教育研修三役(総括教育研修責任者、教育研修推進者、実務者)と共有し、末端のMR、関係部署に説明することを希望する」と、強く対応を促した。

 

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出典:薬事日報

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