薬剤師会

自治体病院に薬剤師派遣、仙台市集中の偏在解消へ~宮城県モデル事業に協力

薬+読 編集部からのコメント

宮城県内では病院薬剤師が不足している状況にあり、仙台市とそれ以外の地域で薬剤師数に差がある地域偏在が大きな問題となっています。そんな状況にあって東北大学医学部附属病院では県からの委託を受け、薬剤師が不足している自治体病院に薬剤師を派遣し、仙台市に集中する病院薬剤師の地域偏在解消を支援しています。出向先医療機関は気仙沼市立病院で調整を進めており、薬剤師歴10年程度の中堅薬剤師1人が出向します。

東北大学医学部附属病院は、宮城県からの委託を受け、薬剤師が不足している自治体病院に薬剤師を派遣し、仙台市に集中する病院薬剤師の地域偏在解消を支援する。出向先医療機関は気仙沼市立病院で調整を進めており、薬剤師歴10年程度の中堅薬剤師1人が出向する。また、薬剤師歴25年超の指導薬剤師が出向する薬剤師の助言役となり、出向先医療機関での薬剤師確保の体制整備だけではなく、調剤・病棟業務や地域連携など必要に応じた業務支援を行う。6月頃には薬剤師を出向させたい考えだ。

 

県は今年度予算の薬剤師確保対策事業費約1100万円のうち、地域医療介護総合確保基金を活用し、約395万円を病院薬剤師出向・体制整備支援事業に充てる。病院薬剤師が県内で不足している状況にあり、仙台市とそれ以外の地域で薬剤師数に差がある地域偏在が大きな問題となっている。2020年12月末の10万人当たりの薬剤師数は、仙台市は全国平均48.8人より多い56.3人であるのに対し、県内の他地域は全国平均を下回っている。

 

同事業は、病院薬剤師の安定確保を目的に薬剤師が不足している地域の自治体病院に対し、仙台市の充足している病院から薬剤師を派遣することで地域偏在の解消を目指すもの。今年度は1年間のモデル事業の位置づけで、県から委託を受けた東北大病院が実施主体となって事業を進める。

 

モデル事業で東北大病院は、雇用している中堅薬剤師を在籍させたまま出向先に派遣する一方、出向薬剤師の代替要員として新人薬剤師を雇用する。

 

また、出向した薬剤師は調剤業務に加え、東北大病院で薬剤師経験25年超の指導薬剤師からの助言を受け、出向先の医療機関の業務を支援する。出向先で勤務しながら、業務支援のニーズを指導薬剤師と情報共有する。指導薬剤師は、必要に応じて出向先に出向き、薬剤師に助言することで業務支援を提案する。

 

業務支援内容は、東北大病院がノウハウを持つ調剤業務や病棟業務、チーム医療、地域連携と多岐にわたるメニューから、出向先のニーズに沿って決定し、薬剤師業務の拡充につなげる。出向薬剤師が調剤業務を行うことで、これまで調剤業務を行っていた薬剤師に病棟業務を経験してもらい、必要なスキルを身に付けてもらう。薬剤師として様々な経験が積める魅力ある職場にする。

 

基金では、指導薬剤師が出向中の薬剤師に助言を行う際の人件費や旅費、代替要員として雇用する新人薬剤師の人件費にかかる3分の2の金額を補助する。出向する薬剤師の人件費や旅費、住居費は出向先の医療機関が負担する。

 

出向先は県がマッチングを行っており、東日本大震災の被災地で、今もなお薬剤師不足に直面している気仙沼市立病院で調整を行っている。

 

東北大病院の眞野成康薬剤部長は、「われわれが重要視しているのが薬剤師採用に向けた広報活動で、病院薬剤師はきついというイメージだけが先行して薬剤師としてやりがいのある地域の病院なのに、その魅力が薬学生に伝わっていない」と話し、地域医療に前向きな薬学生に対するPRを支援していく考えを示す。

 

その上で、「出向先の医療機関で継続して安定的に薬剤師を雇用する環境が整えば、東北大病院の薬剤師が地域密着型の病院で働く機会も得られる」と述べ、薬剤部の人材育成でも大きなメリットがあると強調している。

 

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出典:薬事日報

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