医療

病院薬剤師確保に本腰~奨学金返済支援を募集【山形県】

薬+読 編集部からのコメント

病院薬剤師の偏在指標が目標の1を大きく下回る0.60と厳しい状況にある山形県では、今年度から病院薬剤師不足の対策に乗り出しています。2023年度の新予算事業として奨学金返済支援に1800万円を充て、県内の病院勤務を条件に来年度から支援金を貸与する予定で、4月24日から募集を始めました。薬科大学・薬学部6年生のUターン・Iターン就職を促すために、今年度は大学訪問などによって周知に努めます。

初の予算化で定着狙う

 

山形県は今年度から、県内で深刻化している病院薬剤師不足の対策に乗り出す。2023年度の新たな予算事業として奨学金返済支援に1800万円を充て、県内の病院勤務を条件に来年度から支援金を貸与する予定で、24日から募集を始めた。薬科大学・薬学部6年生のUターン・Iターン就職を促すため、今年度は大学訪問などによって周知に努める。山形県は、厚生労働省の調査で病院薬剤師の偏在指標が目標の1を大きく下回る0.60と厳しい状況にある。県は、学生のみならず県外で働く社会人の応募も歓迎しており、幅広い人材を呼び込むことで病院薬剤師の定着を急ぎたい考え。

 

山形県は、今年度予算で病院薬剤師確保対策事業に1937万円を新規で計上した。そのうち、奨学金返済支援に1800万円を充て、来年度の最大貸付予定額として地域医療介護総合確保基金に積み立てる。実際の奨学金返済支援は来年度から行う予定で、今年度は137万円を活用して大学訪問や就職セミナーへの参加によって学生に対して就職を働きかける。

 

奨学金返済支援は、新たに県内の病院に就職した場合、勤務月数1カ月当たり5万円を上限に、年間最大60万円の返済支援を受けられるというもの。大学在学中に奨学金の貸与を受けていた年数と同じ期間の支援を受けられるが、上限は6年間まで。1人当たりの支援額は最大で360万円となる。

 

県内の病院に就職後、勤務期間が支援金の支給を受けた1.5倍の期間に達した場合、返済義務は全額免除される。

 

来年度の募集人員は30人。来春、薬剤師国家試験に合格して免許を取得し、大学を卒業予定の6年生をはじめ、県外で薬剤師として働く社会人も応募できる。県内で勤務している薬剤師は対象外となる。

 

6月末締め切りで申請書や作文などの書類を提出し、応募が30人を超えた場合は選考が行われる。その後、面接の上、8月頃に貸与予定者を決定する。来年度から県内の病院勤務開始後、改めて貸与者申請を行って来年5月頃に貸与者を決め、25年1月に1回目の支援金が24年度分として一括で支給される流れとなっている。

 

県健康福祉部健康福祉企画課コロナ収束総合対策室の阿部佳人薬務・感染症対策主幹は、「山形県は薬学部と薬科大学がないこともあり、薬剤師数はそれほど増えていない。その中で特に薬局と病院の差が大きく、なかなか病院薬剤師を確保できていなかった」と課題を指摘。「奨学金を借りている人には、ぜひ山形に来てもらって返済支援を受けながら薬剤師として仕事をしてほしい」と呼びかけている。

 

病院薬剤師確保対策事業は、薬剤師に対して奨学金の返済を支援する初めての事業となる。そのため県は今後、条例を制定して貸与の枠組みを整備し、来年度からの事業に向けた準備を進める。

 

奨学金返済支援について、県は25年度以降も継続していきたい考え。対象人数は需給調査を行いながら決めていくことになる模様だ。

 

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出典:薬事日報

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