医療

無薬局町村に薬剤師派遣~オンラインから方向転換

薬+読 編集部からのコメント

無薬局町村に近隣市町の薬局薬剤師を定期的に派遣し、地域住民に薬剤師サービスを提供する事業が北海道薬剤師会によって計画されています。服薬や残薬に関する相談会を開催するほか、薬剤師がケアマネージャーと同行して残薬確認や服薬指導を行うことなどが想定されています。薬剤師の派遣により、その価値を実感してもらい、オンラインによるフォローアップの具体的方法の検討へとつなげたい考えです。

北海道薬剤師会は、無薬局町村に近隣市町の薬局薬剤師を定期的に派遣し、地域住民に薬剤師サービスを提供する事業を計画している。服薬や残薬に関する相談会を開催するほか、薬剤師がケアマネージャーと同行して残薬の確認や服薬指導を行うことなどを想定している。無薬局町村の高齢患者に遠隔地域から情報通信機器を活用したフォローアップを行うモデル事業を展開してきたが、住民にすぐに実装させるのは難しいと判断。薬剤師を派遣することで、薬剤師が提供するサービスの価値を実感してもらい、オンラインによるフォローアップの具体的方法の検討へとつなげたい考えだ。

 

薬局の価値実感が課題

 

無薬局町村は、厚生労働省の調べで全国1718町村のうち34都道府県136町村あり、中でも北海道は24町村と全国でも圧倒的に多い。道薬は、無薬局町村の役場などで服薬指導や服薬後のフォロー、健康食品・サプリメントの飲み合わせ、残薬等を相談できる場やお薬手帳の正しい使い方などを説明する講演会を実施するほか、ケアマネージャーと同行して在宅で残薬の確認や服薬指導を行うことも検討している。薬剤師の派遣に伴う経費は、道や道薬が負担して派遣元に支払うとしている。

 

道薬常務理事で小樽支部の桂正俊氏は、「基本的には支部が主体となって無薬局町村をフォローし、そこで対応できない場合に、道薬の様々なパターンでフォローアップしていく」と説明。「北海道は無薬局地域が多いので、先頭を切ってやっていかなければいけない」と話す。

 

これまで道薬は道と連携し、北見・稚内・十勝の事業参加薬局から、遠隔の無薬局町村に住む高齢者に情報通信機器を活用した薬剤師による調剤後フォローアップをモデル的に実施するなど、無薬局町村対策に取り組んできた。

 

ただ、モデル事業を通じて残薬・重複多剤投薬の解消については、期待する成果を上げることができていない。昨年度には、無薬局町村に対する医療DXのアプローチの有効性を検証するため、無薬局町村に住む高齢者を対象に、調剤後フォローアップに対する地域ニーズや問題点を調査した結果、住民のニーズが低いことが判明した。

 

置戸町に住む70歳以上の高齢者11人を対象とした調査では、「テレビ電話を使って薬剤師と薬の相談をしたくない」(64%)、「してみたいがテレビ電話ができない」(36%)と回答。赤井川村でも、高齢者26人のうちテレビ電話を使って薬剤師と薬の相談を「したくない」との回答が86%を占めた。

 

ケアマネジャーとの意見交換では、医療機関が赤井川診療所のみで村民のほぼ全員がかかりつけとしており、薬局サービスの知識が乏しいなどの理由で、薬局の必要性は感じていないことが分かった。

 

今回の調査では、薬局から薬を受け取っている住民は56%にとどまることが判明。分業率80%を超えている道では低い数字となった。

 

桂氏は「薬剤師が近くにいる環境で生活していない住民に、薬剤師サービスを展開するのが難しいことが分かった」と述べ、無薬局町村に薬剤師を身近に感じてもらうためのPRが必要との考えを示す。その上で「薬剤師が現地に行き、顔が見える関係になった後、オンラインによるフォローアップを具体的に検討すべきではないか」と語った。

 

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出典:薬事日報

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