薬局で使用済み注入器回収~今年末までに国内で開始
ノボノルディスクファーマ日本法人のキャスパー・ブッカ・マイルヴァン社長(写真)は20日、都内で開いた記者懇親会で、今年末までに使用済みインスリンペン型注入器を薬局を通じて回収する「テイクバックプログラム」を日本でも始める方針を明らかにした。同プログラムは、環境負荷低減対策のためグローバルで展開しているもので、来年1年程度かけて数自治体でパイロットを行った後、全国展開につなげたい考え。
同プログラムは、2020年12月にデンマークの3自治体で開始され、21年に20%のペン型注入器を回収し、22年2月に全国展開をスタート。21年には英国、ブラジルでもパイロットを始めている。製造ラインから出たプラスチック端材の90%以上を製品以外に再利用している。
マイルヴァン氏は、「日本でも年末くらいにスタートできるように準備を進めている」と述べ、まず1年程度かけてパイロットを行う方針を明らかにした。
東京都のほか、事業の協力関係にある千葉県旭市、工場のある福島県郡山市などの自治体と話し合っているとしたが、最終的な実施地は調整次第とした。
マイルヴァン氏は、「このプログラムが成功するためには、薬局団体、ロジスティクス、環境当局、自治体などのエコシステムが機能しないといけない」と話した。
回収後、デンマークでは椅子やランプなどに再利用されていると説明。「より質の高いプラスチックに再生できれば製造プロセスに戻すことも可能」としたが、当面は製剤デバイスへの再利用の考えはないとした。
同社は、日本では社用車の環境負荷低減策も進めている。22年には、試験運用として営業車にバッテリー式電気自動車を導入。25年までに全ての社用車を電気自動車またはプラグインハイブリッド車に変更し、26年までに全営業車をハイブリッドタイプ車に変更するとしている。
見送りは供給上の問題~「ウゴービ」薬価収載
一方、マイルヴァン氏は3月に承認を取得した肥満症治療薬「ウゴービ皮下注」(一般名:セマグルチド遺伝子組み換え)の5月の薬価収載を見送ったことについて、「需要が今までにないほどで、供給が追い付かない」とし、安定供給上の問題であると説明した。
日本での販売開始については、既に販売もしくは準備中の欧米の後になるとしたが、販売開始予定時期は明かさず「遠い先ではない」と述べた。
マイルヴァン氏は「生産の増加に向けた努力をしているが、需要が過少に評価されていた」とも話し、肥満傾向の違いなど日本の事情によるものではないとした。薬価収載を申請しているかは開示しなかった。
肥満症は同社の重点領域で、今年の目玉事業に同剤の上市を挙げている。1月に「肥満症事業本部」を新設しており、事業を本格化している。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
ノボノルディスクファーマ日本法人のマイルヴァン社長が、使用済みインスリンペン型注入器を薬局を通じて回収する「テイクバックプログラム」を2023年末までに日本でもスタートする方針を明かしました。同プログラムは、環境負荷低減対策のためグローバルで展開しているもので、製造ラインから出たプラスチック端材の90%以上を製品以外に再利用しています。