医療

節薬バッグから医薬連携~北海道科学大・水谷氏ら、薬剤師の行動変容示す

薬+読 編集部からのコメント

北海道科学大学薬学部薬学科の水谷怜子講師らが実施した調査によりますと、北海道薬剤師会が実施する「節薬バッグ運動(残薬を薬局に持参)」をきっかけに、参加者の75%は薬局と医療機関で服薬情報を共有する医薬連携につながっていることが判明しました。節薬バッグ運動は「残薬の回収額」が成果とされてきましたが、道薬では「薬剤師の残薬確認業務から医薬連携につながっている。薬剤師の行動変容が起きていることを示した点で意義が大きい」と評価しています。

残薬を薬局に持参してもらう北海道薬剤師会の「節薬バッグ運動」をきっかけに、参加者の75%は薬局と医療機関で服薬情報を共有する医薬連携につながっていることが、北海道科学大学薬学部薬学科の水谷怜子講師らが実施した調査で明らかになった。重複投薬相互作用等防止加算の算定は50%以上、書面による情報提供は26.8%が実施していた。これまでの節薬バッグ運動は、残薬の回収額が成果とされていたが、道薬は「薬剤師の残薬確認業務から医薬連携につながっている。薬剤師の行動変容が起きていることを示した点で意義が大きい」と評価している。

 

節薬バッグ運動は、残薬を持参した患者に対する服薬アドヒアランス改善や医療資源の効率化を目的に全国で実施されているが、節薬バッグ運動が医薬・薬薬連携コミュニケーションに寄与しているかを検証した研究は報告されていない。

 

そこで水谷氏らは、節薬バッグ事業内で収集した薬学的管理の項目に着目し、同事業の医薬連携に対する貢献性について分析・検証を行った。道薬が2019、20年に実施した節薬バッグ運動に参加した863人の患者を対象に薬学的管理実施項目の有無を調査した結果、疑義照会を行っていたのは58.5%と半数以上に上った。重複投薬相互作用等防止加算の算定は57.7%と多く、書面による情報提供は26.8%に上った。

 

患者当たりの薬学的管理関連項目の実施重複を調べたところ、最も多かったのは疑義照会と重複投薬相互作用等防止加算の組み合わせとなった。薬局からの問い合わせによって、医療機関が処方変更に応じた件数が多かったことがうかがえる結果となった。

 

疑義照会の実施では、高脂血症用剤の残薬のある患者に多く見られ、高脂血症用剤のアドヒアランス状況が好ましくないことが考えられた。また、重複投薬相互作用等防止加算の実施では、「服用剤数の多い患者」「残薬種数の少ない患者」「血管拡張剤・高脂血症用剤の残薬のある患者」などが算定の因子となっていた。

 

水谷氏は「薬剤師による残薬確認業務は、医薬連携に非常に寄与していることが明らかになった。患者当たりの医療機関数が少ない北海道は、残薬確認業務を通した医薬連携モデル地域としても有用ではないか」と期待する。

 

一方、道薬の山田武志副会長は、「節薬バッグを通じて、薬剤師の行動変容が起きていることが明らかになった意義は大きく、会員に対しても節薬バックを足かがりに対人業務に踏み出してもらえるよう取り組んでいきたい」と話している。

 

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出典:薬事日報

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