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ユーロタロント計画見直し~第III相で主要項目未達【住友ファーマ】

薬+読 編集部からのコメント

住友ファーマは2021年9月に大塚製薬と同剤の共同開発、販売に関するライセンス契約を締結していた抗精神病薬「ユーロタロント」について、急性期の統合失調症患者を対象とした第III相試験で主要評価項目を達成しなかったと発表(7月31日)。大塚製薬と詳細なデータを解析し、追加試験を実施するなど、今後の開発方針を決定します。

住友ファーマは7月31日、開発中の抗精神病薬「ユーロタロント」について、急性期の統合失調症患者を対象とした第III相試験で主要評価項目を達成しなかったと発表した。共同開発先の大塚製薬と詳細なデータを解析し、追加試験を実施するなど、今後の開発方針を決める。

 

同日開いた2024年3月期第1四半期決算説明会で野村博社長は、今回の結果を受けた対応について「現時点では今後のデータの解析と新しい方針の決定を待つとしか言えない」と語った。

 

患者約400人台の規模で実施した二つの第III相試験で、同剤投与群とプラセボ投与群の間で有意な差は認められなかった。同社は高いプラセボ効果が同剤の治療効果をマスクした可能性があるとしている。

 

臨床試験では、統合失調症の精神状態を把握する評価尺度を用い、投与6週間後のベースラインからの変化量を主要評価項目に設定した。ベースラインからの変化量について、一つの試験では同剤の50mg投与群がマイナス16.9、75mg投与群がマイナス19.6と数値の減少を示したものの、同様にプラセボ投与群もマイナス19.3となった。もう一つの試験でも同剤の75mg投与群がマイナス16.4、100mg投与群がマイナス18.1と数値の減少を示したが、プラセボ投与群もマイナス14.3となった。

 

プラセボ投与群で大幅な数値の減少が見られた要因は不明。新型コロナウイルス感染症流行前後の登録患者で数値の減少幅が大きく異なるため、コロナの影響も考えられるが、今後詳細なデータ解析を進め、データの解釈等も含めて米国食品医薬品局(FDA)とも協議を行う予定。

 

同社は21年9月に大塚製薬と同剤の共同開発、販売に関するライセンス契約を締結。統合失調症を対象に24年度に米国、27年度に日本で上市する目標で共同で開発を進めてきた。このほか、大うつ病補助療法、全般不安症を対象に開発を検討中。全ての適応症を合わせて、ラツーダを超えるブロックバスター級の売上を見込んでいたが、将来の見通しが不透明になった。

 

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出典:薬事日報

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