薬剤師会

薬剤師介入の有用性検証~高血圧治療アプリ使用で 京都府薬剤師会

薬+読 編集部からのコメント

京都府薬剤師会が、医師が処方した治療用アプリの活用等に薬局薬剤師が介入することの有用性を検証する事業をスタートしました。アプリを処方された1人の患者に対し、約1カ月間にわたって薬剤師による介入状況を検証。アプリ導入時に薬局で患者からアンケートを取り、使用開始から1週間目に薬剤師が電話等で支援するほか、1カ月目までは患者の求めに応じて薬剤師がアプリに関するトータルな支援を行います。

京都府薬剤師会は、医師が処方した治療用アプリの活用等に薬局薬剤師が介入することの有用性を検証する事業をスタートさせた。厚生労働省の「ICTの進展等を踏まえた薬局機能の高度化推進事業」を京都府が受託し、DTxに臨む患者への薬局支援の有用性検証事業として委託されたもの。京都府薬の河上英治会長(写真中央)は、「医師がアプリを処方した後、インストールや関連するトラブルなどの相談を薬局薬剤師が対応することで、有用性を検証したい」と話す。

同事業では、昨年9月に保険適用されたキュアアップの高血圧治療補助アプリを医師から処方された患者に対して、薬局薬剤師が設定や使用方法などの説明を行うほか、治療中に発生したアプリに対する不安点について対応。薬剤師は医師と連携してアプリによる治療継続を支援する。

 

渡邊大記副会長(写真㊨)は、「何よりも大切なのはフォローアップしている薬剤師と医師が連携すること。それにより、医師の一定の負担軽減や患者さんの適正使用などにつながるのではないか」と意義を語る。

 

同事業でフォローする患者目標数は20人を計画している。渡邊氏は「アプリを取り扱っている医師の中にも処方未経験者が多かった。逆に、処方前に薬局で血圧が高めなままの未受診患者さんに受診勧奨を行えるのではないか」と薬局の関与に期待する。

 

具体的には、アプリを処方された1人の患者に対して、約1カ月間にわたって薬剤師による介入状況を検証する。アプリの導入時に薬局で患者へのアンケートを実施し、使用開始から1週間目に薬剤師が電話等で支援するほか、1カ月目までは患者の求めに応じて薬剤師がアプリに関するトータルな支援を行う。

 

また、次回受診後、再び薬局で1カ月間のアプリ使用に関する患者アンケートを記入してもらう。そこで得られたデータを来年1月下旬から2月にかけて解析し、今年度内に報告書としてまとめる予定。

 

現在、京都府下ではキュアアップの高血圧治療補助アプリの取り扱い医療機関は50軒ほど。医療機関への事前アンケートでは、事業に「協力」「説明を聞いてから協力」との回答を得たのは16医療機関だった。参画薬局は、これら医療機関と連携してアプリを処方された患者に対応でき、京都府薬が作成した同アプリに関する研修動画の視聴を条件としている。

 

アプリの使用期間は6カ月間のため、アンケートの終了後も医師と連携して薬局で患者をフォローし、独自に効果を検証していく。

 

同事業で得られたデータの解析を担当する赤池昭紀氏(京都大学名誉教授=写真㊧)は、「デジタルセラピューティクスに薬剤師が関わった際、どのくらいの時間が必要か、また患者対応の頻度などについて検証したエビデンスはなく、世界初の取り組みと言える。まずはアプリ履歴の形で実際に行った内容を記録・集計し、薬剤師の労力などのエビデンスを積み上げることが重要な目的になる」と話している。

🔽薬局薬剤師の仕事について詳しく解説した記事はこちら

  • 薬剤師のための休日転職相談会
  • 薬剤師の転職・求人・募集はマイナビ薬剤師/5年連続満足度NO.1

<完全無料>転職やキャリアのご相談はマイナビ薬剤師へ

出典:薬事日報

ページトップへ