医療

【大阪府北部エリア】共通プロトコル運用拡大~参加は19病院、480薬局に

薬+読 編集部からのコメント

薬局薬剤師が医師にその都度問い合わせをしなくても、事前の合意に基づいて院外処方箋の変更調剤を可能とする共通プロトコルの運用が、大阪府北部エリアで広がっています。2022年6月から運用がスタートし、現在の参加病院は19施設、参加薬局数は約480軒。参加病院数は順調に増えており、大きな問題も発生していないと言います。

大阪府北部エリアで、薬局薬剤師が医師にその都度問い合わせを行わなくても、事前の合意に基づき院外処方箋の変更調剤を可能とする共通プロトコルの運用が広がっている。昨年6月から運用が始まり、現在の参加病院は19施設、参加薬局数は約480軒に達した。参加病院数は順調に増えており、大きな問題も発生していない。同エリアの基幹病院と薬剤師会等で構成される協議会は、さらなる拡大に向けてエリア内の病院に参加を働きかける計画だ。

対象地域は、大阪府の北部に位置する豊能、三島の2次医療圏。19病院の所在地別内訳は高槻市2、茨木市3、吹田市11、摂津市1、箕面市1、池田市1で、吹田市を中心にエリア全域に広がっている。

 

昨年6月以降、各病院で順次運用を開始した。昨年運用を始めたのは、大阪大学病院、国立循環器病研究センター、市立吹田市民病院、市立池田病院、高槻赤十字病院、箕面市立病院など15施設で、今年に入ってから吹田徳洲会病院など4施設が参加した。

 

参加薬局数の所在地別内訳は、高槻市148、茨木市81、吹田市117、摂津市29、箕面市60、池田市46で、合計約480軒。豊能、三島の2次医療圏の薬局数は約820軒で、半数強が運用に加わる。

 

2021年3月に豊能・三島地区薬薬連携協議会が発足し、6市の基幹病院と薬剤師会の関係者ら十数人がメンバーとなって、同地区で共通運用できるプロトコルを策定した。成分名が同一の銘柄変更や内服薬の剤形変更、アドヒアランス改善を目的とした一包化、残薬を考慮した投与日数調整、週1回投与製剤の連日投与指示の適正化など6項目で、事前の合意に基づき変更調剤を行える。

 

運用を始める病院は、同協議会に参画する6市の薬剤師会(池田、茨木、吹田、摂津、高槻、箕面)のうち同じ地域にある薬剤師会と合意書を締結する。同時に協議会の他の5市薬剤師会とも合意したことになる仕組みで広域運用しやすい。

 

薬局の参加にはハードルを設けた。薬局薬剤師は変更調剤を行った場合、統一された印鑑を処方箋に押印し、適用したプロトコルの項目番号を記入。その内容を記載した報告書を病院薬剤部にFAXで送信する。印鑑には薬局ごとに管理番号を割り振り、プロトコルの乱用を防ぐ仕組みにした。内容や運用方法を理解した会員薬局に各薬剤師会から印鑑が配布され、参加が認められる。

 

運用開始から約1年半が経過した。同協議会代表の奥田真弘氏(写真=大阪大学病院教授・薬剤部長)は「参加施設は順調に広がっている。トラブルなども特にない。豊能、三島の2次医療圏には病院が83施設あり、啓蒙して広げていきたい」と語る。

 

大阪大学病院では、共通プロトコルの運用で疑義照会を含む問い合わせ総数のうち、15%前後を削減できた。昨年5月からは、薬局薬剤師の問い合わせを中継する病院薬剤師が、医師へ毎回問い合わせることなく返答できる院内プロトコルの運用も開始した。相乗効果で医師に届く問い合わせの件数は減っている。

 

今後は同協議会未参加の豊中市関係者との討議が課題だ。豊中市では先行して基幹病院と薬剤師会が共通プロトコルを運用しており、統合の可能性に向け話し合いを進めたい考え。

 

1月に発足し、大阪市天王寺区と北区、東住吉区の基幹病院や診療所、薬局が共通プロトコルを運用する「大阪病診薬連携アライアンス」と歩調を合わせることも視野にある。奥田氏は「将来的には共有化を目指したいと話しているが、具体的な協議は始まっていない。それぞれ異なる運営母体や運営方法の統一は別にして、ひとまずプロトコルの内容を摺り合わせるのはあり得る」と話している。

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出典:薬事日報

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