「単なる点数改定ではない」~日本経済大・赤瀬教授、次期診療報酬改定を予測
日本経済大学経営学部・大学院の赤瀬朋秀教授(写真)は3日、つくば市内で開かれた第34回茨城県薬剤師学術大会で講演し、山場を迎えつつある2024年度診療報酬改定を予測。今回の改定について「医療計画との整合や入院・外来機能の分化、働き方改革が入ってきており、単なる点数の改定ではない。その後の医療の姿を大きく変えていく可能性がある」との見方を示した。
赤瀬氏は、社会保障審議会医療保険部会、医療部会に示された24年度診療報酬改定基本方針の骨子案から次期改定を読み解いた。
中でも「人生の最終段階における医療・ケアを充実させるための取組を推進する」との記載に着目。「ACP(人生会議)を入れてきた。在宅医療と終末期医療を組み合わせると、在宅で看取ることが重要になり、薬局の介入が絶対に必要になる」と述べ、ターミナルケアで薬局による介入を評価していくと予測した。病院薬剤師の評価や医薬品の安定供給についても「何かテコ入れしていくのではないか」と述べた。
骨子案で重点課題とされた「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」の記載については「過去3回は『制度』だったのが、『医療保険制度』に変わっている。特に社会保障制度の中で医療のテコ入れを行うという意味になるのではないか」と解説。重複投薬やポリファーマシー、残薬、リフィル処方箋など「調剤報酬だけではなく、診療報酬で薬剤師に関係する言葉ばかり書かれている。ぜひ参考にすべき」と呼びかけた。
また、医療保険制度の安定性・持続可能性向上を実現するための対応策として、重複投薬、ポリファーマシー、残薬、適正使用のための長期処方のあり方の対応、リフィル処方箋の後に「等」がついていることにも着目。
「『等』が何を意味するのか。記載の下に、『医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方も推進』という記述もあるため、医薬品の選択による医療費の適正化まで踏み込むべきではないか」と薬局の行動を促した。薬剤師が介入し、医療費適正化のエビデンスを示すことで、「調剤報酬改定でもかなり有利な状況になるのではないか」と述べた。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2024年度診療報酬改定は「医療計画との整合や入院・外来機能の分化、働き方改革が入ってきており、単なる点数の改定ではない。その後の医療の姿を大きく変えていく可能性がある」との見方を、日本経済大学経営学部・大学院の赤瀬朋秀教授が示しました。