26年4月に大学院開設へ~医学部と連携で創薬も注力 順天堂大学薬学部
順天堂大学は、4月に千葉県浦安市の日の出キャンパスに薬学部を開学し、2026年4月には大学院薬学研究科を開設する計画だ。現在の薬剤師卒後教育プログラムを拡充する形で現役薬剤師など社会人を対象とした大学院としてスタートし、博士号を取得した臨床実践能力の高いスペシャリスト薬剤師や薬学部教員を育成することを目指す。また、昨年に医学研究科内に設立した健康創薬先端リサーチセンターを拠点に、医学部と連携した日本発創薬の実現に向けた薬学研究も本格化させる。
薬学部長に就任予定の薬学部開設準備室の岩渕和久氏(写真㊧)は、本紙の取材に対し、「教員は基礎から臨床まで薬学の各分野のトップランナーを揃えた。薬学部に加えて早期に大学院を設置することにより、臨床に根ざした薬剤師教育と薬学研究を進めていきたい」と意欲を示す。
順大は4月から、8番目の学部として6年制薬学部薬学科(定員180人)を開学する。25年春には日の出キャンパスに薬用植物園を含めた薬学部のための教育・研究施設が完成する見通しとなっている。
既に総合型選抜や学校推薦型選抜の入試を終え、2月には一般選抜入試がスタートする。岩渕氏は「総合型選抜や学校推薦型選抜では、優秀な学生が志願してくれた。臨床に強い、臨床の実習と教育が一体化している本学の特徴を見てもらえたのではないか」と手応えを語る。
薬学部専任教員の平均年齢は44歳、教授を除くと41歳と若く、基礎から臨床まで臨床で豊富な経験を持つ薬剤師の資格を持つ教員、幅広い分野で先端的な研究を行う教員を揃えた。
臨床実践能力の高い薬剤師を養成するため、1年次から健康総合大学としての強みを生かし、医学部や医療看護学部などとの多職種連携教育を展開していく方針だ。
4年次から開始する病院実務実習は、医学部のカリキュラムをもとに薬学部とも連携したカリキュラムで実施する。
現在、先進医療や救急医療、高齢者医療、精神医療、癌治療など高度先進医療を提供している順天堂大学医学部附属6病院を活用した薬剤師教育の仕組みづくりを急いでいる。
今後、学生にチーム医療や臨床現場を経験させるための準備を2年間で整備し、26年4月には大学院薬学研究科を開設する計画である。
岩渕氏は「シームレスに卒後教育に移れるよう予め受け皿を用意したい。社会人を含め臨床薬剤師を目指してスキルを上げたい人に大学院に入っていただき、博士号を取得して教員やスペシャリストを目指していくコースを作る」と狙いを語る。
臨床を理解している創薬研究者の育成も大学院設置の大きな目的の一つだ。約20億円を投じ、研究基盤センターと疾患モデルセンターを日の出キャンパス内の薬学部研究棟に整備中である。
大学院では、医学研究科と連携した創薬研究を進める。浦安地区にある医学研究科・環境医学研究所内に健康創薬先端リサーチセンターを設立し、岩渕氏は副センター長を務める。また、日の出キャンパスに近い浦安病院とも連携を進めていく。
岩渕氏は、「日本発創薬を目指せる薬学部にすることが薬学部設立の使命の一つだ。医学研究科と連携した創薬研究に軸足を置いた大学院教育を展開することで、日本発創薬を目指したい」と強調する。
一方、25年度入試から薬学部がない県の学生を対象に地域枠を創設する計画だ。
亀井淳三特任教授(写真㊨)は、「薬学部の社会的評価を考えると、国家試験合格率を上げるのも当然だが、地域貢献に対する考え方も必要になる。地域枠入試については数県には話をしており、一部の県では具体的に動き出している」と話す。
千葉県薬剤師会と連携し、地域医療薬学の講義カリキュラムや実務実習における協力体制の構築も進めており、今後は地域連携医療の教育も推進していく考えだ。
🔽 薬学部の学費について解説した記事はこちら
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
順天堂大学は、2024年4月より千葉県浦安市の日の出キャンパスに6年制薬学部薬学科(定員180名)を開学。2年後の2026年4月には大学院薬学研究科を開設する計画です。現在の薬剤師卒後教育プログラムを拡充する形で、現役薬剤師など社会人を対象とした大学院としてスタートし、博士号を取得した臨床実践能力の高いスペシャリスト薬剤師や、薬学部教員の育成を目指します。