医療

厚労省・太田薬事企画官「登録販売者の活躍カギに」~OTC薬販売制度改正で

薬+読 編集部からのコメント

2024年1月に公表された医薬品の販売制度に関する検討会の取りまとめの実現に向け、厚労省医薬局総務課の太田薬事企画官は「登録販売者の手腕にかかっている」と述べ、登録販売者が関与してのセルフケア・セルフメディケーションの推進に期待感を示しました。一般用医薬品の販売区分を3区分から2区分へと見直す改正案では、購入者への情報提供で登録販売者の関与を明確化する方向です。

厚生労働省医薬局総務課の太田美紀薬事企画官(写真)は、本紙の取材に応じ、1月に公表された医薬品の販売制度に関する検討会の取りまとめの実現に向けては「登録販売者の手腕にかかっている」と述べ、登録販売者が関与してのセルフケア・セルフメディケーションの推進に期待感を示した。一般用医薬品の販売区分を「薬剤師のみが販売」「薬剤師・登録販売者が販売」の2区分に見直す改正案では、購入者への情報提供で登録販売者の関与を明確化する方向だ。太田氏は「国民の認識として、一般薬の購入時に資格者に相談をする必要がないと考えるようになっている。資格者に相談しようと思えるよう認識を変えていかなければならない」と訴える。

 経営者側も意識変革を

現行の販売区分は、第1類が薬剤師、第2類・第3類が薬剤師か登録販売者が販売する制度となっている。現行制度で「努力義務」とされている第2類薬の情報提供をめぐっては、薬剤師や登録販売者から情報提供が十分に実施されていないとの実態があり、改正案では販売区分を3区分から2区分に見直す。

 

また改正案では、一般薬販売における薬剤師と登録販売者の関与のあり方を明確化する方向だ。情報提供に関して、「薬剤師が販売できる医薬品」については引き続き義務とする一方、第2類・第3類を集約した「薬剤師または登録販売者が販売できる医薬品」を努力義務とすると、実効性が担保できないことが考えられるため、薬剤師や登録販売者が情報提供を行う際には必要に応じて実施することを明確化する。

 

太田氏は「薬剤師や登録販売者による関与を明確化することが重要」と述べた上で、「今の販売制度がそもそも現場で守られているのかという問題認識が出発点にある。専門家の関与が必要ないものは医薬部外品に移行し、医薬品は資格者がしっかりと販売を担うことで、資格者がやらなければならないことの実効性や関与を明確にしたかった」と説明する。

 

さらに、「今回の改正は登録販売者の活躍にかかっている改正になる。登録販売者ができた意味を改めて考えてもらうきっかけになると考えている」と述べ、累計で40万人を突破した登録販売者の職能発揮に期待する。

 

取りまとめでは、登録販売者が薬の専門家として社会からより認知してもらうために、医薬品医療機器等法上の名称を登録販売者から医薬品登録販売者に変更するよう提言された。

 

太田氏は、薬剤師や登録販売者が一般薬の販売にしっかりと関与することで、「一般薬について資格者に相談する必要がないと考える国民の認識を変える必要がある」との考えを示す。

 

その上で、登録販売者から医薬品購入者への情報提供の質向上がセルフメディケーションの推進に重要な要素とし、「単なる情報提供であれば、国民から薬剤師や登録販売者の必要性を感じてもらえないが、患者や購入者への関わり方次第では、自分たちのためになると感じてくれるはず」と訴える。

 

質の高い情報提供には登録販売者の資質向上が不可欠となるため、経営者側に対しては、登録販売者が薬の専門家として医薬品販売に関与するための取り組みを促す。検討会でも構成員から「ドラッグストアでは登録販売者がレジ係になっている」との指摘もあり、人材育成が重要な課題だ。

 

太田氏は、「薬剤師と登録販売者の資格者に対して、頑張ってほしいとのメッセージを出した。資格者がしっかり医薬品販売に関与することで、店舗販売業が存在すると思うので、薬局やドラッグストアの経営者にも同じメッセージを伝えたい」と意識変革を呼びかけた。

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出典:薬事日報

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