地域に情報周知で具体例~24年度改定の疑義解釈 厚生労働省
厚生労働省は3月28日付の事務連絡で、2024年度診療報酬改定に関する疑義解釈を示した。地域支援体制加算、連携強化加算、在宅薬学総合体制加算の施設基準で、「地域の行政機関または薬剤師会等を通じて各加算の要件に示す情報を周知する」とされたが、事務連絡では周知すべき情報の具体例を示した。
地域支援体制加算では、休日・夜間を含む開局時間外であっても調剤・在宅業務に対応できる体制に関する情報を周知するよう求め、具体的には「休日・夜間に対応できる薬局の名称」「所在地」「対応できる日時(開局日、開局時間)」「連絡先等(地域ごとに、輪番制の対応も含め、具体的な日付における休日、夜間対応できる薬局の情報を示すこと)」とした。
連携強化加算では、災害や新興感染症で対応可能な体制にかかる情報を周知するよう求める。改正感染症法に基づく第2種協定指定医療機関としての指定にかかる情報やオンライン服薬指導の可否、要指導医薬品・一般用医薬品と検査キットの取り扱いにかかる情報を収集・整理するとした。
在宅薬学総合体制加算は、患者の急変時等の開局時間外における在宅業務に対応できる体制に関する情報を周知すべきとした。具体的な項目としては、「開局時間外の在宅業務への対応の可否(対応可能な時間帯を含む)」「医療用麻薬(注射薬を含む)の取り扱いにかかる情報」「高度管理医療機器の取り扱いの可否」「無菌製剤処理の対応の可否(自局での対応の可否を含む)」「小児在宅(医療的ケア児等)の対応の可否」などとした。
既にこうした情報を地域で整理し、ホームページで公表しているものの、各加算で周知が求められる項目の一部が対応していない場合には、当面の間は対応できていない情報を追加的にまとめた一覧を公表するなどの対応で補完しても差し支えないとした。薬局機能情報提供制度による情報に含まれる情報の提供で周知を行ったものとするのは「不可」とした。
地域支援体制加算、輪番「年1回」不可
地域支援体制加算の施設基準では、地域における休日・夜間対応で輪番制で参加している場合も要件を満たすとしたが、例えば年に1回当番として輪番に参加する場合は「満たさない」とした。
休日・夜間対応の具体的な頻度は「地域の実情に応じて判断すべきもの」とした一方、形式的に輪番に参加している程度の頻度ではなく、地域において輪番制が十分に機能するよう定期的に休日・夜間の対応を行うことが必要としている。
緊急避妊薬の備蓄、相談や調剤応需体制の整備については、届出に当たって必要とする人が来局した際に直ちに対応できる体制を常に整備しておけば、調剤の実績は「不要」とした。
オンライン診療に対応した緊急避妊薬の調剤が行えるよう各都道府県薬剤師会が開催する研修を受講しておくことが望ましいとの見解を示した。
また、緊急避妊薬は単に備蓄していれば要件を満たすものではなく、利用者への相談体制の整備や、地域における相談窓口等を把握しておくことが必要としている。
無菌室共同利用「不可」‐在宅体制加算2で見解
在宅薬学総合体制加算2の施設基準で無菌製剤処理にかかる「無菌室、クリーンベンチまたは安全キャビネットを備えていること」の要件は、自局で必要な体制を整備していることが必要とした。他薬局の施設を共同利用することが確保されている場合は要件を満たさない。
無菌調剤室・安全キャビネット・クリーンベンチ等の設備を保有していても、速やかに調剤できる状態でなければ要件を満たしていると考えることはできないとしている。
調剤後薬剤管理指導料で心疾患の入院歴があり、作用機序が異なる複数治療薬の処方を受けている慢性心不全患者に、新たに糖尿病用剤が処方された場合、それぞれの疾患に必要な薬学的管理指導等を行った場合に要件を満たしていれば調剤後薬剤管理指導料「1」と「2」を同一月に算定するのは可とした。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚生労働省は、2024年度診療報酬改定に関する疑義解釈を、2024年3月28日付の事務連絡で示しました。地域支援体制加算、連携強化加算、在宅薬学総合体制加算の施設基準について、地域に周知すべき情報の具体例が示されています。