医療

24年度改定項目案「がん薬物療法体制充実加算」新設~病薬の地域研修実施も評価 厚生労働省

薬+読 編集部からのコメント

厚労省は、2024年度診療報酬改定に関する個別項目の改定案を中央社会保険医療協議会総会に提示しました。病院薬剤師関連では「がん薬物療法体制充実加算」「薬剤業務向上加算」を新設。地域におけるかかりつけ機能に応じて薬局を適切に評価する観点から、地域支援体制加算の要件・評価も見直される方針です。

厚生労働省は26日、中央社会保険医療協議会総会に、2024年度診療報酬改定に関する個別項目の改定案を示した。病院薬剤師関係では、地域医療の研修体制が整備された医療機関の病棟薬剤業務を病棟薬剤業務実施加算1に上乗せして評価すると共に、癌の外来化学療法では医師の診察前に薬剤師が患者と面談し、服薬状況や副作用情報を聞き取る「薬剤師外来」を外来腫瘍化学療法診療料の新たな評価として新設する。一方、敷地内薬局の調剤基本料については「特別調剤基本料A」「同B」の2区分を設け、施設基準の届出を行っていない敷地内薬局には基本料や薬剤管理料の諸加算の算定を不可とするなど厳しく対応する方針だ。

病棟薬剤業務に関しては、薬剤師の養成強化による業務向上を図る。病棟薬剤業務実施加算1に「薬剤業務向上加算」を新設。

 

薬剤業務向上加算の施設基準は、▽免許取得直後の薬剤師を対象とした病棟業務等にかかる総合的な研修が実施されている▽都道府県との協力のもとで、医療機関の薬剤師が一定期間、別の医療機関に勤務して地域医療にかかる業務を実践的に修得する体制を整備している――こととした。

 

算定要件は、施設基準に適合した医療機関に入院している患者で、病棟薬剤業務実施加算1を算定しているものに関して、薬剤業務向上加算として週一定の実施回数に限り所定点数に加算する。

 

外来腫瘍化学療法診療料については、薬剤師外来に関する新たな評価として「がん薬物療法体制充実加算」を新設する。化学療法を実施している患者の薬学的管理を行う必要な体制が整備されている施設で、外来腫瘍化学療法診療料1の算定患者に対し、医師の指示に基づき薬剤師が服薬状況、副作用等の情報収集・評価を行い、診察前に情報提供や処方提案等を行った場合は、月1回に限り所定点数に加算する。

 

特別調剤基本料2区分‐敷地内薬局の対応強化

 

調剤報酬では、損益率の状況等を踏まえ、特定の医療機関からの処方箋受付が集中し、処方箋受付回数が多い薬局等の評価を見直す。

 

調剤基本料2の施設基準を「1カ月における処方箋の受付回数が4000回を超え、特定の医療機関にかかる処方箋による調剤割合が7割」から「1カ月の処方箋の受付回数が多い上位医療機関の処方箋の調剤割合が7割」とし、調剤基本料1の算定ハードルを上げる方向だ。

 

敷地内薬局は、厚労省からグループ薬局の基本料を一律に引き下げる案が示されていたが、改定案では盛り込まれなかった。特別調剤基本料AとBの区分を設け、評価を見直す。

 

敷地内薬局を対象とする特別調剤基本料Aは、調剤基本料の施設基準の届出を求め、届出を行っていない薬局には特別調剤基本料Bの算定区分を適用すると共に、調剤基本料の諸加算や薬学管理料の加算算定を不可とする。

 

地域支援体制加算は、地域におけるかかりつけ機能に応じて薬局を適切に評価する観点から、要件・評価の見直しを行う。地域支援体制加算1は、調剤基本料1を算定している薬局で地域医療への貢献に十分な実績として、新たに設定した10の要件のうち3項目以上を満たす必要があるとした。

 

10の要件のうち、「かかりつけ薬剤師指導料・かかりつけ薬剤師包括管理料の算定回数の合計が20回以上であること」は必須要件とし、残りの「服薬情報等提供料の算定回数が30回以上」「薬剤調製料の麻薬を調剤した場合に加算される点数の算定回数が1回以上であること」などの要件のうち、2項目以上満たさなければならないとした。

 

夜間・休日対応については、輪番制等の周囲の薬局と連携した体制でも引き続き可能とする。

 

「在宅薬学総合体制加算」‐無菌処理体制など評価

 

また、多様な在宅ニーズに対応した薬局の高度な薬学的管理にかかる体制評価の見直しに向け、調剤基本料で麻薬の備蓄や無菌製剤処理の体制、小児在宅医療の対応等の在宅訪問を十分行うための体制整備や実績に基づく薬局を評価するため、「在宅薬学総合体制加算1」「同2」を新設する。

 

在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料等を算定している患者などが提出する処方箋を受け付け、調剤した場合に算定できる。

 

在宅医療における薬学的管理にかかる評価も新設。退院直後など、計画的に実施する訪問薬剤管理指導の前段階で患者宅を訪問し、多職種と連携して今後の訪問薬剤管理指導のための服薬状況の確認や、薬剤管理など必要な指導等を実施した場合の在宅移行初期管理料を新設する。

 

薬学管理料では、薬局と医療・介護に関わる多職種との連携を推進するため、薬剤師が行う服薬情報等の提供にかかる現行の評価体系を改正する。「服薬情報提供料2」では、「医療機関に必要な情報を文書により提供した場合」「リフィル処方箋に基づく調剤後、処方医に必要な情報を文書により提供した場合」などを追加し、薬剤師が必要性を認めて行う情報提供の評価を見直す。

 

かかりつけ薬剤師指導料の24時間対応にかかる要件については、休日・夜間等のやむを得ない場合は薬局単位での対応でも可能となるよう薬剤師の勤務状況や患者への対応実態に合わせて見直す。

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出典:薬事日報

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