薬剤師会

薬局間で調剤実績情報共有~日本初、薬の小分けに活用 八戸薬剤師会

薬+読 編集部からのコメント

八戸薬剤師会が、2024年7月から日本初となる調剤実績情報共有サービス「LINCLEはちのへ」を開始。自薬局に在庫のない医薬品の処方箋を受けた時に、近隣薬局の調剤実績から融通してもらえる可能性の高い薬局を検索し、問い合わせることができます。

青森県の八戸薬剤師会は、薬局会員間の医薬品融通に向け、7月から日本で初めて調剤実績情報共有サービスを開始する。メディカルシステムネットワークが開発・提供する調剤薬局向け在庫管理システム「LINCLE」の技術を活用し、医薬品の供給不足で他薬局に融通を依頼する時に、その都度電話しなくても同システムを活用することで、簡単に小分け調達可能な薬局を見つけ出し、患者に必要な医薬品を提供するのが狙い。会員薬局の互助により医薬品供給の安定化を図ると共に、土曜・休日や夜間などに起こる医薬品卸の急配も減らしたい考えだ。

 

八戸薬剤師会は、八戸管内では150薬局中149薬局(99.3%)、圏域外でも11薬局が入会し、組織率は計107%を誇る。チェーン薬局も41薬局と全体の28%を占めている。

 

高い組織率を基盤に開始するのが、調剤実績情報共有サービス「LINCLEはちのへ」だ。これまで医薬品卸の納入情報を薬局間で共有するサービスはあったが、調剤実績情報を共有する地域としては日本で初めてとなる。同サービスに賛同した薬局を募集・登録し、7月にもシステム導入が完了した薬局からサービスの提供を開始する。

 

「LINCLEはちのへ」を活用することで、各薬局間で相互に調剤実績のある医薬品を確認し合うことが可能となる。自薬局に在庫のない医薬品の処方箋を受けた時に、近隣薬局の調剤実績から融通してもらえる可能性の高い薬局を検索し、問い合わせすることができる。

 

薬品名や一般名等の条件で対象の医薬品を検索すると、「薬局名」「対象薬品」「最終調剤からの期間」といった必要最小限の調剤情報から他薬局の調剤実績が参照でき、小分けしてもらえる可能性の高い薬局を探すことができる。

 

その後、小分けが可能と思われる薬局に同システムから出力した注文書でFAXを送信。小分けの可否について返信をもらい、可能な場合はその薬局を訪問して薬を小分けしてもらう流れだ。

 

八戸薬剤師会が薬局会員向けのサービスとして費用負担するため、会員は無料でサービスを利用できる。

 

これまでは、電話などで近隣の他薬局に医薬品が融通できるかを確認して小分け調達していたが、最近では不足する医薬品の調達が難しい場合が多くなっている。その結果、患者の待ち時間が増え、即時に医薬品を受け取れずに渡せないケースもあった。

 

阿達昌亮会長は、「長引く医薬品供給不足の中で、必要な時に必要な医薬品を必要な人に供給するといった薬剤師の基本的な職能が脅かされている。調剤実績情報共有サービスは、地域の薬局同士が可能な範囲でお互いに助け合う互助の提案だ」と語った。

 

その上で、「サービスが有効に活用されるためにはできるだけ多くの薬局が参加し、地域を広くカバーし随時更新される鮮度の高い情報であることが不可欠」と述べ、会員薬局に参加を呼びかけている。

 

同サービスを活用することで、週末や夜間での医薬品卸の急配を減らせるとの期待もあり、サービス開始後には医薬品卸の急配回数の変化などサービスの有用性を検証していく。

 

医療用麻薬の休日夜間における分譲、高額医薬品など不動在庫がある場合の他薬局への購入依頼、災害時の医薬品供給にも活用を広げていく構想もあり、全国に先駆けて成功事例を作り出し、他地域の参考にしてもらいたい考えだ。

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出典:薬事日報

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