約8割が薬局で服用希望~緊急避妊薬販売に満足感 日本薬剤師会
日本薬剤師会は10日、緊急避妊薬のOTC化に向けた環境整備のための調査事業報告書をまとめた。購入者への事後アンケートでは、緊急避妊薬の服用が必要になった場合に約8割が「医師の診察を受けずに薬局で薬剤師の面談を受けてから服用したい」と回答。購入・服用した人の多くが満足している状況が分かった。一方、緊急避妊薬を販売できない妊娠可能性のある人については、販売可否のチェックリストで「妊娠の可能性」の判断に関する項目を改善すべきとの回答が約半数に上った。薬剤師による販売可否判断を的確に実施できる仕組みが課題に浮かび上がった。
日薬が報告書
同事業は国からの委託を受け、日薬が昨年11月末から全国145の薬局で試験販売を実施したもの。昨年11月28日から今年1月31日の販売実数は2181となり、都道府県によりバラツキがあるものの、東京・神奈川では200超を販売していた。
協力薬局への来局時期と曜日について大きなバラツキは見られなかったが、来局時間は概ね9時から19時に集中しており、夜間・早朝(21時から8時まで)の来局は全体の2%程度にとどまった。
対象期間購入者の満足度調査では、面談した薬剤師の対応が「とても満足」が91.8%、「概ね満足」が6.9%と計98.7%と高かった。「説明の分かりやすさ」「プライバシーへの配慮」の満足度も「とても満足」がそれぞれ89.5%、84.8%と高い割合を占めた。
購入者のほぼ全員が薬剤師の説明を「よく理解できた」と答えた。購入後3~5週間後に行った購入者への事後アンケートでは「今後、緊急避妊薬の服用が必要になったらどうしたいか」との設問に対し、82.2%が「医師の診察を受けずに、薬局で薬剤師の面談を受けてから服用したい」と回答した。
この結果について、「協力薬局での対応は概ね適切であり、購入・服用した人の多くが満足していると考えられた」と分析している。
産婦人科医へのアンケートでも「薬局からの紹介内容が不適切と考えられたことはあったか」を聞いたところ、「なかった」が83.3%、「分からない」が16.7%で、「あった」と回答した人はいなかった。「緊急避妊薬を服用した患者が薬剤師の説明を理解したか」の設問では「そう思う」が75%となった。
7000~9000円の範囲内で各薬局で設定した販売価格については、「とても満足」が38.4%、「概ね満足」が31.8%と合計約7割が納得していたが、他の項目に比べると満足度が低い結果となった。
一方、販売可否判断に用いるチェックリストで「販売可否判断を容易にできたか」を聞いたところ、「そう思う」が35.2%、「ややそう思う」が54.5%と約9割が容易に可否判断ができたと回答した。
ただ、チェックリストで判断に迷う項目、回答しにくい項目、改善すべき項目の有無では「あった」が48.3%と約半数となり、チェックリストに改善が求められていることがうかがえた。
特に「妊娠の可能性」を判断する項目については、145薬局中63薬局が改善すべきと回答。薬剤師による可否判断が的確に実施できるよう事前質問票とチェックリストを改善すると共に、チェックリストを補足する資材等作成の必要性が指摘された。
🔽 緊急避妊薬の試験販売に関するニュースはこちら
緊急避妊薬販売2181件~協力薬局を追加へ 日本薬剤師会
緊急避妊薬、希望者多く~事業の趣旨伝達に課題も 大阪府薬剤師会
緊急避妊薬の試験販売開始~28日から、全国145薬局で 日本薬剤師会
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
緊急避妊薬のOTC化に向けた環境整備のための調査事業報告書が、日本薬剤師会によってまとめられました。購入者への事後アンケート結果については「協力薬局での対応は概ね適切であり、購入・服用した人の多くが満足していると考えられた」と分析されています。