医療

【都薬調査】OTC扱う薬局は低集中率~処方箋なし来局の環境を

薬+読 編集部からのコメント

要指導医薬品以外のOTC医薬品の取り扱い品目数が多い薬局ほど、特定の医療機関からの処方箋集中率が低い傾向にあることが、東京都薬剤師会の調査で明らかになりました。処方箋調剤に依存した薬局経営が限界を迎えつつある中、OTC医薬品や健康相談などを手段に顧客となる地域住民を獲得し、処方箋集中率を下げていく薬局の行動がますます求められそうです。

要指導医薬品以外のOTC医薬品の取り扱い品目数が多い薬局ほど特定の医療機関からの処方箋集中率が低い傾向が、東京都薬剤師会が実施した調査で明らかになった。「処方箋調剤以外で利用者が健康相談に訪れる頻度」「薬局の創業年数」と「処方箋集中率」の間にも負の相関が見られており、処方箋調剤に依存した薬局経営が限界を迎えつつある中、OTC医薬品や健康相談などを手段に顧客となる地域住民を獲得し、処方箋集中率を下げていく薬局の行動が今後の生き残りを考える上でますます求められそうだ。

 

調査は、薬局におけるOTC医薬品の取り扱い実態を把握するため、会員薬局を対象に昨年4~9月に実施したもの。回答薬局の上位3位の医療機関からの処方箋集中率は50~99%が4分の3を占めた。26日に都内で開催した薬局業務研修会で公表した。

 

薬局で取り扱っている要指導医薬品について「取り扱いなし」は50%、「1~4品目」は43%となった。要指導医薬品以外のOTC医薬品は「10品目以内」が26.7%と最も多く、「21~50品目」が23.8%、「100品目以上」が14.4%と続き、「取り扱いなし」は8.7%。医薬品以外の商品は「21~50品目」が25.7%と高かった。

 

OTC医薬品48薬効群の備蓄について「取り揃えている」は29%、「これから揃える予定」は52.5%と多くの薬局が取り揃えに前向きな意向を示した。今後のOTC取り扱い品目数について「品目拡大を検討している」が53.7%、「当面変更の予定はない」が44.3%となった。

 

処方箋集中率と要指導医薬品以外のOTC医薬品の取り扱い品目数の関係性について分析した結果、OTC医薬品の取り扱い品目が多い薬局ほど集中率が低いことが示唆された。

 

大野郁子理事は、「OTC医薬品の取り扱い品目数は薬局自身で変えることができ、処方箋の集中率を考える上で注目すべき事項である可能性が考えられる」とした。

 

その上で「取り扱い品目を増やすだけでは集中率は低くならない。取り扱い品目を増やした上で薬局・薬剤師が何らかのアクションを起こせば、集中率を低くできる可能性があるかもしれない。どの医薬品を選択し、どれくらいの品目を置くのか、地域住民とのコミュニケーションやPR、処方箋なしでも来局できる薬局作りなどが必要」と語った。

 

今後、薬局として取り扱っていきたいと思っているものを選択してもらったところ、「要指導医薬品」「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」がいずれも6割を超えた。処方箋調剤以外で利用者が健康相談に訪れる頻度で一番近いものを聞くと、「月1回以上」が39.5%、「健康相談にはほとんど来ない」が28.9%、「週1回以上」が24.4%の順となった。

 

一方、OTC医薬品を扱いづらい理由を聞くと「OTCを陳列するスペースがない」が49.2%と最多で、「経営者の指示」が31.4%、「処方箋調剤だけで十分経営が成り立つ」が26.5%、「OTCを扱った経験があるが売上が得られなかった」が25.9%となった。

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出典:株式会社薬事日報社 

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